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「警察に都合の悪い証拠」でも検察は提出するのか?痴漢容疑めぐる裁判の焦点に

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原田信助さんの母親・尚美さん JR新宿駅で痴漢の容疑をかけられた都内大学職員の原田信助さん(当時25)が、新宿警察署による取り調べ後に自殺した事件について、信助さんの母親・尚美さん(55)が「息子は違法な取り調べによって精神的苦痛を受けた」などとして、東京都に対して1000万円の損害賠償を求めた訴訟の第4回口頭弁論が2012年1月17日、東京地裁(相澤哲裁判長)であった。原告側は、被告に対して、信助さんを痴漢事件の被疑者とした根拠となる証拠類の提出を求めていたが、この日開かれた口頭弁論では提出されなかった。

 原告側は去年8月に提出した求釈明書において、新宿警察署が信助さんを痴漢の被疑者として書類送検した根拠となる「防犯カメラの映像」や「被害女性の供述調書」などの送致記録を提出するよう被告に求めていた。しかし、同年11月8日に開かれた第3回口頭弁論では、被告がこれを提出せず、原告代理人が「証拠は全部あちら(被告側)が持っていて、こちら(原告側)に反論できるなら言ってみろというのは、とても不公平なやり方」と憤り、再度提出を求めたという経緯がある。そのため、この日の口頭弁論では、被告側が原告の要求にどう応えるかに注目が集まっていた。

 被告側はこの日の法廷で、証拠類を提出しない理由について、信助さんを痴漢の被疑者として2010年1月29日に書類送検した際に、すべての捜査書類等は東京地検の検察官に送致しており、文書の所持者にあたるのは検察官として、「被告側が文書提出義務を負うものではない」と回答した。その代わり被告は、実際に文書を保管している者(今回の場合は東京地検の検察官)に対して、その文書を裁判所へ提出することを求める「文書送付嘱託」を申し立てていることを示した。

 被告が提出した文書送付嘱託申立書では、事件の関係者(JR新宿駅駅員、被害女性、信助さんを取り押さえた男性ら)の供述調書や防犯カメラの映像などの送付を求めている。しかし、文書送付嘱託は、文書の所持者に対して、任意に提出することを求めるものであり、必ず文書が提出されるというものではない。そのため、信助さんを痴漢の犯人と認定した証拠類が提出されるかは、依然不透明だ。

 原告代理人の清水勉弁護士は、口頭弁論後の報告会で、警察と検察の関係について「検察は、言わば警察の下部組織。手続き的には上だが、権力的には検察のほうが明らかに下」と述べた。その上で、信助さんを痴漢事件の犯人とした証拠類の提出について、警察にとって都合の悪い証拠であれば「検察が出すわけがない」との考えを示した。その一方で、「ただ、あまりにも頑なに(証拠類の提出を拒否)すると、世の中に(検察が)警察の下だと疑われてしまうので、出すかもしれない」とも話した。

 第5回の口頭弁論は2012年3月6日に開かれる予定。

(三好尚紀)

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