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『スレイヤーズ』のファンレターとWEB小説の読者感想欄 〜対談 天酒之瓢×神坂一

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話題作、メディアミックス作品を数多く提供している、小説投稿サイト「小説家になろう」。その「小説家になろう」での連載作品を書籍化した『ナイツ&マジック』が大人気となり、既にアニメ化も決定している天酒之瓢先生が新作を発表します。

『ナイツ&マジック』後初の新作長編小説となる『ジャンキージャンクガンズ〜鉄想機譚〜』は、四六単行本レーベルカドカワBOOKSより2月10日に発売されます。

新作では「破天荒な女子主人公が大活躍」することから、『スレイヤーズ』をはじめ、多数の女性主人公作品を手掛けてきた神坂一先生との刊行記念対談が実現!
WEB小説が存在しなかった時代の貴重なエピソードや、『ナイツ&マジック』の話題から飛び出した二人の意外な共通点など、大いに盛り上がったその内容をお届けします!

●WEB小説と横書きの文化

──本日はよろしくお願いします。まずは神坂先生にお伺いしたいのですが、ネット上に掲載されている小説、いわゆるWEB小説に対しての印象をお伺いできればと思います。

神坂一(以下、神坂):その存在や盛り上がりはもちろん知っています。「カクヨム」もですが「小説家になろう」は、名前を知った時にこれはどんなものだろうと調べてみまして、その作品数や分量に驚きました。私は漫画などを衝動買いしては、読むのが追いつかなくなり積んでしまう人間なので、この量からチョイスして読み進めて……と考えると、うん、無理だなと。

──では、WEB小説またはWEB小説発の作品は読んだ事はない?

神坂:しっかり読んだという意味では『ナイツ&マジック』を書籍版6巻までと、WEB版の書籍で7巻目に相当するだろう部分は拝読しました。

天酒之瓢(以下、天酒):ありがとうございます。

神坂:それで、書籍版とWEB版で違いがあるのか気になって、書籍の1〜2巻に相当する部分のWEB版も拝読したのですが、あれ、エル君のモノローグがあるなって。

天酒:実はWEB版の時点から、関西弁は読みにくいと多数のご指摘を頂戴していまして。書籍で世に出す商品ですとなった時に、売り物として見ると厳しいなと。

神坂:なるほど。他にも書籍版とWEB版で大きく変えた部分ってあります? 例えばキャラクターの追加とか。

天酒:追加というよりは、キャラクターを含めた全体の整理になるでしょうか。無駄に出しすぎたなというものを1つにまとめたりはしています。僕は増やすよりも減らす方が多い……と思ったのですが、よく考えたら増やしたりもしてますね。後は出番の調整などでしょうか。ただ、WEB版で出番が少なかったキャラクターの出番を増やしたら、それで大変な目にあったなんて事もありました。

神坂:ああ、それはそうでしょうねえ。

──神坂先生は、WEB版を読まれた時に、小説を横書きで読む事に対してはどう思われましたか。

神坂:一切抵抗がなかったですね。私は小説を書く時に横書きですし。そもそも、小説を書き始めた時に使っていたのはワープロでして、これは横書きなんですね。それに慣れたまま、PCに移行してからもずっと横書きで書いてます。

天酒:僕も、システムエンジニア出身なので、もともと、文章というと仕様書などの横書きテキストに馴染みがあります。WEB小説を書いている時も、そういうドキュメント的な見方で入っているところがあって、小説としてのフォーマットは意識してなかったかもしれないです。そもそも、小説を書く機会がなかったんですよね。文章といえば学生時代はレポート、社会人になってからは仕様書という風になるので、その感覚が自分の中のデータベースであり、核にもなっていると思います。書いているうちに色々な小説を読み返して、それをフィードバックして修正したりといった事は行うようになりましたが、自分の中でちゃんとした小説の形というものを作り上げるまでは大変でした。

神坂:私の場合は、自分で書きやすい形が一番良いというのはあって、書きやすくするために、ある区切りまでを声に出してみてみた時に七五調になるというのを意識していますね。これがテンポよく続くように整えるんだけど欠点があって、ゲラで見直した時に重複表現が多いな、うん、変えようとなる(笑)。

天酒:僕の癖としては、基礎が技術的なドキュメントなので、前提条件や仕様などを詳しく書こうとする傾向がある気がします。

──WEB小説作品は比較的柔らかい文体の作品が多い傾向がありますが、天酒先生の作品は硬めな印象があるので、なるほどと思いました。

天酒:そうかもしれないですね。

神坂:でも個人的に、ロボ開発会議は大変素晴らしかったです。

天酒:ありがとうございます。読者からの評判も良かった部分ですね。ロボ開発というより、団体協議がですかね。僕は学生時代に漫画研究会で部誌を作っていた事がありまして。制作も最後の方になると部室にみんなが集まって、椅子を並べてひたすらに原稿を書きながら、ちょっと1ページ手伝ってとか、消しゴムで消しては書きを繰り返したりとか、とにかく大変だったけどもの凄く楽しかったんですよね。その経験がスライドして書かれているところはありつつ、三雲岳斗さんの『ランブルフィッシュ』の影響もあって。直接的な下敷きになっていると言っていいと思います。

●ロボット好きと、もう一つの共通点

──具体的な作品名が出ましたが、小説を書くにあたって、影響を受けた作品について聞かせて頂けますか。

天酒:大学後半から社会人になる過程でかなり多忙となり、読書から一時的に離れてしまった時期がありまして、一番多く本を読んだのは10代の頃でしょうか。その中でも『ランブルフィッシュ』と『聖刻群龍伝』は僕の中での直系と呼んでいいかもしれません。ロボット同士を戦わせる競技がある、そのパイロットを育成する、ロボットそのものを作る、そういう要素ですね。好きで読んでいたとなると、電撃文庫の初期作品が多いでしょうか。『ゴクドーくん漫遊記外伝』や『デュアン・サーク』などですね。ゴクドーくんは外伝を先に読んでからスニーカー文庫の本編を読んだりと、少し変わっているというか、マニアックなところがあったかも。『聖刻群龍伝』も外伝に近いですし。

──漫画はいかがですか。

天酒:漫画に関しては、これはロボットがバーンと出てくるものにしか興味が出ないという感じでした。

神坂:当時のロボット漫画というと……。

天酒:『BREAK-AGE』に『ガンドライバー』あたりですね。

神坂:私も好きなジャンルだけど、確かに濃い(笑)。

天酒:有名作では『ファイブスター物語』も好きです。後は『機神幻想ルーンマスカー』とか。

神坂:『機神幻想ルーンマスカー』は、『ドラゴンマガジン』の作品ですね。当時の編集者さんたちの顔が思い浮かぶなあ、懐かしい。私の場合は、子供の頃はライトノベルというジャンルそのものがありませんでしたから。雛形というか、スペースオペラなどはありましたけどね。ですから『クラッシャージョウ』あたりですかね。漫画はけっこうあったかな。

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