女子が夢中になる平成『仮面ライダー』の魅力
今や『仮面ライダー』は、男の子だけのものではありません。
もちろん、製作側のターゲットが男児であることは間違いのないところですが、『Pixiv』でライダーやキャストのイラストを描いたり、日曜の朝『Twitter』で感想を書き込んでいる人たちの中には、おとなの女性がたくさん見受けられます。
今夏、三越日本橋店で開催された『仮面ライダー展』では、昭和ライダーのスペースは昔を懐かしむオジサンたちでにぎわっていましたが、平成ライダーのスペースになると一転、女性の姿が多く見られました。
なぜ、今の『仮面ライダー』は、こんなにも女性に受け入れられているのでしょうか。
『平成仮面ライダー』好き女子のひとりとして、その謎に迫ってみました。
イケメン俳優登竜門
オダギリジョーや水島ヒロ、佐藤健といった人気ドラマや映画の数々に出演し、イケメン俳優ランキングでは上位に食い込んでくる役者を輩出した、平成仮面ライダーシリーズ。
『クウガ』以降の平成ライダーシリーズでは、児童と一緒に視聴するお母さんたちを意識して美形若手俳優を起用したとのことですが、ふたを開けてみれば人気は狙いをはるかに超えて、独身女性にまで広がりを見せました。
この夏まで放映していた『仮面ライダーオーズ/OOO』で主人公を演じていたのは、『ジュノン・スーパーボーイコンテスト』で準グランプリを受賞した渡部秀くん。コンビを組むアンク役の三浦涼介くんは、両親ともに芸能人の二世俳優です。
現在放映中の『仮面ライダーフォーゼ』で、主人公のサポート役を演じている高橋龍輝くんも、『ジュノン・スーパーボーイコンテスト』の最終選考まで残り、イケメンだらけの人気ミュージカル『テニスの王子様』では主人公の越前リョーマを演じた経験の持ち主です。
洗練されたフォルム
昭和ライダーと平成ライダーを見比べると、その足の長さや頭の大きさの違いがどうしても目につきます。
『ストロンガー』(昭和)と『カブト』(平成)は同じカブトムシをデザインしたライダーですが、やはり『カブト』のほうが頭身が高く、洗練されて見えます。
『カブト』に限らず全体的に色彩も鮮やかになり、華やかさを増しました。
仮面ライダーといえば「緑の腹筋が割れた昆虫みたいなのでしょ?」と眉をひそめていた女性でも、抵抗なく受け入れられたのではないでしょうか。
現在放映中の『フォーゼ』は、一部で「座薬みたい……」などとささやかれていますが、宇宙服を意識した未来型のフォルムと言えなくもありません。
身近な変身アイテム
平成の仮面ライダーたちは、改造人間ではありません。『クウガ』、『アギト』、『響鬼(ヒビキ)』以外のライダーは、アイテムを使って変身しています。
たとえば『555(ファイズ)』では携帯電話、『電王』ではICカード、『W(ダブル)』ではUSBメモリ、『OOO(オーズ)』ではコインなど、最近の平成ライダーの変身アイテムは身近にあふれているものばかりです。
アイテムから身近な存在に感じられるのかもしれません。
これらのアイテムはコンビニでお菓子といっしょに展開されていたり、ゲームセンターに設置されたカプセルトイの販売機などからも購入できるため、「子どものおもちゃをお店で買うのは恥ずかしい」という女性たちにも比較的手を出しやすくなっています。
見逃せないファッション
各平成ライダーのヒロインたちのファッションも、見逃せないところ。
『OOO(オーズ)』のヒロイン泉比奈の森ガール風ファッションや、『ディケイド』のヒロイン光夏海のカラータイツの合わせ方などは、ついついまねしてみたくなります。
また、ヒロインのみならずヒーローたちのファッションも素敵です。
『OOO(オーズ)』火野映司のエスニックファッションは流行りを取り入れていますし、『W(ダブル)』のフィリップの袖なしパーカーは、女子でも欲しくなるアイテムです。
現在放映中の『フォーゼ』は学園ものだけにメインの登場人物は基本的に制服を着用しており、主人公の如月弦太朗以外は今風のおしゃれなフォルムのブレザーです。色は目に痛いほどのビビッドカラーですが、そこがかえって現実の地味な色でまとめられがちな制服と一線を画していて素敵です。不思議なことに、奇抜な色でありながら意外とどの人物にも似合っています。
意外と深いストーリー
子ども向け番組とあなどるなかれ。深いストーリーには、おとなもついつい引き込まれてしまうこと請け合いです。
『OOO(オーズ)』の怪物たちは、人間の欲望の化身でした。
美しくなりたい、欲しいものを買いたい、夢をかなえたい――といった自分のための欲望のみならず、誰かを助けたいという他者を思いやる気持ちさえも、欲望と見なされ悪者に利用されてしまいます。
また、主人公の火野映司は、紛争地帯での痛ましい経験や、政治家である家族に経歴を利用されるなど、人の欲望に振り回されてきたことから“欲望(自分自身に対する執着)を失っている”という設定。
『龍騎』、『555(ファイズ)』、『カブト』では、主人公の敵にもそれぞれドラマがあり、いわゆる“勧善懲悪”とは言いがたい場面もありました。そのため、主人公より敵方のファンになる女子も少なくありません。
また、前々作の『W(ダブル)』では、味方の鳴海亜樹子と第二のライダー照井竜のコメディタッチの恋愛模様だけではなく、敵方である園咲冴子と井坂深紅郎のおとなの恋愛までもが描かれており、
「ドラマにはやっぱり恋愛がなくちゃ!」
というF1層の女性をもとりこにするファクタが、しっかり盛り込まれていました。
仲間と友情
昭和の仮面ライダーといえば、ヒーローは基本的にひとりでした。
平成の仮面ライダーたちは違います。平成一作目の『クウガ』を除いて、あとは全て複数のライダーが出てきます。
複数出てくるということは、イケメン出演率もそれだけ上がるということにほかならず、それだけでもイケメン好き女子にはたまらない魅力のひとつになりますが、そこに“友情”という要素が加わることで、一層楽しみが増すのです。
ライダーたちはスーパー戦隊ものとは違い、みんなが仲間になるわけではありません。中には敵として登場するライダーもいます。
『龍騎』などは最初からライダー同士が戦うことを前提とした世界です。
後に仲間として手を結ぶライダーであっても、大半は最初のうちは反目し合うのですが、共に死線をくぐり抜ける経験を経て、友情を育んでいきます。
こうした男子同士の友情に、女子同士では味わえないがゆえの憧憬を抱いてしまうのは、決して私だけではないはずです。
そんなこんなでついつい熱く語ってしまいましたが、他にも個性的な怪人たちやアクションなど、見所は探せばいくらでもある平成仮面ライダーの魅力。
女性でも夢中になって観てしまうのは、無理もない話だと思いませんか。
仮面ライダーフォーゼ(東映公式サイト)
http://www.toei.co.jp/tv/fourze/
仮面ライダーフォーゼ(テレビ朝日公式サイト)
http://www.tv-asahi.co.jp/fourze/
TwitterID: nikolaschka0815
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