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少女マンガの”瞳”のルーツがここに! 麗しの世界が香る佐倉市立美術館『高橋真琴の原画展』 [オタ女]

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きらきらした瞳にきらびやかな服装……。女子ならば一度は憧れたことがあるのでは、というお姫様スタイルを一貫して描き続けている画家の高橋真琴さん。1934年生まれで、1957年から雑誌『少女』で漫画家として活躍するようになって絶大な人気を博し、『マーガレット』『少女フレンド』といった少女マンガ誌や『小学一年生』などの学習誌の表紙絵や文房具、ハンカチなどにもそのイラストが使われ続けた存在です。
81歳になった現在でも健筆を振るい続けている高橋さん。1963年より移り住んでアトリエを構えている千葉県佐倉の市立美術館で、現在漫画家デビュー時から現在に至るまでの原画展が開催されています。

※すべての画像が表示されない場合は下記URLでご覧ください
http://otajo.jp/55110 [リンク]

50~70年代に少女雑誌で活躍

『高橋真琴の原画展』の会場となっている佐倉市立美術館。瀟洒な入口で高橋さんの最新作「水辺のユートピア」が出迎えてくれます。1Fのラウンジでは、物販のほか軽食が取れるカフェもあるので、ゆっくりと時間を使うのがおすすめ。

2Fの展示室入口前には、直筆のメッセージが。佐倉の地に対する愛着も感じさせます。

中原淳一の絵に中学生時に出会い、画家になることを決意したという高橋さん。足跡をたどる年譜の長さがいかに長期間に渡って活躍してきたのかを示しています。

表紙絵を飾った『週刊少女フレンド』と、その原画。多くの作品は高橋さん本人のアトリエの所蔵で、保存状態の良さが目を引きます。

60~70年代にかけて、数度の欧州旅行の取材により、当時の流行の最先端を雑誌読者に伝える役割も果たしていたとのこと。21世紀に入った現在の感覚で見ても決して古びて見えないフレンチスタイルがステキ!

少女漫画的な表現技法の嚆矢

1953年、『奴隷の王女』(榎本法令館)から貸本漫画家としてデビューし、『アルゼンチン童話 赤い靴』や西部劇『平原大旋風』など、さまざまなジャンルの物語を描いたという高橋さん。その人気はすさまじく、出版社が大阪から東京に呼び寄せた漫画家は手塚治虫先生と高橋さんの2人だけというエピソードも伝わっています。

2015年11月21日には、明治大学国際日本学部教授の藤本由香里さんによる講演会が開催され、少女漫画的な表現のルーツが高橋さんであるということをさまざまな資料をひも解きながら解説。
宝塚歌劇団のファンだった高橋さんは、『東京~パリ』『プチ・ラ』といったバレエを題材にした作品を雑誌『少女』で連載。その過程で輝くような瞳を確立。また、スタイル画を漫画の中に取り入れ、画一的だったコマ割りに革命を引き起こすなど、後の少女漫画の表現技法に多大な影響を与えたことが示されました。

特に『プチ・ラ』はオールカラー(4色)に1・2色の特色も加えて繊細なカラー表現を実現するだけでなく、両ページを観音開きにしてダイナミックなバレエの全体像を描くなど、ぜいたくな誌面構成を用いていることも特筆されます。
なお、藤本さんは『プチ・ラ』を発刊当時の形で復刊することを望んでいるとのこと。実現した暁にはその豪華さに目を見張ることになるのは間違いなさそう。お値段も大変なことになりそうですが……。

女の子が憧れた文房具やハンカチの数々

スケッチブックやノートといった多くの文房具の表紙を飾るきらびやかな女の子の絵。これも、当時販売された実物と原画が並んで展示されています。

70年代に描かれた動物たちの中でも目を引いたのが、六角形の入れ物に描かれたパンダたち。中国との国交回復といった国際情勢の変化がしのばれます。

数多くのハンカチ。色使いや構成がモダンで、繊細な女の子のタッチを際立たせているところもポイントといえそう。

下敷きやレターセットといったアイテムの数々。当時の少女たちは夢中になって集めたのではないでしょうか。

3Fの展示室には、高橋さんの絵をもとにして制作されたドレスが待っていました。こういったインスピレーションを刺激されるのも、高橋さんの作品の持つ力といえるかもしれません。

女の子たちが正面を向いている理由は?

80年代には、世界各国の花嫁姿も描いています。中にはイギリスのダイアナ妃の美しい姿や和装の婚礼衣装の絵も。

2000年に入ってからは、より細密で豪華なプリンセスたちが描かれています。画中の女の子が最も美しく引き立つように、服装・髪型・持ち物・食べ物・背景のすべてをそのイメージに合わせてコーディネートしているといいます。また、嬉しい時も悲しい時も絵の中の少女とその時の気持ちを語り合えるように、という願いから、彼女たちは皆、見る人と目が合うように正面を向いています。

佐倉市で例年開催されている『佐倉フラワーフェスタ』。高橋さんは2008年にその前身イベント『チューリップまつり』のポスター画を手がけ、2011年より『佐倉フラワーフェスタ』のポスター画を担当。会場では各年のポスターのほか、2013年の原画や打ち合わせメモ、下絵、完成画が展示されています。

2011年に開催された個展でのライブドローイングで描かれた作品。高橋さんが作品を完成させていく時の映像も視聴することができます。絵の具を混ぜずにそのままで使う高橋さん独特の技法から、きらびやかな女の子が生まれる様子は必見です。

洋風のテーブル・イスの前で記念撮影できるコーナーも。少女漫画大好きっ子ならば気分がアガるはず!

その麗しい女の子の世界から、少女漫画のルーツとなった表現への探訪まで、日本の“kawaii”のルーツの一つに出会える展覧会。佐倉までは東京都心から1時間ちょっとなので、リトルジャーニー気分で鮮やかな少女像とのひと時を過ごしに訪れてみてはいかがでしょうか。

『高橋真琴の原画展』

会期:2015年11月14日(土)~12月23日(水・祝)
   ※14日(月)、21日(月)は休館
開館時間:10時~18時(入館は17時30分まで)
観覧料:一般600)円/大学生・高校生400円/中学生以下無料

主催:佐倉市立美術館
特別協力:真琴画廊
企画協力:株式会社ブランネージュ

高橋真琴の原画展―佐倉で描かれた少女たち―(佐倉市立美術館)
http://www.city.sakura.lg.jp/sakura/museum/exhibition/takahashimakoto.html [リンク]

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記者:

乙女男子。2004年よりブログ『Parsleyの「添え物は添え物らしく」』を運営し、社会・カルチャー・ネット情報など幅広いテーマを縦横無尽に執筆する傍ら、ライターとしても様々なメディアで活動中。好物はホットケーキと女性ファッション誌。

ウェブサイト: http://yaplog.jp/parsleymood/

TwitterID: parsleymood

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