『復興書店』作家と本好きにできる支援のカタチ 島田雅彦氏が呼びかけ

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『復興書店』ウェブサイトより

「本を買えば募金したのと同じことになる」――作家たちにサインやメッセージを書き込んだ自著を提供してもらいプレミア本として販売、売上から最小限の管理コストを差し引いた額を義援金として寄付をするという『復興書店』をご存じでしょうか。店長として呼びかけを行ったのは島田雅彦氏。数多くの作家・評論家、詩人などが賛同し、現在は柳美里氏や堀江敏幸氏のサイン本が並び始めています。

島田雅彦氏は、東日本大震災が多くの人々の心に深い傷を負わせたことに触れて、「この大災害に対して文学は無力ではあるものの、心の傷を癒すのにいくらかの効果はあると信じます」と同サイト内に書き綴っています。そして、「大長編を書きあげるよりも長い時間」がかかるだろう復興への支援は、継続的に行われる必要があるとともに「被災地は必ず甦り、被災者は笑顔を取り戻す」という確信がなければいけないと指摘します。

とはいえ、特殊技能や専門知識があるわけでもない人は「ただ祈ること以外には何もできない」。しかも、買い占めが問題になっても本だけは売れ残っている。無力感を感じていたとき、小さな子供がおやつを我慢してお小遣いを募金する姿を見て「私もその子どものようにすればいいのだ」と思ったそうです。

『復興書店』は、作家たちがサインやメッセージを書き込んで提供した自著を販売。読者は好きな本を買うことで「募金したことになる」というシンプルなしくみです。最小限の管理コストを差し引いた売上金は、日本赤十字社または信頼のおける復興支援団体に寄付。また、著作家、読者からの募金の窓口となるとともに、震災で蔵書を失った公共図書館や学校図書館のニーズに応じて、集まった本を寄贈することも検討しています。被災者を応援するメールマガジンの発信も予定しているとのこと。

「震災後は、とかく表現活動は沈滞してしまいます。しかし、私たちは震災のさなかでも考えることを止められません。コトバはうまく使えば、絆を育むことができます。コトバを発信し続けることで孤立する被災者に寄り添うことができれば、作家冥利に尽きます」と島田雅彦氏。好きな作家のプレミア本を手にすることで募金ができるなんて、本好き冥利につきる支援のカタチですね。『復興書店』は今年いっぱい活動を継続するそうです。
  
復興書店
http://fukkoshoten.com/
※画像、「」内の島田雅彦氏の言葉は『復興書店』ウェブサイトより引用。
 
 

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Kyoko Sugimoto

京都在住の編集・ライター。ガジェット通信では、GoogleとSNS、新製品などを担当していましたが、今は「書店・ブックカフェが選ぶ一冊」京都編を取材執筆中。

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