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映画『インサイド・ヘッド』―はちゃめちゃな設定のはずなのに矛盾を感じない考えつくされた頭の中の世界(ガジェ通日誌: 深水英一郎)

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はっきり言って「妄想の産物」のような映画なのかと思ってました。

5つの感情が擬人化されて登場するという、はちゃめちゃな設定の映画で、僕なんかが普通に考えたらうまく話がまとまるわけがないし、矛盾点やつじつま合わせなどが出てきて途中で興ざめするんじゃないか――そんな風に思ってたのですが、最初のシーンから引き込まれ、ずっとハラハラドキドキして気づいたら号泣していました。

ファンタジーの世界もいろいろありますが、例えば不思議の国のアリスだと、まったくみたこともないような、常識世界とは切り離された、まさに夢の中のような世界が舞台で、時には恐ろしく気味悪く「何が起きても不思議じゃない」ということになってあます。アリスが巨大化しても小さくなっても「まぁ、そういう世界なんです」という説明で済んでしまうわけです。

しかし本作の舞台は「頭の中」で、「感情」が登場人物なのです。外界、つまり、感情達が頭の中にいる人間そのものが暮らす世界は、リアルに私達が暮らしている世界そのもの。そして頭の中の世界は、私達人間がいつも付き合っている頭の中=思考と感情そのもの、なのです。

頭の中で、何が起きているのか。

それは、誰でも知っていることですよね。感覚的にですけど。

ある意味、誰でも知っている世界。それが舞台となっているファンタジーなわけです。だからこの映画の世界観に疑問がでてきたら、たちまち映画を観続ける意欲が失われてしまうはずです。

そんな映画、つくるという事自体、ある意味、おそろしく無謀な挑戦といえるのですが、この作品は見事にやりきっていると感じました。

いつでもどんな時でも自分を応援してくれている「感情たち」が大好きになれる

この映画を観ていて幸せな気分になれるのは、どんな時でも、何が起きても、親身になって、一生懸命自分のために考えてくれる「感情たち」がそばに居続けてくれるという感覚を味わえるからです。

孤独になり、親さえも振り向いてくれないときでも、一生懸命に自分のことを考えてくれている『感情』たちの存在が勇気と安心感を与えてくれます。

どんな状況でも本当の意味での「孤独」なんてないんだ、ということをこの映画は教えてくれるし、それは誰の頭の中でも起こっていることなんだと考えると、誰にでも優しくなれるし、おおらかになれます。

そういう意味で、幸福感に満たされる映画なのですが、この中で唯一恐ろしいのが「無感情」。

「結局、無感情が一番恐い」

ということを思い知らされます。5つの感情のうちのほんの少しでもバランスを崩すと世界は灰色。

しかし素晴らしいのは、そういう絶望的な時にでも我が身を賭して一生懸命自分を応援していくれている「頭の中の感情たち」がいる、という感覚を味わえることです。

そしてそういう感情たちをキャラクターとして客観視できるようになり、自分もそうだと納得すると同時に、誰の中でもそんなことが起きてるんだと作品を通して気づくことができる。これに気づけるというのはとても大きいし、もし子供が映画を通してそれに気づくことができたらひとつの財産だと思います。

観終わった後、誰にでも自然と優しくなれる。この映画はそんな不思議な映画なのです。

エンターテインメントなのですが、それに気づける作品という意味でも素晴らしいと思いました。

あ、ちなみに日本語吹き替え版で観ましたが、声優さん最高の演技でした。吹き替え版での観覧、オススメできます。

インサイド・ヘッドは2015年7月18日公開予定。

―― 見たことのないものを見に行こう 『ガジェット通信』

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記者:

やわらかニュースサイト『ガジェット通信』発行人。未来検索ブラジル・東京産業新聞社社長。ITベンチャー「デジタルデザイン」創業参画後、メールマガジン発行システム「まぐまぐ」を個人で開発。利用者と共につくるネットメディアとかわいいキャラクターに興味がある。好きな食べ物はシュークリーム。

ウェブサイト: http://getnews.jp/

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