記者クラブの閉鎖性が、日本のジャーナリズムを駄目にする!?

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 ニコニコ動画では、2010年12月30日、「拝啓記者クラブ様 フリージャーナリスト大反省会2010」と題した番組が生放送され、岩上安身氏、上杉隆氏、小川裕夫氏、島田健弘氏、田中龍作氏、畠山理仁氏という気鋭のジャーナリスト6人が、フリージャーナリストしての2010年を「反省」し、お互いに「反省」を促した。
■フリーランスの記者は、存在自体が可視化されてない

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 番組内では各ジャーナリストが今年行われた記者会見で行った質問がVTRで紹介され、視聴者からは「よく言うなあ」といったコメントが寄せられ、感心している様子であった。しかし、実はそれらの質問が新聞・テレビなどの大手マスメディアの報道に反映されることはほとんどない。たとえば、菅直人首相の記者会見時に岩上氏が追及した、一部の報道関係者への官房機密費の譲渡についての質問は、「首相の会見全文掲載」と銘打たれた新聞記事には一切掲載されなかったという。岩上氏は、「NHKが全て映している、新聞が全文載せていると思ったら大間違い」と言い、大手マスメディアが官房機密費の譲渡という自身に影響が及ぶ問題に対していかに内向きで、フリージャーナリストを軽視しているかのような姿勢が明らかにされた。

 この他にも、出演者からはフリージャーナリストとして、政治家や大手マスメディア、そして大手マスメディアの多くが所属する記者クラブから受けた理不尽な経験が次々と語られた。上杉氏は「フリーランスの記者は、存在自体が可視化されてない」「こんな制度が残っているのは日本だけ。記者クラブを世界遺産にしよう」ととぼけながらも、記者クラブが他のジャーナリストたちを会見に入れさせないという構造を痛烈に批判。畠山氏も「記者クラブの人にフリーが名刺を渡しても名刺をくれないのに、彼らは席とりに名刺を使う。つまり、僕らフリーは椅子以下」と、記者クラブに所属する大手マスメディア記者の傲慢ぶりを告白した。

■記者クラブの閉鎖性が、日本のジャーナリズムを駄目にしている

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 しかし、出演者が一番訴えたかったことは、彼らフリージャーナリストが政治家や大手マスメディア、記者クラブからいかに酷い仕打ちを受けているかではない。彼らの主張は、大手マスメディアの多くが所属する”記者クラブの閉鎖性”がいかに日本のジャーナリズムを駄目にしているかということだろう。畠山氏は「記者クラブは、官僚と一緒になってフリージャーナリストを排除しようとしている」と言い、田中氏は「記者クラブは百害あって一利なし」と言いきった。その理由として、「記者クラブがある以上、権力に利用され、自社にだけ情報が流されないのを恐れてマスメディアは横並びになる」と説明した。また上杉氏は、「権力にとってこれほど都合のいい存在はない。しかしそれは、権力にとって都合の悪い情報が流れなくなるという意味で、逆に国民の知る権利を犠牲にしていることになる」と、記者クラブの根本的問題を指摘した。

 上杉氏の2011年の抱負は、「12年連続、12回目の記者会見オープン化」だという。記者会見オープン化は、10年以上前から訴えられてきた、いわばフリージャーナリストの悲願とも言える。近年ようやく、ネットメディアの発展も後押しして、会見オープン化が実現するなど希望の光も見えつつある。フリージャーナリストたちはこれから先、どこまで政治、そして記者クラブに切り込み日本のジャーナリズムに切り込んでいけるのか。出演者たちの力強い言葉に、来年以降のさらなる活躍に期待感が高まる放送となった。

拝啓記者クラブ様 フリージャーナリスト大反省会2010
http://live.nicovideo.jp/watch/lv35881073
(番組はタイムシフト機能で2011年1月6日まで視聴できる)

村井克成

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