田舎暮らしの障壁?集落地元住民との円満な付き合い方
冷静に合理的で適切な対応を取ったことが重要
前回、田舎暮らしに憧れる若者が増えている一方、独特の人付き合いやルールに苦しみ、都会に戻っていく若者がいる現実と、そうならないための対処法を紹介しました。(前記事:田舎に憧れ移住した若者に襲い掛かる「集金地獄」と対処法)
Aさんは、支払う理由がない集金を全て断ることで平穏な生活を手に入れました。ゴミ処理は民間の処理業者を利用することにしましたが、肩身の狭い思いをすることも、変なうわさが出ることもありませんでした。その理由の一つに、さまざまな出来事に対して感情に任せるのではなく、冷静に合理的で適切な対応を取ったことが挙げられます。今回の記事では、その理由について考えてみましょう。
ゴミ問題については集積場の登記簿謄本を取得
Aさんは集金を断ったことが原因で、ゴミ集積場の利用ができなくなってしまいました。しかし、廃棄物処理法により、家庭ゴミ処理は市町村の仕事と定められています。従って、自治会が「ゴミ集積場を使わせない」と主張した場合、なぜそう主張できるのか聞いてみましょう。そして、すぐに役所を訪ね、ゴミ処理担当課に相談するのです。
もし、ゴミ集積場を使わせない理由があるとすれば、所有権に基づくものかもしれません。そこで、法務局に赴いてゴミ集積場の土地と建物(ゴミ集積場も屋根があれば建物です)の登記簿謄本を取得してみましょう。所有者が自治会でない場合、自治会は単に管理しているだけで、使わせないと主張する根拠はないことになります。
いわゆる「村八分」は不法行為に該当する
経験上、ゴミ集積場の所有者として、自治会が記載されている例はありません。土地所有者が市町村で建物は未登記、逆に都市計画法の公共用地(=みんなが使える土地)の登記があることもあります。また、そのゴミ集積場の減価償却費相当額の利用者数で按分した利用料を支払うことで、解決できる場合もあります。筆者が受けた相談事例で計算すると、月11円という結果になったこともあります。
こうした資料を準備してもなお、自治会と言い争う、ゴミ集積場の前で実力行使を受けるようなら、弁護士と相談して手続きを進めましょう。自分だけが不便や不利益を強いること、いわゆる「村八分」は不法行為に該当します。
また、自治会は市町村広報の配布などを請け負うことで活動収入を得ていて、市町村から補助金も受けています。市民で市町村税を収めているのであれば、自治会の活動に協力している旨をアピールしてもいいかもしれません。
「あなた」と「地域集団」の付き合いではない
田舎暮らしの「地域」といっても、自分を中心に隣近所、集落、小学校区、市町村、都道府県など、さまざまな範囲があります。そして、集金をはじめ田舎暮らし特有のトラブルになるのは、ほぼ「集落」です。自治会のことをよく思っていない人も存在し、全世帯が同じ意見でまとまっているわけではありません。集落を超えれば、自分が自治会に入会しているかどうか、揉めているかどうかを気に掛ける人はいません。同様に、隣近所も穏やかな生活を送っていれば理解を示してくれます。
「払う」「払わない」の揉めごとが起きれば、それが人生の全てのように思いがちですが、視野を広げてみましょう。今はインターネットで、誰でも情報発信ができます。小さなカフェを経営する、趣味の情報などを広範囲に発信すれば、集落を超えたさまざまな場所から応援してくれる人が現れます。
最後に、人の付き合いとは「あなた」と「わたし」であり、決して「あなた」と「地域集団」の付き合いではありません。違和感を抱けばその人と付き合わなければよく、逆に相手が自分の魅力に気付いてくれれば、どこの組織に属しているかなど関係なく、人として上手く付き合えるのではないでしょうか。
(中山 聡/不動産鑑定士)
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