tvkのお天気カメラに一般人が映り込むことは可能なのか、体当たり調査!
横浜のココがキニナル!
tvkの朝5時『朝の周波数カード』で大桟橋情報カメラからの映像を音楽と共に放送してますが、この時間に大桟橋にいけばTVにでちゃえる?雪にスプレーで文字を書いてメッセージを流せる?(brooksさん)
はまれぽ調査結果
大さん橋の情報カメラでは、個人が特定できる撮影はNG。これまで人物を特定できるような映り込みがあった事実もないとのこと
徹夜明けや早起きをした時に、横浜の景色をただ流している番組を観たことがある人もいるのではないだろうか。その番組こそ、テレビ神奈川(以下tvk)の放映する「朝の周波数カード」である。
しかし、ライブカメラの生映像を使用しているこの番組。もし、この時間に現地にいれば、そのままテレビに映ることもできるのではないか? そんな疑問を解決するため、まずはtvkに取材に向かった。
朝の周波数カードって、どんな番組?
tvkのオフィスがある関内のメディアビジネスセンター
今回、tvkで放映されている「朝の周波数カード」について、解説をしてくれたのは編成局の近藤さんである。
詳細な説明をしてくださる近藤さん(右)
『朝の周波数カード』は、1972(昭和47)年の開局以来、続いている長寿番組である。番組内容は、音楽を乗せて情報カメラの映像を流すだけ。音楽は1週間ごとに曲が変更され、多彩なジャンルを使用している。ちなみに筆者が観た印象だと洋楽が多めになっている気がする。
朝の周波数カード
番組の放映時間は日によって変わり、環境アニメーション番組の『ドロンコロン』が始まる前の30分間の枠と決まっている。現在の『ドロンコロン』の放映時間は、月曜と金曜が午前5時55分からで、火・水・木・土曜が午前5時25分、そして日曜が午前5時30分だ。
『朝の周波数カード』は、その前それぞれ30分間放映され、月曜と金曜が午前5時25分、火・水・木・土曜が午前4時55分、そして日曜が午前5時となっている。
tvkの2015年1月のタイムテーブル
ここで突然、タイムテーブルにある、田中圭主演の『びったれ!!!』に食いつく山岸。
『びったれ!!!』
大河ドラマの『軍師官兵衛』にも出演していた田中圭の話で盛り上がり、同じ原作者の『カバチタレ!』の思い出に花が咲く。意外とテレビっ子のアラサー女子である。番組は、1月14日(水)の午後11時から始まるそうだ。
話を『朝の周波数カード』に戻そう。番組で使用される情報カメラは、大さん橋と横浜メディアビジネスセンターの2ヶ所に設置されている。以前は、スカイウォークのあるスカイタワー*1にも設置されていたが、現在は閉鎖の影響で撤去したとのこと。
*1:「スカイウォーク閉鎖後のいまは?」 2011年12月17日 『はまれぽ.com』
http://hamarepo.com/story.php?story_id=701
閉鎖になったスカイウォーク
番組では、どちらかのカメラの映像をランダムで使用。また、平日の正午から午後2時に放送されている情報番組『ありがとッ!』や午後9時半から放送の『NEWS930α』などでは、タイトルコールの背景画面にも使われているとのことだ。
NEWS930αの番組終了で使用されている情報カメラの映像
『朝の周波数カード』は、開局以来続く番組であるが、その目的はどこにあるのだろうか? それはテレビ局が行う「電界調査」にあるそうだ。
各テレビ局は、電波が各テレビにしっかりと届くように、電界調査という調整作業を行っている。2011(平成23)年7月24日にアナログ放送からデジタル放送に切り替わる前の一時期「試験電波発射中」という文字と共に、カラーバーの画面が流れた。これも電界調査であり、新しい電波塔となる東京スカイツリーから、適切に電波を届ける目的で行われていたのだ。
カラーバーによる電界調査のイメージ
tvkでは、毎朝30分間「朝の周波数カード」を流し、電界調査を行っている。あの音楽と映像だけの番組にも、しっかりとした意味があったのだ。
近藤さんによると、これまでライブカメラに人が特定できるような映りこみがあることを確認したことはないらしい。理論上、大きな幕で広告などを流すこともできるが、視聴者が無意識的に観る番組なので、あまり意味はないのではないか、とのことだ。また、雪文字のデコレーションなどは、大さん橋を管轄する大さん橋国際客船ターミナルの許可が必要で、ハードルは高くなっている。
実際のカメラはどんな風に設置されている
この日、メディアビジネスセンターの屋上に設置されているカメラを実際に見せていただけることになった。13階建てのビルの最上階まで上がり、そこから更に階段で屋上に向かう。
階段を昇って、屋上の入り口を進入
入り口に掲げられている「立入禁止」の意を伝える注意書き
屋上には、放送で使用する重要な機材が多く設置されている。そのため普段は、なかなか入れないところらしく、メディアビジネスセンターを管轄する警備会社の許可が必要とのことだ。貴重な体験に胸を高鳴らせながら、いざ潜入。
屋上の扉の先の通路をどんどん先に進む
要塞のように、ビルの空調設備などもぎっしりと並んでいる
狭い通路を抜けると、テレビ局のアンテナが設置されている場所に辿りつく
階段を昇った、最先端部分に放送機材がある
放送機材の並ぶポイントに、情報カメラも設置されていた。情報カメラは、カメラを固定する雲台(うんだい)とカメラ本体に分かれる。金額は、カメラだけでも1000万円以上かかり、実に高額な機材となっている。
tvkのアンテナなどの放送機材。情報カメラは左奥
もちろん情報カメラは、値段に見合うくらい、ほかのカメラと比べ高性能である。機材によっても値は違うが、情報カメラの絞り値(レンズに光を入れて写した像の明るさ)は市販のカメラよりもかなり小さいものもあるのだそう。
また雲台を動かすことで、ほぼ360度の範囲を撮影することができるようになっている。この日、実際にカメラを動かしていただいたが、スムーズな動きで回転し、周囲を撮影していた。
横浜スタジアム方面を向いている情報カメラ
みなとみらい地区に方向を変える情報カメラ
鶴見方面を向く情報カメラ
また、大さん橋の情報カメラが設置されているのは、大さん橋ふ頭ビルだ。カメラの設置に関しては、どのような映像が撮れるかも大切であるが、周囲に電波を阻害する建物がないことも重要となるらしい。
実は、神奈川県警察本部庁舎の上にも、カメラが数台設置されている。そのため、神奈川県警察本部庁舎は、周囲で一番高い建物であるばかりか、周りに電波を阻害するような建造物は何もない。
情報カメラは大さん橋ふ頭ビルの左隅に設置されている
神奈川県警察本部庁舎に設置されているカメラや無線装置
電波関係では、さらに細かい規制も存在するという。そのひとつが、電波塔とアンテナの間の建物の高さ規制だ。tvkの場合は、鶴見の三ツ池公園に電波塔を持っている。
三ツ池公園内にある通称「三ツ池タワー*2」
*2:「鶴見区・三ツ池公園の側にある「立派な塔」って一体何?」 2013年03月12日 『はまれぽ.com』
http://hamarepo.com/story.php?story_id=1701
その電波塔とメディアビジネスセンターの屋上にあるアンテナとの間には、高い建物が建っていない。テレビ放送がしっかりと行われるように、総務省が統括しているそうだ。
屋上から鶴見の電波塔まで高い建物は存在しない
ちなみに、メディアビジネスセンターは周囲に高い建物がないため、絶景スポットにもなっている。横浜スタジアムの中や、みなとみらい地区などの横浜の主要エリアはもちろん、遠くには富士山もみることが可能だ。普段入れない場所だけに、少しだけ景色も堪能させていただいた。
コンサートでメインステージが設置される電光掲示板側は見えない
メディアビジネスセンターから見るみなとみらい地区
遠くに霞んで見えている富士山の姿
朝の周波数カードの制作現場とは?
続いて、この日は「朝の周波数カード」で使用する機材がある、実際の制作フロアも見学させてもらうことができた。
番組制作フロアの見学用の入り口
テレビ放送の心臓部とも言える主調整室
主調整室では、放送進行表通りに番組が放送されるよう管理が行われている。tvkでは、この場所に「朝の周波数カード」でも使用する、情報カメラを操作する機器も置いている。
情報カメラを操作するキヤノン製の機器
この1台の機器で、大さん橋と横浜メディアビジネスセンターの2ヶ所に設置されているカメラの操作が可能だ。実際にレバーを調整して、カメラのアングルやズームを調整することができる。
なお、実際の番組では、予め決められたカメラワークが使用されている。それを設定する機能も付いており、ボタン一つでカメラが自動で動くようになっているため、放送の現場でも使用されているとのことだ。
このレバーを動かすとカメラの角度が変わる
横に8つ並ぶボタンを押すと、予め決められたカメラワークが作動
実際の映像を見てみると「メディアビジネスセンター」のカメラでは、みなとみらい地区を綺麗に収めているものの、どんなに「寄り」の操作をしても人が映り込みを確認するのは難しそうだ。もう一方の、大さん橋カメラの映像も見せてもらった。すると、大さん橋に集まる人の様子が確認でき、映り込みもできそうである。
番組でも実際に使用される程度のカメラの倍率
そこで、近藤さんにもご協力をいただいて、どういった様子で映り込めるかを検証してみることにした。早速、編集部・山岸と二人で大さん橋のカメラに映るべく移動を開始した。
カメラに映るとどういった感じになる?
実はこの日、クリスマス前の祝日で、大さん橋には、カップルや家族連れの方はたくさんいた。先日取材した飛鳥Ⅱも停泊しており、その近くで撮影をする方も多くいる。
次の出航に向けて、大さん橋に停泊している飛鳥Ⅱ
大さん橋ふ頭ビルも確認し、ベストな撮影ポジションを探しながら、大さん橋を徘徊。そして、カメラの位置から推測し、飛鳥Ⅱの船尾位置がベストであると判断した。
カメラが設置されている大さん橋ふ頭ビル
船尾位置からは、真っ直ぐにこちらを向いている情報カメラが見える
しかし、ここで一つ問題が発生。近藤さんから連絡が入り、通常の番組で使用する倍率だと、やはり人物の特定が難しいとのこと。しかも絵面も地味である。
そこで、カメラをズームしていただき、どれくらい映れるかを検証してみることにした。すると、さすが1000万円以上のカメラである。かなりの鮮明さで、カメラに映ることができると判明した。
改めて、通常の状態の情報カメラの映像がこれ。近藤さんから山岸に写メが
ズームをすると、仕事をサボる二人もばっちり撮影できる
そこで、テレビマン魂に火のついた近藤さんから鬼の指令が飛ぶ。ただ映っていても、何も面白くないのだ。「何かおもしろいポーズをやって」との要望に、山岸と二人で、コマネチなどのポーズで応える。
途中、飛鳥Ⅱを撮影するために、周囲に人が集まった。しかし、撮影中である。事情を説明し、しばしの間だけ場所を貸していただいて、二人で遠くのカメラに向かってポージングを続けた。
衆目にさらされながら、ポージングをするが、近藤さんからさらなる駄目出しが入る。「ポーズが地味」とのことだ。鬼と化したテレビマンの指令に、山岸と二人で、破れかぶれになって応えた。
ここはベタにタイタニックを試しておくべきだったなと反省
これが上手くいけば、tvkでレギュラー番組を持つこともできたかもしれないが、なすすべもなく撮影は終了した。近藤さんも、あまりのできの悪さに、面白い絵を撮るのは無理と悟ったのだろう。失意の中で、帰宅を開始。
しかし、大さん橋の坂を下っている途中で、再び近藤さんから連絡が入る。「そこがベストポジション!」とのことで、すぐに立ち止まり、再び撮影が開始された。それにしても、二人の移動している姿が、はっきりと分かるカメラの性能は驚愕だ。そして散々、駄目だしを食らった後、二人ではまれぽの「H」を作り、撮影は無事終了した。
「H」になっているのをお分かりいただけるだろうか?
ちなみに、大さん橋の情報カメラでは、個人が特定できるサイズでの撮影は禁止されている。今回は、近藤さんのご協力の上で、撮影が可能となった。ただ、カメラに映るベストなポイントを挙げるとすると、大さん橋のターミナルに向かう、みなとみらい側の坂の途上ということになる。
tvk内にある情報カメラの操作機器に貼られた注意書き
カメラに映る、ベストポジションはここ
取材を終えて
昔、好きなアーティストの発売したツアーDVDが、自分の行った公演のものであった。もしかしたら、という期待を込めて鑑賞したものの、豆粒サイズでしか映っていない。しかし、背景の一部であるにも関わらず、非常に嬉しかった思い出がある。
大さん橋の情報カメラの映像も、タイトルバックなどに使用されるため、背景として映り込むことは可能だ。少しでも、テレビに映りたいという貪欲な方には、おススメである。
―終わり―
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