売る時、価格が下がってしまう可能性のあるマンション住戸の特徴『3つの盲点』
人生で一番高い買い物といえば、なんといっても「マイホーム」でしょう。
それだけに、一戸建やマンションの購入を考えている人は、あとで取り返しのつかない失敗をしないように、慎重に判断しなければなりません。
『東京で家を買うなら』(自由国民社/刊)の著者で不動産コンサルタントの後藤一仁さんは、これからの時代、物件選びの際に大切なポイントとして、「利用価値(住み心地、利便性など)」、「安全性」、「資産価値(売りやすさ、貸しやすさ)」の3つを挙げています。
多くの人は、自分にとっての住みやすさや利便性、好みなどを中心に考え、最近は安全性も気にすることが多くなってきていますが、「いざとなった時にそれなりの価格で売れるのか」、「賃貸に出す時にそれなりの賃料ですぐ借り手がつくのか」などという「資産価値」の視点までは、なかなか考えが及ばないものです。
でも、「資産価値が下がりにくい物件」を手に入れておけば、もし、5年後、10年後、20年後などに何らかの理由で売ることになった場合でも、比較的すぐに売ることができるので精神的に余裕を持って対応していくことができます。例えば、売る時の価格がいつの時点でも住宅ローンの残債よりきちんと上回っていることや、貸すとしたら賃料が月々の住宅ローン返済額、管理費等、固定資産税等の合計額よりある程度上回っているような場合なら、住宅ローンを抱えていても、精神的な余裕に差が生まれ、のちの人生の自由度は高まります。
では、どういう物件は資産価値が下がりにくいのか。それは、反対に「資産価値の下がりやすい物件」の条件を見ていくと明らかになってきます。
■大規模すぎるマンション(ただし、駅近タワーマンションや大手デベロッパーが街ごと開発したようなマンションを除く)
一般的に大規模マンションは資産価値が下がりにくいというイメージがありますが、それは人気エリアの駅近タワーマンションや大手デベロッパーが街ごと開発したようなマンションなどの場合であって、そのようなマンションと郊外の駅から距離がある大規模ファミリーマンションなどでは事情が異なります。
特に、価格が手ごろな一次取得者層(初めて持ち家を取得する層)向けの大規模ファミリーマンションなどは、住民層が同じくらいの年代になりやすいため、子育て、子どもの独立といったタイミングも各家族で重なりがちです。もちろん親の高齢化も同じタイミングで起こりますから、マンションの若い住民が一気に少なくなり、その需要の減少にともなって近隣の商業施設や医院などが撤退したり、学校も隣町に統合されてなくなったりする場合があり、街全体の利便機能が衰退する可能性があります。そうなると、やはり物件の価格にも影響が出てしまうのです。また、今までと今後の人口増減数では異なるため、大規模マンションの「スケールメリットを生かした共用部の充実度などのメリット」を、「総戸数が多いほど将来売り物件(住戸)が多くなり競合してしまい価格が落ちる可能性があるデメリット」が上回る場合もありますので、「大規模マンション=資産価値が下がりにくい」と理解すると失敗する可能性があるので注意が必要です。大規模マンションの場合、立地や物件などによって、価格が保たれやすい物件(人気度により築年数が経過していても逆に資産価値が上がっている物件もあります。)と、価格が落ちやすい物件がありますので、個々の物件の見極めが大切です。
■エリアのマーケットに対して面積と間取りが合わないマンション住戸
60?以上であれば2LDK以上の需要がほとんどのエリアなのに1LDKであるとか、80?以上であれば3LDK以上の需要がほとんどのエリアなのに2LDKであるなど、マーケットに対して面積と間取りが合わない場合、買い手が決まりにくいことがあります。自分仕様に設計変更やリフォームしたケースなどによく見られます。
■駐車場、空き地などに隣接している物件
メインとなるバルコニーの前が「月極駐車場」や「コインパーキング」、「空き地」、「古家」、「社員寮」などの場合も注意が必要です。
このような土地がデベロッパーなどによって一つの大きな土地にまとめられて高層建物が建つと、眺望や日当たりが損なわれてしまいます。そうなると当然価値は下がることが多いですので、近い将来にまとめて買い上げられそうな土地が周りにないか、チェックしておくといいでしょう。
資産価値が下がりやすい物件の特徴は、本書の中でまだまだたくさんあり、本書の中に残らずまとめられています。また、今後物件の価値が下がりにくい地域や沿線、災害に強い場所、家族みんなが幸せになる物件の選び方など、物件購入の際に気をつけるべきことが全て網羅され、「そろそろマイホームが欲しい。でも選び方がわからない」という人の心強いガイドとして役立ってくれるはずです。
(新刊JP編集部)
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