大企業台頭で激変したマンション業界

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リーマンショックで独立系マンションデベロッパーは苦境に

大企業台頭で激変したマンション業界

マンション業界が激変の時期を迎えています。独立系のマンションデベロッパーが大手の子会社となって業績を著しく落とす一方、大企業は独立系の会社を子会社にするなど、販売戸数を増やしています。

近年、マンション販売戸数は減少の傾向にありました。2005年の167,465戸から、2009年のリーマンショックによる79,595戸へと新築マンション販売戸数は半減。その後はアベノミクスによる円高等で多少持ち直しましたが、以前の水準には戻っていません。その理由として、既に住宅供給数が需要を上回っており空き家問題が発生していること、住宅購入者層の人口が減っていることが挙げられます。

現在、日本全体の空き室率は15%。マンション購入者層である30代、40代の人口は、10年間で15%も減少しています。そんな中、マンションの売れ筋にも変化がありました。都心ではオリンピック開催が追い風となり、高額マンションの販売が好調。好立地に高付加価値マンションを建築している大手デベロッパーでは、500世帯以上という大型マンションの販売にも関わらず、完売が相次いでいます。

同時に、大手デベロッパーは本来資金力のない独立系マンションデベロッパーの主戦場だった郊外型の一時取得者向け低価格マンションの販売にも、積極的な姿勢を見せています。結果、競争は激化して以前のように建てれば売れるという時代が終わり、リーマンショックによる爪痕で独立系マンションデベロッパーの資金繰りは厳しくなるばかりと言えます。

今後もマンション販売は大企業へと傾倒していく

本来、マンション建築は多額の資金を必要としますが、リーマンショックによる相次ぐ独立系マンション販売会社の倒産により、不動産会社が金融機関から融資を受け取るのが困難になってきています。震災の復興事業やオリンピック景気、円安による資材の高騰も追い打ちとなり、もはや、資金力のないマンションデベロッパーは生き残るのが難しくなりました。

さらには、マンション耐震偽装事件を契機に、独立系マンションデベロッパーへの信用が急落。マンション購入者は、耐震構造等への安心を求めていて、それが、大手デベロッパーの供給するマンション購入への追い風となっています。実際、大手7社のシェアは2000年の24%から、2013年には41%と急増。現在ではマンション販売戸数のトップ5を大手企業が占めるようになっています。以上を踏まえると、今後もマンション販売は大企業へと傾倒していく可能性が考えられます。

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