「預金はインフレに弱い」真偽は?

同じものを買うのに今まで以上のお金を払わなければならない

「預金はインフレに弱い」真偽は?

結論から言えば「預金はインフレに弱い」。まず、インフレの定義を確認しましょう。インフレとは、インフレーション(inflation)と略で、「物価の上昇と通貨価値の下落が継続的に続く状態のこと」を言います。これと反対に、デフレとは、デフレーション(deflation)の略で、「物価の下落と通貨価値の上昇が継続的に続く状態のこと」です。

さらに、スタグフレーション(stagflation)という用語もあり、これは、スタグネーション(stagnation:停滞)とインフレーション(inflation:物価上昇)を合成させた言葉で、景気後退局面にありながらもモノ不足によりインフレの状態となること。石油や食料など生活必需品の供給不足や戦争・紛争などが原因となります。

この定義を前提に、なぜ「預金がインフレに弱いか」考えてみましょう。例えば、梨1個が100円で昨日まで買えたのに、今日から120円になったとしましょう。そうすると、この時のインフレ率は20%となります。

今、輸入原材料価格が高騰し、ガソリン価格は対1月比6.06%値上がりしました(資源エネルギー庁発表、ガソリン価格は1月158.3円に対し7月は167.9円と約10円も値上がりしました)。また、スーパー・コンビニでは、値段は変わらず容器が小さくなっている商品、内容量が少なくなっている商品がたくさんあり、これは実質的な値上げです。さらに、電気料金は大幅に値上がりしています。これらはすべて、経済的に見ると「インフレ」です。つまり、インフレでは、今までと同じものを買うのに、今まで以上のお金を払わなければならなくなるのです。

現在の主要銀行の定期預金金利では物価上昇には追いつかない

では、これらのインフレに「預金」が勝てるかどうか考えてみましょう。主要銀行の1年もの定期預金金利は0.03%で、この金利は1年間変わりませし、3年、5年もの定期預金の主要行の金利は、0.03%、0.04%ですから1年もの定期預金金利とあまり変わり映えがしません

例えば、100万円を1年定期預金にした時の利息は300円、税金を引かれた後の手取金は240円です。3年5年でも手取金は720、1,600円 (ただし、正確には、複利計算をしているので、これより手取金は増えます)となり、これでは前段で見た物価上昇には追いつかないことがわかると思います。

では、10億円以上の資産を持っていたらインフレに勝てるでしょうか ? 最近、富裕層が増え平成17年度の国税庁統計資料によると約2万世帯が10億円以上の資産を持っているそうです。10億円を1年定期預金した時の利息は30万円、手取金は24万円ですから、これだけのお金でもインフレには勝てないでしょう。もし、100億の預金があったら1年間の手取利息は240万円ですから「何とかインフレに勝てるかな ? 」という気がします。

とはいえ、これだけの預金を持っている人は微々たるものです。以上から、「預金はインフレに弱い」ということがわかると思います。

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