若者世代に広がる梅毒の恐怖

増える梅毒患者。梅毒とは、どんな病気?

若者世代に広がる梅毒の恐怖

梅毒患者の報告数が、昨年、1999年以降で最多となりましたが、今年(7月27日現在)は、前年同期比4割増の888人を記録しています。男性は20歳代から40歳代、女性では20歳代が増加。梅毒患者数の約30%を占める東京都では、患者の83%が男性でした。

梅毒とは、梅毒トレポネ-マという菌による感染症です。この菌は低酸素状態でしか長く生存できないため、感染経路は限定されます。感染した妊婦の胎盤を通じて胎児に感染する経路がありますが、大部分は菌を出している感染者との粘膜の接触を伴う性行為や疑似性行為によるものです。スクリーニングが進んでいるため、輸血による感染は極めてまれです。

感染後3週間くらいから様々な臨床症状が時間を追って出現します。感染後3週間目くらいまでに、感染部位(性器周辺)が赤くなり硬く腫れ、リンパ節がコリコリ腫れてきます(第1期梅毒)。感染後3~12 週では、全身に発疹が出てきます(梅毒性バラ疹)。それとともに発熱、全身のだるさ、性器にいぼ状のふくらみ、頭痛などが出現し、髪の毛が抜けることもあります(第2期梅毒)。さらに進行すると、脳にも影響がおよび命の危険にさらされます。妊娠している人が梅毒に感染した場合、流産や死産の原因となることもあります。

梅毒は治療可能な病気。性器周辺に違和感があれば、医療機関へ

梅毒は、ペニシリンを使えば、初期であれば完治可能な感染症です。診療所や病院で血液検査をすれば診断がつく場合が多いので、性行為後、性器周辺に違和感があれば、すぐ医療機関に相談しましょう。泌尿器科、婦人科、内科で診察しています。

予防としては、感染者、特に感染力の強い第1 期及び第2 期の感染者との性行為、疑似性行為を避けることが基本です。性行為後に異常があれば、あるいはパートナーの性器あるいは全身に異常があれば、感染を拡大するのを防ぐため、性行為を避けることが重要です。コンドームの使用の効果は高いですが、完全ではなく、他の性病と比べると効果が少し弱いとも言われています。疑似性行為によっても感染することがあり、口腔内に感染した場合は目立ちにくく、自覚症状が少ないので特に注意が必要です(厚生労働省:オーラルセックスによる性感染症に関するQ&A)。

梅毒は治療可能な病気ですので、気になったら、パートナーを守るために、すぐ医療機関に受診しましょう。患者の個人情報は保護されますから、安心して受診してください。

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