若者が田舎暮らしを希望するワケ
田舎暮らしを希望する人の割合が増加
今、田舎暮らしを希望する人の割合が大幅に増えているそうです。内閣府による世論調査では、「農村部に定住してみたい」と答えた人は約32%で、2005年の調査結果と比べると11ポイントも増加しました。年齢別で最も高いのは20代で、約29%の人が「願望がある」と答えています。ただし、「すぐに移住したい」という人は、わずか3.4%でした。
最も低かったのは70代で、約23%。やはり、高齢になると利便性や医療機関の充実などから都市部を望むのか、約56%は「願望が無い」とまで答えています。
なぜ、若者たちは、田舎暮らしへの願望を抱くのでしょう?
ソーシャルメディアの普及によってコミュニケーションが複雑に
現在は、Facebook、Twitter、ブログ、LINEなどのソーシャルメディアの普及によって、リアルな生活の他に、特に若い世代を中心に「オンラインで、もう一つの生活をしている」といっても過言ではありません。
感情や態度について矛盾したメッセージが発せられたときの人の受けとめ方について研究された「メラビアンの法則」で考えると、コミュニケーションにおける「言語が持つ情報量」は10%弱にすぎません。活字がメインのオンラインの生活の中では、その10%を一生懸命に駆使しながら互いにコミュニケーションを図っています。しかも、その速度は、とてつもなくスピーディーです。
また、オンライン上のコミュニケーションは、情報流出、いじめ、誹謗中傷、性的事件のきっかけなど、様々な危険をはらんでいます。便利なオンラインの世界は、代償としてコミュニケーションを複雑にし、若者を疲弊させてしまっている、ともいえるでしょう。
「○活」という活動も、若者の心を疲れさせる要因に
そして、「就活」「恋活」「婚活」「ソー活」「朝活」などの「〇活」という活動も、若者たちの心を疲れさせている要因といえます。「隣の芝生は青く見える」ともいわれますが、人は「自分に満ちていない」と感じるものを他者に見出して劣等感を感じます。「誰かがやっているから」「誰かに遅れをとりたくないから」といった気持ちに迫られる感覚を抱く人も少なくありません。
便利だけど、どこか生きづらい現代。人の手や意思が加えられてない山や海などの自然を見て、若者たちはホッとするのでしょう。都会やオンライン世界の喧騒から離れ、できれば田舎で暮らしたいと願ってしまうのかもしれません。
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