慰謝料をもらえない女性の離婚理由
離婚後に経済的に困窮しないよう、慰謝料や養育費の請求は必要
近年、女性の社会進出が進み、男性と比べても遜色ない年収を得る人が増えています。しかし、それでもなお、専業主婦をしている人や、パートやアルバイトで十分な収入が得られない女性が多いのが現状です。そのため、経済的理由で離婚に踏み切れない人や、離婚した後に経済的に困窮することになってしまう人が多くいます。
そのようなことにならないために、離婚の際に、正当な権利として、慰謝料や、子どもがいる場合は養育費を請求することが必要となります。しかし、一言で慰謝料や養育費といっても、「離婚」=「慰謝料や養育費の請求権」となるわけではありません。
そこで、どのような場合に、これらの請求権を有するのか、あるいは有しないのかを知ることが重要です。
単なる性格の不一致や、女性に有責行為があれば認められにくい
では、慰謝料請求権はどのような場合に有するのでしょうか。まず、「慰謝料」とは、相手方の有責行為による精神的苦痛に対する損害賠償であることを認識しましょう。
すなわち、慰謝料が認められるためには、相手方に不貞行為やDV(ドメスティックバイオレンス)があった場合、そして、正当な理由なく性交渉を長期間拒否し続ける場合、生活費を渡さず経済的に困窮させる場合などによって、精神的苦痛を受けたことを客観的証拠によって証明することが必要となります。
逆に言うと、単なる性格の不一致や、夫婦関係が事実上破綻してからの不貞行為を理由とするものや、自らにも有責行為がある場合は「一方的に精神的苦痛を受けた」とは言いにくいため、慰謝料は認められにくくなります。ただし、自らに有責行為がある場合でも、相手方の有責行為と比較した上で減額される可能性は高いものの、慰謝料請求が全く認められないこととなるわけではありません。
なお、慰謝料請求権には3年という時効があるため、離婚してから後々請求しようとして、「時すでに遅し」というようなことにならないように気をつけましょう。
養育費請求権は、子どもを引き取る側が相手方に対して有する
また、養育費請求権は、どのような場合に有するのでしょうか。この点、法律上、両親には子に対する扶養義務があるため、基本的には親権者として子どもを引き取る側は、相手方に対して養育費請求権を有することになります。そして、その支払期間については、双方の資力や家庭環境などを総合的に考慮して判断されるものであり、裁判例においても、18歳までとする場合や、高校卒業や大学卒業までとするものなどケースによって様々です。
もちろん、相手方が扶養義務に対して不誠実であったり、そもそも経済的に支払い能力がないなどの理由によって現実的には支払われないことがあります。そのような場合は、裁判所に調停などを申立て、調書や審判書をもらい、相手方の財産、給料等を差し押さえたりして、強制執行する必要があります。
また、子どもを引き取った親権者が再婚をして、再婚相手が引き取った子どもと養子縁組をした場合や、相手方が再婚し、家族が増えた場合などに、相手方の請求により減額が認められる場合もあります。
このように、慰謝料にしても養育費にしても、その額・支払方法・期間は状況により様々ではありますが、自分自身や子どもの未来のためにも、まずは、当事者である二人が話し合いによって交渉してみることをお勧めします。
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