トップの外部招へい、成功のポイントは

社外からの人材登用のメリットは「しがらみ」に縛られないこと

トップの外部招へい、成功のポイントは

サントリーホールディングスの次期社長に新浪剛史氏が抜擢されたニュースを見て、驚いた人も多かったのではないでしょうか。これまでにも企業体質の変革のために、外部からトップを招聘されることがしばしばありました。IBMのルイス・ガースナー氏や日産のカルロス・ゴーン氏、近いところではJALの稲盛和夫氏が社外からトップとして抜擢され、企業変革を成功に導きました。

社外からの人材登用の最大のメリットは、組織内にある諸々の「しがらみ」に縛られることなく経営できる点です。企業変革の成功例を見ていても、経営の基本に逆らうような奇抜な手法が用いられることはなく、基本に忠実な「王道」であることがほとんどです。要は、それを「断行」できるかということが問題なのですが、内部の人間では様々な人間関係や利害関係などが複雑に絡まり、なかなか実行できないということがあります。

理念やビジョン、価値観を確認し、人間性を見て登用することが必要

ただし、成功例ばかりではありません。ヒューレット・パッカードのカーリー・フィオリーナ氏のように、失敗に終わったケースも少なくありません。また、中小企業においては、大手企業出身者を部署の責任者として登用するケースもありますが、私の知る限りでは、成功例より失敗例の方が多い印象を受けています。ただ単に社外から人材を登用すれば変革が進むという、単純なものではありません。やはり、押さえておくべきポイントがあります。

最初のポイントは、社外から来た人材が打ち出す企業変革の方向性と、これまでに組織が大切にしてきた価値観(理念やビジョン)が合致しているという点です。東京都の局員から「はとバス」の経営者に抜擢され、瀕死の状態だった同社を再生させたことで有名な宮端清次氏は、「お客様第一主義」という同社の原点に立ち返り、それを隅々まで徹底することで再生を果たしました。これは企業変革の方向性が、組織が大切にしてきた価値観と合致していたため、社員たちが納得し意識を変革することができたのです。

次に、社外から来た人材が、真摯に社員と向き合うということです。前述の宮端氏は、やむなく賃金カットする時に、社員から出る批判・非難の声から逃げることなく真正面から向き合うことで、社内の信頼を得ました。企業変革には反発が付き物です。そんな時にこそ、その人が持っている人間性が試されます。やはり、能力や経験だけではなく、その人材の理念やビジョン、基本的な価値観をじっくりと確認し、人間性を見て登用することが必要といえるでしょう。

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