「自由診療」の金銭トラブルを防ぐには
保険を使わず、患者個人が医療費をすべて支払う「自由診療」
最近、保険診療と自由診療を併用する「混合診療」の話題をよく耳にします。
自由診療とは、ざっくり言うと「患者が希望すれば、法律に抵触しない限りにおいては、患者個人の責任で医療機関から好きな検査や治療が受けられる」というものです。医療費は、保険を使わず患者個人がすべて支払い、価格を決めるのも医療機関の自由ですので、費用は医療機関によって異なります。
具体的には、近視手術のレーシック、歯科のインプラント、予防接種、バイアグラのような勃起不全治療薬、脱毛症の薬などが有名です。また、日本では未承認の海外で使われている抗がん剤治療を日本で行うときも自由診療となります。
国内で未認可の治療法や薬剤を選択できるのがメリット
最大のメリットは、国内で保険上未認可の治療法や薬剤でも、法律に抵触しなければ受けることができる、ということです。最近、人気のレーシック治療は、近視を改善し、眼鏡やコンタクトレンズがいらなくなる患者が多い有効な治療です。ただし、高額な治療で、全員が受けられる治療ではありません。
では、なぜ保険診療とはならないのでしょうか?それは、眼鏡やコンタクトレンズをつけていても、健康に生きていくのに関して何ら問題がないからです。レーシックは健康に生きていくのに必要な手術ではないと考えられているため、そこに税金を注ぎ込むことができません。治療しないと失明する網膜剥離に対するレーザー療法と違うのがその点です。このように、代替え方法があり健康に生きていくのに問題がない治療や、安全性が日本人で確認されていない治療に関しては、税金を注ぎ込めないため自由診療となっています。
その後の合併症も自己負担。かかりつけ医に金銭的リスクの相談を
一方、最大のデメリットは金銭的負担です。保険診療は、保険でまかなわれているため、3割負担の人であれば7割が国の負担となります。それが、自由診療となると、10割が個人の負担に。また、それに伴う合併症、偶発症の治療も、保険でまかなうことはできません。
レーシックの治療を例に挙げると、レーシックの手術代に加え、手術を受けたことによって起こった何らかの合併症も、自由診療、すなわち自費になるわけです。国からすれば、「必要のない治療を自分の責任で受けて、何が起こっても保証しないよ」ということです。また、一般的にレーシックの手術を受けて、向こう6カ月間は、眼科で治療を受けたときに「健康保険の適用を受けることができない」とされています。
また、患者と医師の間の情報量の差が大きいため、不必要な治療を勧められたり、費用が不当に高かったり、また、その医療機関が十分な技術を持ち合わせていなかったりしても、患者からは判断しにくい状況です。
自由診療を選択する際、その治療と関係のない、かかりつけの先生から公平な情報を得たり、治療自体の金額だけではなく、その後の治療や検査、合併症発症時に必要な金額など、すべての説明を受けてから行うことをお勧めします。
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