目指せ!狩りガール no.2 一年先輩「狩りガール」とお茶を。<前編>(目指せ!狩りガール)

目指せ!狩りガール no.2 一年先輩「狩りガール」とお茶を。<前編>(目指せ!狩りガール)

今回は一般社団法人 大日本猟友会さんのサイト『目指せ!狩りガール』からご寄稿いただきました。
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目指せ!狩りガール no.2 一年先輩「狩りガール」とお茶を。<前編>(目指せ!狩りガール)

ありちゃん:食べることが大好き、アウトドアもちょっと好きな会社員。ひょんなきっかけから「ハンター」を目指すことに。東京都内在住。

カリタロー:狩りガール活動を応援するジビエ好きの犬。ありちゃんと一緒に勉強して、いつかカッコイイ猟犬になるのが夢。

だいぞう師匠:猟友会に所属している優しきオジサマハンター。自然のことにも詳しく、ハンター仲間として若者を育てています。

モモさん:関東在住の会社員。食生活を見直したことから農業に興味を持ち、獣害を知る。昨年、農家の役に立てればと猟銃の資格を取りました。ありちゃんより少し先輩、駆け出しの狩りガールです。

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コンチハ!カリタローです。狩りガール見習いとしての一歩を踏み出したありちゃん。狩猟免許や猟銃の所持許可のための手続きの合間に、先輩狩りガールのお話を聞くことができました!お相手は約一年前に猟銃の免許を取り、実猟にも一度出たことがあるモモさん。都内某所のカフェで話に花が咲きましたワン。

農家さんの役に立てたらいいな。

カリタロー:モモさんはありちゃんよりちょこっと先輩なんだよね。やっぱり気になるのは始めたきっかけかな。

ありちゃん:そうそう。どうして狩猟をはじめようと思ったんですか?お仕事関連とか?

モモさん:全然関係ないんですよ。そもそもは農業に興味があったの。

ありちゃん:ワタシと一緒だ!(前回参照)*1

*1:「no.1 -プロローグ- 「おいしい」のはじまりを知りたくて」『目指せ!狩りガール』
http://kari-girl.com/vol1.html

モモさん:実はアトピー性皮膚炎で悩んでいた時があって、食生活を見直そうと思ったの。それで食材のことから農業に興味を持って。お手伝いしながら農家さんの話を聞くと、獣による農林業被害の話が深刻だったのね。あと、獣害を防ぐ役目のハンターさんが高齢化してきているという問題も聞いて、何か役に立てないかな?と思い始めたのがきっかけ。

ありちゃん:そこで猟銃?

モモさん:最初は「わな猟」の免許を取ったんだよね。農家さんでもわなの免許を取る人が多いし。実際に猟をするというより、知識があった方が手伝う時に役に立てるかな?と思って免許を取ったの。

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カフェでガールズトークならぬ狩りトークを繰り広げている二人。

カリタロー:わな猟の免許を取ったことで知り合ったハンターさんのお話も聞けたんだよね。

モモさん:そう。だけど、わな猟のお話を聞くはずが、「銃も取ればいいのに」って勧められたの。さすがに銃まではちょっと……って思った。でもね、さらに話を聞くと、わな猟でも結局は「止めさし」のために猟銃を使えるハンターが必要って教えてもらって興味が湧いてきたんだよね。

ありちゃん&カリタロー:とめさし?

だいぞう師匠:ハンターのだいぞうです。二人が「?」の止めさしとは、一般的にわなにかかった獲物を確実に捕獲するためにとどめを刺すこと。安全に捕獲するため、また獲物である動物に苦痛を与えないためにも大切な手順なんだ。特に大型のイノシシやニホンジカでは銃器による止めさしが必要とされている。猟友会への協力が求められることも多いんだよ。

カリタロー:そっか。わなを使う農家さんにとっても猟銃を持つハンターとの連携は必要とされているんだね。

ありちゃん:そんな需要もあるんだ!

モモさん:さらに、そのハンターさんからメンバーの中で猟銃を手放す人がいるから銃ももらえるよって聞いて、ますますヤル気が出てきたの(笑)。

ありちゃん&カリタロー:え!猟銃ってもらえちゃうの???

モモさん:うん。結構手放す人が増えていて、もらえることが多いんだって。

だいぞう師匠:猟銃を買うのは高い!手に入れるのは難しい!という印象をお持ちの方が多いかもしれませんが、モモさんのように手放す人から譲り受けるケースも少なくないんですよ。 今、新しくハンターになる若手が少なくて、ハンター全体の数が減っています。狩猟では体力も必要。高齢化していくベテランハンターの中には、狩猟を続けることが難しく、猟銃を手放してしまう人も増えています。 悲しい現状だけど、その猟銃が若手に受け継がれるというのは良いことだなと思うのです。

まずは見学の旅へ。

モモさん:実際に猟銃を持つ前にいくつか狩猟の見学もしてみたの。まずは北海道東部の西興部(にしおこっぺ)村で女性ハンターさんが参加している「エゾシカエコツアー」に。これはハンターじゃなくても参加できるので行ってきました。そこで免許を取る実感がつかめてきた。

カリタロー:西興部村にはガイドハンターがいる猟区があるんだよね。ボクも北海道の大自然を見てみたいなー。

モモさん:ツアーでは実際にエゾシカ猟を見学して、解体から料理、シカ革を使ったクラフト体験までできるの。もう、もりだくさん!女性ハンターさんが楽しんでいる様子も見て、自分もできるかも?と思えたんだよね。料理もおいしかったし。

ありちゃん:うらやましーー!

モモさん:あと姫路ではイノシシの巻き狩り猟を見学して、勢子の皆さんと一緒に獲物を追って走ったよ。

ありちゃん:まきがり?せこ?

だいぞう師匠:ありちゃんが初めて聞いた「巻き狩り猟」とは数名で獲物を追って捕らえる方法で、主に大型の獲物に使われるよ。指示役が一人、持ち場で待機しながら獲物を撃つ射手が数名、そしてその持ち場に向かって獲物を追い出すのが勢子(せこ)なんだ。連携プレーだね。狩猟の方法は他にもあるけれど、その解説はまた別の機会に。

モモさん:見学とはいえ勢子役としてヤブの中を上り下り。しっかり機能派のウエアを着ていたんだけど、足下は滑るし、慣れない作業で頭から湯気が出たもんね(笑)。普段それほど運動もアウトドアもしていないので大変だったけど、面白さも実感できた。

ありちゃん:山のエクササイズですね(笑)。

モモさん:ほんと、いい運動になったよ。あと、ベテランのハンターさんは普通の長靴にそれほど機能的じゃないカッパ着て、猟銃担いで軽快に動いているの!それが格好良くて!

カリタロー:ベテランの余裕だ!かっけー。

ありちゃん:でも……快適なのがいいです。

モモさん:そうそう!特に女性は冷やさないためにも機能派ウエアを揃えた方がいいよ。温度調節できるものをね。

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メモを取りながら、甘い物を食べながら、先輩の話を聞くありちゃん。

どんなにおい?お肉の印象は変わった?

ありちゃん:見学には獲物の解体も含まれますよね。すごく気になるんですけど、どんなにおいがするのかな?

モモさん:皮をはいで、肉を切っていくんだけど、基本は内臓を開けないので、においはそれほど感じなかったな。

カリタロー:内臓を傷つけないように解体することは衛生面でも重要なんだって。ハムをもらったお肉屋さんに聞いたんだ。

ありちゃん:そうなんだ!てっきり、皆さんワイルドな香りをかいでいるのかと思ってた。あはは。

モモさん:でもね。参加してた男の人の中にはそれでも「うえ?」って青ざめている人もいたんだよ。解体風景が苦手だったのか、その後のBBQでもイマイチ食が進んでいなかったなぁ。

ありちゃん:女性の方が料理で肉を扱う機会が多いので、獲物の解体シーンに強いって聞いたことあります。

モモさん:確かに!女性ハンターの中には獲物のエゾシカの肉が見えた瞬間に「おいしそう!」って言っている人もいたもの。私もピンク色のキレイな枝肉(皮や内臓を取り除いた肉)を見たら「食べ物だ」としか思えなかった。解体の様子も料理の一部に思えるのか、食い入るように見ている女子たちが多かったよ(笑)。

カリタロー:そういう時、女性の方が興味しんしんなんだよね。

モモさん:ただ、前にシカの胃の内容物を調べる学生さんと一緒になった時は、内臓を開いたので発酵した干し草のようなにおいがしていたなぁ。あれは結構ワイルドな体験だった(笑)。

ありちゃん:そう聞くと、においをかいでみたいな……

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カフェのメニューになんと「エゾシカ肉のハム」が。出てきた瞬間、レディたちの目が輝きました!「シカ肉は鉄分が豊富だから女性におすすめなのよ」とモモさん。

ありちゃん:狩猟者になってみて、お肉を食べるときの感覚って変わりましたか?

モモさん:やっぱりお肉はごちそうだ!って思いました(笑)。準備して、しとめて、解体して、料理して。手順を考えると決して簡単なものじゃない。

ありちゃん:残さずいただきたいって思いますね。

モモさん:そうなの!手間をかけてわかるありがたみというか。植物であれ、動物であれ、生きるためには他の命をいただくんだなと、より実感するようになった。

ありちゃん:自分も生態系の一部になった気分。

モモさん:そしてお肉を獲る大変さがわかると「畜産というのは人類のロマン」って思うようにもなりました。

カリタロー:家畜が?

ありちゃん:わかる!だって、昔の人類は獲物を追って大陸を移動していたんだよ。

モモさん:それが、いつでも食べられる環境を作ったんだものね。

カリタロー:何だか話が広がるなあ。

モモさん:そうなの!農業、狩猟と興味を持って調べると、さらに知りたいことが増える。すると詳しい人にも出会えるし、こうして新しい友人もできる。狩猟免許を持つとさらに一歩踏み込むから、どんどん世界が広がっていくよ。

ありちゃん:そして実際に猟に出るとまた変化するのかな?

と、狩りガールズトークは続くのですが、今回はここまで。次回はついに一年先輩モモさんが実猟体験した話。お楽しみに。

後編につづく!

執筆:この記事は一般社団法人 大日本猟友会さんのサイト『目指せ!狩りガール』からご寄稿いただきました。

寄稿いただいた記事は2014年06月18日時点のものです。

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