SNS上での嫌がらせで自殺未遂……現代の闇を描いた映画『ディス/コネクト』のリアルな家族描写
ベネチア映画祭で10分間のスタンディングオベーション、世界中で観る者の心を掴んだ話題作『ディス/コネクト』が5月24日より公開。SNS上でのつながりと現実世界での関係性のギャップがきっかけで生じる人々の心の隙間を埋めていくことで、人間らしさと本当の豊かさを取り戻していく、珠玉のサスペンスフルヒューマンドラマです。
ある少年が、SNS上での嫌がらせを原因に自殺未遂を起こし、仕事ばかりで家庭を顧みなかった父親は、息子がなぜ自殺を図ったのかが分からなくて苦悩する。そして、嫌がらせをしていた少年自身も厳格な父との不和に悩んでいる。そんな問題を抱える2組の親子を中心に、つながりを求めてネット上をさまよう人々が、事件をきっかけに再び絆を取り戻そうとする姿を描いた、現代の私達が今観るべき作品だと言えるでしょう。
本作で印象的なのがリアルな家族の姿。今回公開された動画では、物語前半、ジェイソン・ベイトマン演じるリッチ・ボイド一家の食卓のシーンです。父、母、娘、息子の4人家族。特にお金持ちというわけではないですが仕事に熱心な父親のおかげもあり、とりわけ不自由なく大きな問題も無く暮らしているように見えます。
4 人揃って家族団らんなはずの食卓にどこかしら不穏な空気が流れています。リッチ・ボイドは弁護士で、クライアントには曲者も多く電話での相談も時間を選びません。忙しくて家を空けることも多い彼が、ようやく家族そろって食事ができると思っても、唐突に電話が鳴るので中座をすることもしばしば。母親に食卓でのスマホ使用をとがめられた息子のベンは父親も食卓でスマホを使っていることに納得できない様子です。母親のリディアと娘のアビーはベンが片時もスマホを離さない理由を勘ぐります。
思春期の息子や娘を持つ親からすれば、よくある光景かもしれませんが、この些細なやりとりが後の物語に大きく影響していきます。自らも忙しくしているので、強く息子をとがめられない父親と家族の微妙な距離感が描写されています。
せめて家族で食卓を囲むときにスマホは別の場所に置いておきたいものですが、身近に置いていないと不安になってしまう強迫観念と、スマホ中毒、繋がり疲れは、ツールの発達による現代的な弊害といえます。大事になる前に、ツールとの距離感を少し見直してみみるきっかけになるかもしれません。
映画『ディス/コネクト』は5月24日(土)より新宿バルト9他にて公開。
ディス/コネクト
http://dis-connect.jp/
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