Adobe MAX レポート:詳報(3) 携帯電話に『AIR』アプリ対応で何が変わる?

『Adobe MAX Japan 2009』の詳報、最終回です。各ニュースサイトで報じているとおり、基調講演ではNTTドコモが、ドコモの携帯電話でアプリケーションの開発/実行環境である『AIR』で製作したアプリに対応することを発表しました。携帯電話では、既に組み込み機器で動作する『Flash Lite』に対応していますが、多くの携帯電話で普及しているFlash Lite 1.1ではAction Scriptのバージョンが古い、100kBのファイルサイズが上限になっているなど、Flash制作者にとっては「携帯電話に特化した開発」が必要となっていました。『AIR』が動くようになることで、何ができるようになるのでしょうか。基調講演のデモの模様から考えていきましょう。

■オフラインの有用性は?
最初のデモは、業務用アプリケーションを『AIR』で動かす、というもの。たとえばFlashで制作したPC用のウェブアプリケーションと連携して、携帯電話でもPCと同じ情報が、同じインタフェースで確認できる、という内容でした。ここで『AIR』のメリットとして強調していたのが、「アプリならオフラインの環境でも使える」というもの。必要最小限の情報だけ先に読み込んでおき、地下鉄に乗るなど電波の届かない環境に移動した際、オフライン状態で使える、ということです。ここで気になるのは、携帯電話のメモリーがどれだけ使えるのか、ということ。キャッシュできるデータが少なければ、このメリットもあまり享受できません。仕様の発表が待たれるところです。

■動画や画像との連携には期待
次のデモは、音楽情報を提供するアプリケーション。アーティスト情報をPCで検索したら、あるバンドが都内でライブをやることを知り、携帯のアプリでライブ会場の情報を確認しながら移動する、という内容でした。携帯の画面には地図で会場を表示しながら、そのバンドのPVが同じ画面で再生されています。PCでは、Flashインタフェース上に動画を表示することは当たり前になっていますが、それが携帯電話でも可能になることを示唆しています。『YouTube』や『ニコニコ動画』といった、Flashビデオを採用している動画サービスとの親和性は高くなることが期待できそうです。

ほかにも、フォトアルバムのアプリケーションを使って、PCユーザーと携帯電話ユーザーがリアルタイムに写真を共有するデモが、最新機種の『HT-01A』を使って実演されました。『HT-01A』は、タッチパネルを採用したスマートフォン。スマートフォンの仕様ならこの程度のことは可能かもしれませんが、通常の携帯電話でもここまでできるようになるのでしょうか。

■複数環境のオンラインゲームで対戦
ガジェット通信的に気になるのが、「Flashゲームのアプリは作れるのか?」ということ。デモでは、ハドソンの『ボンバーマン』を、PC、テレビ(コンシューマーゲーム機?)、携帯ゲーム機、携帯電話の4ユーザーで対戦するイメージが発表されました。アドビシステムズは、複数のブラットフォームの様々な画面に対応して同じコンテンツを利用できる「オープンスクリーン」というコンセプトを提唱していますが、その実現性に注目していきたいところです。ゲーム制作者にとっては、アップルの『App Store』同様、携帯電話向けゲームアプリを携帯決済で流通できる可能性に期待ができます。

■関連リンク
Adobe MAX Japan 2009
Adobe MAX レポート:詳報(1) Flashの外部デバイス連動が熱い!
Adobe MAX レポート:詳報(2) FlashでもAR(拡張現実)

  1. HOME
  2. ガジェ通
  3. Adobe MAX レポート:詳報(3) 携帯電話に『AIR』アプリ対応で何が変わる?

shnsk

宮原俊介(エグゼクティブマネージャー) 酒と音楽とプロレスを愛する、未来検索ブラジルのコンテンツプロデューサー。2010年3月~2019年11月まで2代目編集長、2019年12月~2024年3月に編集主幹を務め現職。ゲームコミュニティ『モゲラ』も担当してます

ウェブサイト: http://mogera.jp/

TwitterID: shnskm

  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。