日向坂46が生み出した、“怪物級”のグルーヴ—ARENA TOUR 2025「MONSTER GROOVE」

開演前から独特の高揚感が漂う会場に、やがて鳴り響くのはおなじみの Overture。その瞬間、客席のペンライトが一斉に空色へと染まり、代々木はまるで巨大な星空のような輝きを放ち始める。スクリーンには宇宙を思わせる壮大な映像。ド派手なレーザー演出と重低音の効いたSEが重なり、ライブの幕開けを知らせた。
その勢いのまま1曲目に飛び込んできたのは、“NO WAR in the future 2020”。本来ならライブ後半のクライマックスに配置されることが多いこの曲を、あえてオープニングに持ってくるという大胆な構成。しかも今回はビートを前面に押し出した強烈なエレクトロアレンジが施されており、一音目から観客の鼓膜を震わせるほどの音圧で押し切ってくる。今年春のリミックスブロックを継承するような攻めの姿勢が、早くも“ツアーファイナルの本気”を示していた。



「ツアーファイナル!全員出しきれ!」という金村美玖の叫びが響くと、会場のテンションは一気に頂点へ。続く“夕陽Dance”、“キツネ”と、序盤から全力疾走のディスコグルーヴを畳みかける。さらにセンターステージから披露された“君はハニーデュー”では、メンバーが元気いっぱいの笑顔を振りまき、会場を多幸感で満たしていった。開幕早々から、まさに“MONSTER”という名にふさわしい圧倒的なGROOVEが支配していた。
MCを挟んだのち、空気は一転してしっとりと包まれる。“Love yourself!”は小坂菜緒のソロから始まる、ピアノのみのバラードアレンジ。透明感のある歌声が静寂を切り裂き、代々木を優しく震わせる。再びメンバー全員が合流し、日向坂らしい明るくまっすぐなハーモニーで楽曲に新たな息吹を与えていった。続いては五期生による“空飛ぶ車”。新参者公演を経て一段と磨かれたパフォーマンスは、チームとしての新たな世代の“一体感”を生み出し、フレッシュな風を会場に吹き込む。さらに正源司陽子・藤嶌果歩・渡辺莉奈の三人による“What you like!”では、弾ける笑顔とキュートなダンスが炸裂し、観客の心を一瞬で奪っていった。
「レッツグルーヴ!」の合図からは、期の枠を超えたメンバーシャッフルユニットのブロックへ突入。五期生・ 大野愛実によるソロのフィンガードラムコーナーでは、AKAIのMPCを巧みに操りながら観客のクラップを引き込み、キュートさとクールさを同居させた圧巻のパフォーマンスを披露。そこからさらに“足の小指を箪笥の角にぶつけた”“この夏をジャムにしよう”など、多彩なユニット曲がテンポ良く続き、会場は笑顔と熱気で満ち溢れていく。



そして、四期生・宮地すみれの「いつも頑張ってるみんなのもとへ笑顔を届けにいくよー!」という声を合図に、メンバーがトロッコに乗ってアリーナを周回。“どうする?どうする?どうする?”を明るく届けながら、会場全体をまるごと幸せで包み込んだ。その後は、ステージに戻った正源司陽子がギターを手に取り、歪んだディストーション…サウンドをかき鳴らす。火花が上がるステージでメンバーが踊り合い、熱気が一気に上昇する中、シームレスに“恋した魚は空を飛ぶ”へ。ハードなギターサウンドを背に、ここで凄まじいパフォーマンスを魅せたのは、大野愛実。クールさと激情を同時に体現する表情の鋭さに、「日向坂46の五期生には、“表現力のモンスター”がいるのか…」と正直かなり驚かされた。目に宿した確かな熱は、アイドルとしての頂に向かって進む者の覚悟そのものだった。
しかし、“表現力のモンスター”大野の躍動はここでは終わらない。再びブースに戻ると、「何でも知りたガール」というゆるいバースをキックするラッパー、松尾桜を支えながらMPCを叩き、フレッシュで新しいグルーヴを生み出していく。逸材揃いの五期生それぞれの才能が立ち上がるようなシーンに、未来への期待が自然と膨らむ瞬間だった。
クールなダンス・チューン“ナゼー”で空気を一変させたのち、ステージ中央に響き渡るのは平尾帆夏のピアノソロ。そこへハウスのビートが重なり、会場は一気に“その他大勢タイプ”の世界へとなだれ込む。続く“ハロウィンのカボチャが割れた 2025”では、おひさまたちの「カボチャ!」コールが炸裂し、代々木は一瞬でハッピーなオーラで満たされた。



ここからライブは後半戦へ突入。金村美玖が生ドラムを叩きながらパワフルなビートを刻む。金村がドラムを叩くのは、「HINABINGO!」やジェニーハイの「夏嵐」のMV、そして「日向坂46時間TV」でもお馴染みだが、この日は楽しそうに笑みを浮かべながらのスティック回しまで披露。多彩な特技を持つ、金村はまさに“才能のモンスター”と言える。続く“ああの娘にグイグイ”では、このグループを推さずにはいられないと思わせるほど、弾けるエネルギーに満ちたパフォーマンスを見せる。そのまま“好きということは…”へ雪崩れ込み、タオルも風船も舞うなか、会場全体が一体となって歓声を上げた。
“アディショナルタイム”では、クールな表情とはまた違う、強靭なグルーヴを全身で叩きつける。そして四期生楽曲のキラー・チューン“見たことない魔物”が始まると、代々木第一体育館が揺れるほどのコールが巻き起こった。まるで“見たことのないモンスター”そのものが現れたかのような圧倒的な勢いで盛り上げる。天井を突き抜ける会場の熱量は、龍が現れたかと錯覚するかのごとく湧き上がっていた。。



メンバーの煽りに応えるようにテンションはさらに上昇し、“愛はこっちのものだ 2025”へ。開演前のVTRで予習をしていたおひさまたちの巨大なコールがステージへ返され、ラストサビではキャプテン・高橋未来虹の「代々木ーー!!!騒げーーーー!!!」という絶叫が響き渡る。先代キャプテンを彷彿とさせるその気迫は、まさに圧巻のパフォーマンスだった。
続いてセンターステージに立ったのは金村美玖と小坂菜緒。ふたりが静かに、美しく舞うその時間は、観ている者すべてが「この瞬間が永遠に続けばいい」と願ってしまうほどの儚さを帯びていた。さらにユニット曲“See Through”を披露し、研ぎ澄まされたクールさと圧倒的な表現力で観客を魅了する。そのまま、金村と小坂がWセンターを務める本編ラスト“お願いバッハ!”へ。しなやかさと美しさを兼ね備えたダンスが決まり、会場は大きな拍手に包まれた。



アンコールは、日向坂46を象徴する1曲“キュン”。これまでの歴史を継承しながらも、今の彼女たちにしか生み出せない新たなグルーヴを感じさせる。そしてラストナンバーは“Expected value”。切なく、胸に迫るエモーショナルな歌声が会場を包み込み、メンバー一人ひとりのまっすぐな瞳からは、未来へ向かう覚悟と決意が滲んでいた。
——しかし、物語はまだ終わらない。
鳴り止まない声援に応えるように、Wアンコールが始まる。披露されたのは“誰よりも高く跳べ!2020”。ステージからも客席からも、全力でぶつけ合うエネルギーが轟き、代々木は最後の最後まで揺れ続けた。そのグルーヴは、日向坂46がこれからもさらに高く跳び続ける未来を、確かに予感させた。


取材&文:ニシダケン
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ライブ情報
日向坂46 ARENA TOUR 2025「MONSTER GROOVE」セットリスト
2025.11.21(FRI)
01.NO WAR in the future 2020
02.夕陽Dance
03.キツネ
04.君はハニーデュー
05.Love yourself!
06.空飛ぶ車
07.What you like!
08.足の小指を箪笥の角にぶつけた
09.この夏をジャムにしよう
10.どうする?どうする?どうする?
11.恋した魚は空を飛ぶ
12.ナゼー
13.その他大勢タイプ
14.ハロウィンのカボチャが割れた 2025
15.あの娘にグイグイ
16.好きということは…
17.アディショナルタイム
18.見たことない魔物
19.愛はこっちのものだ 2025
20.See Through
21.お願いバッハ!
《アンコール》
22.キュン
23.Expected value
《Wアンコール》
24.誰よりも高く跳べ!2020
ライブ情報
■最新ライブ
神奈川県・横浜スタジアム
2026年4月4日(土) 開場17:00 / 開演18:30
2026年4月4日(日) 開場17:00 / 開演18:30
リリース情報
■リリース情報
日向坂46 16thシングル『クリフハンガー』
発売日:2026年1月28日(水)
-CD Package-
https://hinatazaka46.lnk.to/20260128_Cliffhanger_PKG
【Blu-ray付き】
初回仕様限定盤TYPE-A(SRCL-13520~13521)¥2,000(税込)
初回仕様限定盤TYPE-B(SRCL-13522~13523)¥2,000(税込)
初回仕様限定盤TYPE-C(SRCL-13524~13525)¥2,000(税込)
初回仕様限定盤TYPE-D(SRCL-13526~13527)¥2,000(税込)
※初回仕様限定盤・封入特典
応募特典シリアルナンバー封入・メンバー生写真(各TYPE別28種より1枚ランダム封入)
【通常盤/CDのみ】
通常盤(SRCL-13528)¥1,200(税込)
アーティスト情報
■日向坂46 OFFICIAL WEBSITE
https://www.hinatazaka46.com/
■日向坂46 OFFICIAL X
@hinatazaka46
■日向坂46 OFFICIAL YouTube CHANNEL
https://www.youtube.com/@46officialyoutubechannel99
https://www.youtube.com/@hinatazakachannel
■日向坂46 OFFICIAL TikTok
https://www.tiktok.com/@hinatazakanews
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