【発売直前】あの初音島が、新たな輝きで帰ってきた!『D.C. Re:tune ~ダ・カーポ~ リチューン』先行プレイレポート
2002年——あの年、私たちは初音島に出会った。永遠に散らない桜の木の下で、音夢、さくら、ことりたちと過ごした日々は、多くの美少女ゲームファンの心に深く刻まれている。『D.C. ~ダ・カーポ~』は、その後のシリーズ展開も含めて、美少女ゲーム史において特別な地位を築いてきた作品だ。
そして2025年10月30日、CIRCUSとブシロードによって、あの『D.C.』が完全新作としてフルリメイクされる。その名も『D.C. Re:tune ~ダ・カーポ~ リチューン』。今回、発売に先駆けて本作をプレイする機会を得たので、23年ぶりに帰ってきた初音島の様子をレポートしたい。
▲タイトル画面で流れる優しいピアノの音色。オリジナル版を思い出す……。
変わらぬ物語、深まる魅力——キャラクターたちとの再会
シナリオは基本的にオリジナル版を踏襲しつつ、細部の調整や追加シーンが盛り込まれている。主人公・朝倉純一の「かったるい」が口癖の脱力系キャラクターぶりは健在で、彼の持つ「和菓子を生み出す力」と「他人の夢を見せられる力」という不思議な能力も、物語の重要な要素として機能している。
▲ミスターかったるい、再び。
義妹の朝倉音夢(CV:本渡楓)は相変わらず甘えん坊で口うるさく、純一への独占欲を隠そうともしない。彼女のツンデレぶりは、現代の視点で見ても古びることなく、むしろ「義妹キャラの原点」ともいえる魅力を再確認させてくれる。
▲この距離感こそ音夢。
白河ことり(CV:市ノ瀬加那)は学園のアイドル的存在で、歌の上手さと控えめな性格が魅力。彼女のルートでは、純一との友情以上恋愛未満の微妙な関係性が、じれったくも甘酸っぱく描かれる。
▲今もなお『D.C.』ファンに愛され続けるヒロイン・白河ことり。
そして何より、6年前に海外へ行ってしまった幼馴染・芳乃さくら(CV:千春)の帰還が物語の核となる。しかも彼女は、6年前と全く変わらない姿のまま帰ってくる——この謎が、初音島の不思議な桜の力と絡み合いながら、物語の重要なカギとなっていく。
▲シリーズをプレイしていると、どうしても“さん”を付けたくなる。
ほかにも、屋上で出会う水越萌(CV:鈴代紗弓)、水越眞子(CV:伊駒ゆりえ)姉妹、人懐っこい後輩・天枷美春(CV:伊藤美来)、ネコ耳メイド・鷺澤頼子(CV:石原夏織)といった、人気ヒロインたちも揃い踏み。
▲水越姉妹とのランチは屋上鍋パ。
彼女たちとの恋愛模様はもちろん、杉並や工藤といったサブキャラクターたちとの学園青春ストーリーにも注目だ。
なお、ひとりのオリジナル版ファンとして驚いたのが、各ヒロインたちの私服。じつは現代に合わせてリデザインされており、その子らしさは残しつつより今っぽくなっている。かなり可愛いデザインになっているので、こちらもぜひ注目を。
新たな風を吹かせる——完全新規ヒロイン「風祈」の登場
本フルリメイク版における最大の注目要素が、完全新規ヒロイン「風祈(ふうき)」(CV:遠野ひかる)の登場だ。公式では「島を訪れた異邦の少女」と紹介されている彼女は、どこか謎めいた雰囲気を纏っている。
プレイして感じたのは、風祈というキャラクターがただの「追加要素」ではなく、物語全体に有機的に組み込まれているということだ。旅の道中で初音島に興味をもち、しばしの滞在を決めたという風祈。彼女の視線を通した初音島はまた違ったものに見えそうだ。
▲風祈とは初音島の廃寺で出会う。
遠野ひかる氏の演技は落ち着いていて、どこか達観したような雰囲気を醸し出している。オリジナル版を知るファンにとって、新しい要素への不安もあったかもしれないが、風祈は自然な形で初音島の世界に溶け込んでおり、むしろ彼女の存在によって物語に新たな深みが加わったと感じられる。
果たして、彼女の正体とは……?
“こそばゆい”という表現の的確さ
本作のジャンルは「こそばゆい学園恋愛ストーリー」と銘打たれている。この「こそばゆい」という表現が、実に的を射ている。純愛と甘酸っぱさ、そして時折差し込まれる切なさ——『D.C.』の魅力は、まさにこの「こそばゆさ」にある。
恋愛関係になる前の微妙な距離感、意識しているのかしていないのか分からない相手の態度、偶然のキスやハプニング——こうした青春の甘酸っぱい瞬間を、本作は丁寧に、そして効果的に描いていく。大人になった今プレイしても、思わず「うわぁ…」と顔が緩んでしまうようなシーンが満載だ。
また、フルリメイクにあたって新規スチルイラストも追加。シナリオをより深く楽しめるようになっているのも嬉しいポイントだ。
▲イラストやヒロインごとのシーン回想、音楽などは、メインメニューの「EXTRA」から確認できる。
そして、『D.C.』を語るうえで欠かせない音楽の魅力も健在。オリジナル版の多くのBGMたちがアレンジされて収録されている。プレイしていると耳に残るいつかの記憶。オリジナル版の頃を思い出し、思わず胸が熱くなった。
BGMは場面ごとに適切に使い分けられ、日常シーンの穏やかさ、恋愛シーンのときめき、クライマックスの高揚感を効果的に演出している。音楽面においても、「懐かしさ」と「新しさ」のバランスが絶妙だ。
23年の時を経て、今こそ初音島へ
『D.C. Re:tune ~ダ・カーポ~ リチューン』は、オリジナル版をプレイした私たちにとっては「懐かしい故郷への帰還」であり、新規プレイヤーにとっては「美少女ゲームの名作への入口」となる作品だ。
23年という歳月は長い。当時高校生だったプレイヤーは、今や40代になっている。しかし、このリメイクをプレイして改めて感じるのは、良い物語は時代を超えるということだ。純愛の甘酸っぱさ、青春の輝き、そして仲間たちとの絆——こうした普遍的なテーマは、今なお私たちの心を打つ。
もちろん、現代の目で見れば古典的に感じられる部分もあるかもしれない。しかし、それこそが『D.C.』の魅力でもある。流行に流されない、王道の学園恋愛ADVとしての矜持が、この作品にはある。
オリジナル版をプレイした方には、あの頃の思い出と共に新たな発見を。初めて初音島を訪れる方には、美少女ゲームの金字塔の一つを体験する機会を。『D.C. Re:tune ~ダ・カーポ~ リチューン』は、すべての美少女ゲームファンにお勧めできる、珠玉の学園恋愛ストーリーだ。
『D.C. Re:tune ~ダ・カーポ~ リチューン』は2025年10月30日、Nintendo Switch、Steam、Windows、DMM GAMESで発売予定。永遠に散らない桜の木の下で、また会いましょう。
作品概要
D.C. Re:tune ~ダ・カーポ~ リチューン
■ジャンル:こそばゆい学園恋愛ストーリー
■発売日:2025年10月30日
■スタッフ:
キャラクターデザイン:たにはらなつき、鷹乃ゆき
原画:たにはらなつき、鷹乃ゆき、あずまはる、しゃゆり
シナリオ統括:愛羽
企画・制作:CIRCUS
販売:ブシロード
■対応機種:Nintendo Switch™/Steam®/Windows/DMM GAMES
■対応言語:日本語/英語/簡体字/繁体字
■CERO:B
■価格:
パッケージ限定版:¥28,600(税込)
パッケージ通常版:¥9,680(税込)
ダウンロード版:¥8,800(税込)
■公式HP:https://dcre.bushiroadgames.com/
©CIRCUS ©bushiroad
(執筆者: sasuke_in)
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