Googleの新スマホ「Pixel 10/10 Pro/10Pro XL」レビュー 進化した超解像ズームと親しみやすくなったAI機能に注目

Googleが8月28日に発売したPixelスマートフォン新製品「Pixel 10」「Pixel 10 Pro」「Pixel 10 Pro XL」のレビューをお届けします。Pixel 9シリーズ同様、コンパクトサイズの無印モデルと同サイズのProモデル、Proモデルの大画面版の3製品をラインアップしています。
デザインは前モデルを踏襲しQi2ワイヤレス充電に対応


デザインはPixel 9から大きな変更はなく、フラットな板状の本体に楕円形のカメラバーが載った形状。四隅は角を丸め、前モデル同様の優しい印象です。


無印モデルはフレームがマット仕上げで背面ガラスは光沢仕上げ、10 Pro/10 Pro XLはフレームが光沢仕上げで背面ガラスはマット仕上げという外観上の違いも前モデル同様。背面のGロゴがProモデルはメタリック、という違いが新たに加わりました。

Google純正のケースはカメラバーをしっかり守りながら側面と背面をすっぽり覆うデザイン。素材はいずれもマットなシリコン素材なので、どの機種もサイズ以外の見た目は同じになります。


シリーズに共通したハードウェアのトピックが、ワイヤレス充電Qi2への対応。Pixel 10とPixel 10 Proは最大15W出力、Pixel 10 Pro XLはQi2.2規格の最大25W出力でワイヤレス充電できます。Qi2はAppleのMagSafe技術をベースに策定されるワイヤレス充電規格なので、充電器や三脚用マウントなどラインアップ豊富なiPhone向けMagSafeアクセサリーがPixelで利用可能になるのは大きなメリットです。Googleはマグネット対応アクセサリーを「Pixelsnap」の名称に統一して、充電器やケース、リングスタンドなどを発売しています。
無印モデルで初めて望遠カメラを搭載したPixel 10



Pixel 10の本体サイズはH152.8×W72.0×D8.6mm、重量は204g。本体カラーはObsidian、Frost、Indigo、Lemongrassの4色です。ディスプレイは6.3インチ 1080×2424 OLEDのSuper Actuaディスプレイで、最大輝度は2000ニト、最大120Hzの可変リフレッシュレート。背面、ディスプレイ面ともガラスにはCorning Gorilla Glass Victus 2を採用しています。
Tensor G5チップを搭載し、OSはAndroid 16。7年間のOS、セキュリティー、Pixelアップデートを保証します。RAMは12GB、ストレージ容量は128GBと256GB。バッテリー容量は4970mAh。スーパーバッテリーセーバーを使うことで最長100時間のバッテリー寿命を実現します。有線では最大30Wの急速充電により約30分で最大55%の充電に対応し、ワイヤレス充電は最大15Wに対応します。IP68に準拠した防水防塵、FeliCa、超音波センサーによる指紋認証、顔認証、Wi-Fi 6Eに対応します。

無印モデルで初めて望遠カメラを追加した3眼カメラを搭載。Pixel 10シリーズ全モデルが望遠カメラ搭載となりました。画角82°の4800万画素広角、画角120°の1300万画素超広角、光学5倍で最大20倍の超解像ズームに対応する1080万画素望遠の構成。インカメラは画角95°の1050万画素。
後述するAI機能はProモデルと同等で、Qi2ワイヤレス充電、最大20倍で撮影できる望遠カメラが追加されたPixel 10。無印でも十分魅力を感じられる充実したスペックとなっています。Googleストアでの販売価格は128GBモデルが12万9800円(税込)、256GBモデルが14万3900円(税込)です。
最大100倍の「超解像ズーム Pro」に対応したPixel 10 Pro/10 Pro XL



10 Proの本体サイズはH152.8×W72.0×D8.6mm、重量は207g。10 Pro XLの本体サイズはH162.8×W76.6×D8.5mm、重量は232g。本体カラーはいずれもMoonstone、Jade、Porcelain、Obsidianの4色です。ディスプレイは10 Proが6.3インチ 1280×2856 LTPO OLEDのSuper Actuaディスプレイ、10 Pro XLが6.8インチ 1344×2992 LTPOのSuper Actuaディスプレイで、いずれも最大輝度は2200ニト、最大120Hzの可変リフレッシュレート。背面、ディスプレイ面ともガラスにはCorning Gorilla Glass Victus 2を採用しています。
Tensor G5チップを搭載し、OSはAndroid 16。7年間のOS、セキュリティー、Pixelアップデートを保証します。RAMは16GB、ストレージ容量は256GBと512GB。バッテリー容量は10 Proが4870mAh、10 Pro XLが5200mAh。スーパーバッテリーセーバーを使うことで最長100時間のバッテリー寿命を実現します。有線では10 Proは最大30Wの急速充電により約30分で最大55%、10 Pro XLは最大45Wの急速充電により約30分で最大70%の充電に対応します。ワイヤレス充電は10 Proが最大15W、10 Pro XLが最大25Wに対応。IP68に準拠した防水防塵、FeliCa、超音波センサーによる指紋認証、顔認証、Wi-Fi 7に対応します。

カメラバーには画角82°の5000万画素広角、画角123°の4800万画素超広角、光学5倍で最大100倍の超解像ズームに対応する4800万画素望遠の3眼カメラを搭載。インカメラは画角103°の4200万画素。100倍のズームはTensor G5と最新の生成AI画像モデルを活用し、細部を復元することで高画質化する技術で、「超解像ズーム Pro」と呼んでいます。
16GB RAMと高精細なディスプレイ、そして最大100倍の超解像ズーム Proを搭載する10 Pro/10 Pro XL。10 Pro XLなら大画面ディスプレイに加えて、最大25WのQi2.2ワイヤレス充電が利用できます。Google ストアの販売価格は、10 Proの256GBモデルが17万4900円(税込)、512GBモデルが19万4900円(税込)。10 Pro XLの256GBモデルは19万2900円(税込)、512GBモデルは21万2900円(税込)。
カメラの作例をチェック
カメラの作例は例によって、浅草の街の風景を撮影してみました。Pixel 9シリーズの作例と見比べてみたい方は、昨年の記事をご覧ください。なお、10 Proと10 Pro XLは同じカメラを搭載するため、今回は10 Pro XLで撮影した作例を掲載します。
昨年の記事はこちら:
Googleの新スマホ「Pixel 9」「Pixel 9 Pro XL」レビュー 基本性能がアップした無印と大画面上位モデルをじっくり比較
https://getnews.jp/archives/3552251[リンク]
■Pixel 10 Pro XLの望遠&ズーム作例

▲Pixel 10 Pro XLで撮影(1倍) f/1.68 1/612 6.9mm ISO 19

▲Pixel 10 Pro XLで撮影(2倍) f/1.68 1/781 6.9mm ISO 18

▲Pixel 10 Pro XLで撮影(5倍) f/2.8 1/1272 17.906mm ISO 75

▲Pixel 10 Pro XLで撮影(10倍) f/2.8 1/1887 17.906mm ISO 42
望遠と超解像ズームの性能を、浅草寺の五重塔で検証。Pixel 10 Pro XLは、広角カメラで1倍、カメラアプリのシャッターボタン近くにある「2」の倍率をタップして広角の2倍ズーム、「5」「10」をタップして光学5倍の望遠カメラでの撮影に切り替わります。広角、望遠のいずれも、屋根の造形のディテールや頂上の「相輪」と呼ばれる構造がシャープに写っていますが、望遠の描写の緻密さはPixel 9 Proシリーズを上回る仕上がりに。

▲Pixel 10 Pro XLで撮影(100倍) f/2.8 1/847 17.906mm ISO 43

▲Pixel 10 Pro XLで撮影(100倍) f/2.8 1/1300 17.906mm ISO 48
相輪の先端の宝珠、その下にある炎を模した「水煙」と呼ばれる装飾を100倍で撮影した超解像ズーム Proの作例は、舌を巻く仕上がり。ブレによりぼやけた輪郭をしっかり補正して、被写体がすぐ目の前にあるかのように描写してくれます。

加工前後の画像を保存可能。Pixel 10シリーズはCoalition for Content Provenance and Authenticity(C2PA)が策定するコンテンツ認証情報に対応していて、加工後の写真は「AIツールで編集」の情報が付与されていることをGoogleフォトのモバイルアプリから確認できます。
■Pixel 10の望遠&ズーム作例

▲Pixel 10で撮影(1倍) f/1.7 1/989 4.53mm ISO 26

▲Pixel 10で撮影(2倍) f/1.7 1/1124 4.53mm ISO 27

▲Pixel 10で撮影(5倍) f/3.05 1/880 14.2mm ISO 44

▲Pixel 10で撮影(20倍) f/3.05 1/1307 14.2mm ISO 49
Pixel 10は、広角カメラで1倍、カメラアプリのシャッターボタン近くにある「2」の倍率をタップして広角の2倍ズーム、「5」をタップして光学5倍の望遠カメラでの撮影に切り替わります。超解像ズームで最大20倍の撮影に対応。5倍までは10 Proシリーズと遜色ない仕上がりで、20倍でも十分解像感のある写真に仕上がっています。
■Pixel 10 Pro XLの超広角作例

▲Pixel 10 Pro XLで撮影(広角) f/1.68 1/1488 6.9mm ISO 20

▲Pixel 10 Pro XLで撮影(超広角) f/1.7 1/5848 2.02mm ISO 78
■Pixel 10の超広角作例

▲Pixel 10で撮影(広角) f/1.7 1/2096 4.53mm ISO 33

▲Pixel 10で撮影(超広角) f/2.2 1/3322 1.854mm ISO 66
浅草寺の宝蔵門を超広角で撮影した、Pixel 10 Pro XLとPixel 10の作例を比較してみましょう。Pixel 10シリーズでは広角、超広角とも無印モデルは画素数やイメージセンサーサイズの面でProシリーズのカメラより少し劣るものの、解像感も色味も遜色ない仕上がりに見えます。
■夜景の作例比較

▲Pixel 10 Pro XLで撮影(広角) f/1.68 1/33 6.9mm ISO 24

▲Pixel 10 Pro XLで撮影(超広角) f/1.7 1/24 2.02mm ISO 222

▲Pixel 10で撮影(広角) f/1.7 1/50 4.53mm ISO 39

▲Pixel 10で撮影(超広角) f/2.2 1/39 1.854mm ISO 671
同じ場所で夜景モードにより撮影。超広角では無印モデルが周辺部の暗い場所でノイズが残るものの、広角ではあまり差が感じられませんでした。
親しみやすくなったAI機能
新しいTensor G5チップにより、スマートフォン上でテキスト、画像、音声を理解するマルチモダリティを備えたAIモデル「Gemini Nano」の最新モデルが実行可能になり、強化された各種AI機能を搭載します。AI関連のアップデート内容は、AIをより身近に感じる親しみやすさが強まった印象です。


「カメラコーチ」は、カメラを起動してボタンをタップすると、被写体を分析して構図やアングルを提案してくれる機能。レゴのミニフィギュアにカメラを向けてカメラコーチを起動すると、被写体がストームトルーパーのミニフィギュアであることを認識します。「ストームトルーパーのクローズアップ」「レゴのディテール」など構図を提案してくれるので、構図を選んだら「ズームインしてレゴのストームトルーパーを写す」「カメラの影を外して撮影する」「ストームトルーパーをフレームの中心に配置する」など、カメラコーチの指示どおりに操作するだけでカメラ初心者でも最適な構図の写真を撮影できます。カメラに慣れた人でも、新鮮な提案が受けられるかもしれません。

「今日のまとめ」は、ユーザーのスケジュールや興味関心に応じたトピックをまとめてくれる機能。トピックはその日の天気、カレンダー上の予定、エンタメ関連のおすすめコンテンツ、特定のテーマの情報まとめから構成されています。注目したいのが「探索」と分類される情報まとめで、選択したテーマについて複数提示されるトピックについてGeminiを起動してまとめ記事が読める他、続けてGeminiと会話しながらさらに情報を調べることができます。ユーザーの興味関心に合わせたトピックを提示することで、Geminiと慣れ親しむ入口としてよく考えられた仕掛けと言えそうです。

リアルタイム音声対話ができるAIアシスタント「Gemini Live」では、画面の共有やカメラのライブ映像の入力が可能に。例えばフィギュアが並んでいる棚の前で「この中にキングギドラはいる?」「キングギドラとゴジラはどっちが強い?」と会話を進めることができます。隣にいて、目の前のものを一緒に見ながら会話する友人のような存在に感じられるようになりました。

AIの文字起こしや要約を親しみやすくするのが、AIメモアプリ「NotebookLM」との連携機能です。NotebookLMはPDFやウェブサイト、YouTubeの動画、コピーしたテキストをソースとして入力して、要約や内容に関する質問ができる「ノートブック」と呼ぶプロジェクトが作成できるアプリケーション。「スタジオ」という機能を利用すると、ノートブックの内容を分析してポッドキャストのような音声コンテンツを生成できるようになりました。実際にPDF形式のガジェット通信の媒体資料2ページ分を入力したところ、2人のAIパーソナリティがガジェット通信の特徴や強みを分析して対話する約15分の音声コンテンツを生成してくれました。資料としてテキストを読み込むのと比べて、自然な音声の会話を聞くことでより頭に入りやすくなりそう。さらにNotebookLMとの連携では、レコーダーアプリで録音した文字起こしの情報を「共有」メニューからNotebookLMに入力する機能も利用可能になりました。

レコーダーアプリでは、ちょっとした遊び心のあるアップデートが。3分以内の録音音声に、「心地よいビート」「ロマンチック」など雰囲気を選んでBGMを生成・合成する機能が利用可能になりました。
この他、適切な状況で役立つ情報を先回りして提案してくれる「マジックサジェスト」。通話アプリで同時通訳を利用する際、通話相手の声色に似た翻訳音声を生成することで自然な会話を可能にする「マイボイス通訳」、プロンプトをテキスト入力して画像を生成する「Pixelスタジオ」、画面上で対象を囲んで検索する「かこって検索」、写真を2枚写して撮影者も収められる「一緒に写る」、最大150枚の写真を撮影してグループ写真のベストショットを生成する「オートベストテイク」といった機能も利用可能。スマホの機能や利用シーンと密接に結びついた最新のAIをいち早く使いたいという人なら、Pixel 10シリーズの導入を検討する価値はあるのではないでしょうか。
ガジェット通信LIVEで実機を紹介
8月26日に配信したライブ配信番組「ガジェット通信LIVE」では、Pixel 10シリーズの実機動作や、発表会のデモ映像を交えて注目機能を紹介しています。
Google Pixel 10シリーズ実機レビュー / ガジェット通信LIVE #210
https://www.youtube.com/watch?v=tGJSXT4rqPg[リンク]

宮原俊介(エグゼクティブマネージャー) 酒と音楽とプロレスを愛する、未来検索ブラジルのコンテンツプロデューサー。2010年3月~2019年11月まで2代目編集長、2019年12月~2024年3月に編集主幹を務め現職。ゲームコミュニティ『モゲラ』も担当してます
ウェブサイト: http://mogera.jp/
TwitterID: shnskm
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