Like-an-Angel、【LIVE 2025 Angel beside yoU】のオフィシャルレポートが到着
Like-an-Angel(通称:ライク)が、4月26日に東京EX THEATER ROPPONGIで【LIVE 2025 Angel beside yoU】を開催した。
Like-an-Angelは、TETSUYA名義でソロ活動も行っているL’Arc-en-Cielのリーダーtetsuyaが(Ba.)が結成したL’Arc-en-Cielのトリビュートバンドだ。現在のメンバーは、tetsuya、jekyll(Vo.)、reno(Gt.)、saki(Gt.)、hibiki(Dr.)の5人。最初にこのバンドのこれまでの活動について触れておきたい。
2023年4月1日にtetsuyaのSNSで突如その存在が発表され、L’Arc-en-Cielが初めてライブをした日と同日である5月30日に、代官山UNITで初ライブを行っている。同年10月7日にはトリビュートバンドとしては初となる日比谷野外大音楽堂でワンマンライブ【PARALLEL WORLD 2023】を大成功に収めた。この日、観客からの「ツアーやって!」という期待の言葉にtetsuyaはしっかり応え、2024年にバンドにとって初のツアーとなる【CLUB CIRCUIT 2024 L’Arclassic】を福岡、大阪、名古屋、東京で開催している。
「曲のパワー、曲の良さがあれば、ベースは僕じゃなくても感動しちゃいますから」
これは既出した日比谷野外音楽堂でのライブでtetsuyaが言った言葉だ。このひとことが、Like-an-Angelの存在意義をそのまま表している。Like-an-Angelのライブの大きな醍醐味のひとつは、これまでほとんど披露されることのなかったL’Arc-en-Cielの初期楽曲の数々が、セットリストにふんだんに組み込まれていることだ。いい音楽はいい音楽として残さなくては意味がない……というtetsuyaの強い意志と、音楽に対するスタンス、そして愛情を感じずにはいられない。ここに新たにLike-an-Angelの未来が加わったのが、この日に行われた【LIVE 2025 Angel beside yoU】というライブだった。
18時になると、ステージを覆った紗幕に映像が投影された。紛争の中にある灰色の街に瓦礫が散らばっている。爆炎が上がる中を走るソルジャーたち。ソルジャーに扮したLike-an-Angelのメンバーが順番に映し出されると大歓声が上がる。オープニングを飾ったのは「Fare Well」。間奏ではtetsuyaが流麗なベースソロを聴かせた。メロディーを奏でるように、もしくはまるで歌っているように、時にはギターソロのように。滑らかな起伏を見せるベースラインは、ベーシストtetsuyaの真骨頂のひとつ。幕開けからしっかりそこを見せてくるあたりに、tetsuyaのこのバンドに対する想いが見える。
紗幕があがり「SEVENTH HEAVEN」へ。tetsuya、jekyll、reno、sakiがステージの前に一斉に出てくる。並んだだけで華があるメンツだ。歌い出したjekyllの声にtetsuyaの声が重なり、いつもよりも力強い発声のコーラスでボーカリストを支えている。tetsuyaとrenoが向き合って弾くパフォーマンスに手を挙げるオーディエンス。3曲終わったところで、jekyllが英語でMCを始めた。シンプルな単語、丁寧な発音、ゆっくり話すことで、英語でも何を言っているのか観客に十分伝わっている。「So,you’re excited?」というjekyll最後のひとことに、観客は大歓声でレスポンスした。この内容がわかる英語のMCは、Like-an-Angelのライブにおいて大きな進化だ。ライブを重ねることで課題を見つけ出し、そこを確実にクリアしてくる。tetsuyaのプロデュース能力の高さをMCでも垣間見た。
jekyllの歌声はLike-an-Angelに欠かせないファクターだ。Like-an-Angelの結成にあたり、L’Arc-en-Cielの楽曲を耳コピして覚えたという彼が、この日は随所でオリジナリティーを発揮していた。例えば「さようなら」の母音、特に「ア行」で見せたローボイスの響かせ方などは、jekyllならではのアプローチだったと思う。
中盤へ向かう前にtetsuyaがマイクをとった。「ハーイ、ニホンノミナサン、コンバンワ」という来日アーティストのようなイントネーションで会場を笑わせ、こう続けた。
「いいよね、みんなと作り上げていく空間。(皆の)気(持ち)が僕たちの中に入ってきて、いつも以上に気合が入りますね」
sakiも話を始める。ライブ前の心境を“死んじゃいそうって思った”と前置きした後「皆のおかげで元気になりました」と笑顔。renoやhibikiもMCにライドオンしてくる。今回のライブのリハーサルの休憩中、「ドラムを叩きたい」と言ったjekyllの言葉からtetsuya以外のメンバーがパートチェンジをして楽しんでいたという。この時のボーカルはhibiki。「リハで僕抜きで楽しいことやってる!」とつっこむtetsuya。「今日、hibikiにマイク向けたら歌ってくれるね」と畳みかけると、フロアのあちこちから「hibiki歌って!」「jekyllのドラム聴きたい!」と声がかかる。tetsuyaは「さすがに今日は無理」とメンバーと口を揃えた後、最後をこう締め括った。
「僕たちも勝手に楽しんでいるので。皆も楽しんで帰ってください!」
L’Arc-en-Cielの初期楽曲群をメインに、2000年代のアルバム収録曲「LOST HEAVEN」や英語バージョン「X X X-English version-」などまで網羅されたセットリストは、シンプルに言えば「レアラルク」だ。そしてこのセトリはそのままL’Arc-en-Cielの楽曲が時代を超えた名曲であることを印象付ける。
本編の後半に披露された「GOOD LUCK MY WAY」では、jekyllがドラムのhibikiの後ろに上り、サビで自分のマイクをhibikiの口の前に持ってきて歌わせ、MCのネタを回収するという仰天のパフォーマンスを見せた。自由で楽しい。そんな5人の様子に観客のボルテージが上がらないはずがない。音楽を楽しむ5人の“気”が、会場全体の嬉しさと混ざり合う。そのムードは、ステージとフロアが音楽を通して喜々と会話をしているように感じられた。
本編最後に演奏されたのは「虹」。Like-an-Angelとしては初披露となる。L’Arc-en-Cielというバンド名をそのままタイトルにした楽曲は、L’Arc-en-Cielにとってもファンにとっても、大きな意味を持つ1曲だ。その曲を初めてセットリストに入れてきたことに、tetsuyaの様々な想いが込められていると思った。7色のライトで照らされるLike-an-Angelのステージ。その様子を見ながら、これが今日のライブのハイライトシーンかと思っていた。
しかし、違った。tetsuyaに「あぁ、また予想を超えてきた、またもやしてやられた!」と思うことが待っていた。ハイライトはアンコールにあったのだ。
アンコールに応え再びステージに姿を現した5人。上品なグレーを基調に白をポイントにしたコスチュームに着替えている。メンバーそれぞれの個性を生かすようにデザインされており、ディテールやレイヤーも凝っている。スタンバイするLike-an-Angelのメンバー。次の瞬間に放たれたのは、彼らにとって初のオリジナル曲「Angel beside yoU」であった。作詞・作曲はjekyll。5人で最初のアーティスト写真を撮影した後の打ち上げでtetsuyaが帰宅した後、jekyllが「聴いて欲しいメロディーがある」と他のメンバーに聴かせた。その後、tetsuyaの誕生日プレゼントを4人で「全部持っているから何をあげたらいいかわからない」と考えている中、「jekyllの曲をプレゼントしよう。4人でオケ作って、サプライズでtetsuyaさんに聴かせよう」となったのだそう。
いきなり知らない曲を目の当たりにした観客に、tetsuyaが「皆の今の気持ちわかる(笑)。僕もいきなり聴かされたから」と、すぐそばにいる知り合いに話しかけるように語る。そしてこう続けた。
「(1番)先にライブで披露して(それからリリースする)って。本来これやからね」
ハッとするひとことだった。1990年代以降の音楽シーンは、常に需要と供給のスタイルが変化している。イベントやフェスが増え続け、音楽配信サブスクリプションサービスの浸透によりリスナーの音楽の聴き方も変わってきている。tetsuyaも、もちろんわかっているはずだ。tetsuyaが思う音楽を残したいということは、音楽を消費されないようにすることなのではないだろうか。そのために、彼は様々な仕掛けを考えストーリーを作り出していくのだ。Like-an-Angel初のオリジナル曲「Angel beside yoU」は、そんなtetsuyaの姿をこの数年最も近くで見てきたjekyll、reno、saki、hibikiの4人が、tetsuyaの姿勢に応えた形で生まれた曲だと考察する。
この日、最後に演奏されたのは「MY HEART DRAWS A DREAM」。観客の歌声がEX THEATER ROPPONGIに響き渡った。
そしてハイライトシーンには続きがあった。終演後、ステージ背面のスクリーンに映像が流れ始めた。「Angel beside yoU」のレコーディングの様子、tetsuyaの誕生日にサプライズでレコーディング中のドキュメント映像と楽曲を聴かせる様子に続き、同曲のミュージック・ビデオが流れると客席は歓喜の渦に。アンコールのメンバーのコスチュームがミュージック・ビデオとリンクしている。細かいところまでニクイ。さらに6月4日に「Angel beside yoU」がリリースされること、Like-an-Angelがジャカルタ(インドネシア)で開催される【La La La Festival 2025】に出演すること、この日の【LIVE 2025 Angel beside yoU】が6月7日にU-NEXTで独占配信されることがアナウンスされた。
そして最後に、Like-an-Angelの次なるステージが告知された。2025年10月3日、恵比寿The Garden Hall【THANK YOU】が開催される。【THANK YOU】は、TETSUYAがソロ名義でバースデーライブを開催する際のライブタイトルである。これまで幾つもの多彩なストーリーを紡いできたtetsuyaと、Like-an-Angelの新しいストーリーが交差して誕生日を迎えるのか、ここで何が誕生するのかーーそんなことを思わずにいられない。新しい物語は、もうそれぞれの中でも始まっている。
Text by 伊東亜希
Photo by 緒車寿一/松田徹也
◎公演情報
【LIVE 2025 Angel beside yoU】
2025年4月26日(土)
東京・EX THEATER ROPPONGI
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