【まさに外道】激臭魚四天王が1尾・タカノハダイを捌いて食べた結果 → 最凶すぎて大惨事に!! そして磯臭い魚の食べ方の最適解はコレだと思うんだよね

みなさま、タカノハダイという魚はご存じでしょうか? そう、磯釣りや堤防釣りで釣れる臭くて有名な魚ですね。
特に晩春~秋口にかけて猛烈な臭みを放つ個体が多くなるといわれており、釣れても捨てられてしまうことがほとんどの魚です。
まさに外道。
※外道:狙っている本命以外で釣れてしまった魚のこと。特に食味が悪かったり、本命のエサを横取りする魚が釣れた場合に外道と呼ぶことが多いです。
しかし、寒い時期のタカノハダイは臭みもなく絶品とも言われています。
晩春になると臭い個体が出始め、タカノハダイギャンブルが始まります。
「タカノハダイギャンブルしたいなー、この時期のタカノハダイ手に入らないかなー」と思いながら行きつけの魚屋「海鮮市場マルモト」(神奈川県伊勢原市伊勢原1-3-37)の水槽を眺めていると


なんということでしょう! タカノハダイが泳いでいました!!
※タカノハダイが泳いでいる姿を撮影し忘れたため、上記水槽写真にタカノハダイは写っておりません(・∀・;)
さっそく田中店長に活け締め&血抜きをしてもらい、おうちに帰ってきましたーヽ(゚∀゚)ノ=3=3=3
タカノハダイ
斜めに走るシマシマ模様が美しく特徴的で、どことなくトロピカルな雰囲気がありますね。体高が高くスタイルバツグン!

いちばんの特徴は尻尾の白い水玉模様でしょうか。この尾の模様が鷹の羽に似ていることから「鷹羽鯛(タカノハダイ)」と名付けられたようです。

ヒレも綺麗ですね。そしてキョトン顔がなんとも愛らしい。

そしてこの時点では特に臭くはないです。
磯の魚特有の海藻と柑橘類を混ぜたような匂いはしますが、気にするほどではありません。
臭くない個体を引いたのでしょうか? それとも食べたら臭いのか? 捌いて確かめていきます!
タカノハダイを捌く
タカノハダイを捌くのは結構大変です。歓迎されない理由の1つに捌くのが面倒くさいっていうのがあると思います。
まず非常にヌメヌメしていて、ツルっと滑ってなかなかつかめないぐらいのヌメヌメレベルなのです。
洗っても洗ってもヌメヌメは出続けるので、まずはこれが厄介。
そしていちばんの難所はウロコです。ウロコがとんでもなく硬いのです。極悪。硬すぎて電動ウロコ取り器が壊れることもあるそう。しかも「接着剤でくっつけた?」ってぐらい皮にしっかり貼りついており、包丁でシャーシャーしたぐらいではビクともしないのです。

▲包丁でシャーシャーしたタカノハダイ。このヌメヌメと強靭なウロコをお分かりいただけるだろうか。
まずはヌメリ対策
ヌメヌメに関しては「酢で洗うといいよ!」と野食ハンターの茸本朗氏が動画で仰っていた記憶があるので、とりあえず酢をかけてみました。
すると見事にヌメヌメはとれ、キュキュッとしました!
でもしばらくするとまたヌメヌメしてきます。そうしたらまた酢をかけて洗います。このヌメヌメは一体どこから出てくるんでしょうね?
ちなみに塩でもみ洗いするのも有効だそうな。
タカノハダイのウロコを取る上でやってはいけないこと
ヌメヌメがとれたらウロコをとります。でも鯛とか普通の魚のように包丁でシャーシャーはとっても無理。不可能。
う~ん……「すき引き(魚のウロコを包丁で薄皮ごと引き剥がす調理法のこと)にするかぁ」と考えたコレが大間違いでした!!
タカノハダイですき引きはやっちゃダメ!!!!!!!
皮も尋常じゃなく硬いので、全然包丁が進まないのです。しかもヌメヌメも復活してくるので滑ってさらに切りづらい。
つい力を入れて包丁を動かしてしまい

ズバッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!
やってしまいました……包丁に思いっきり力を入れて無理やり皮ごとウロコを引きはがそうとしたその時、ヌメリで手が滑り、魚を押さえていたほうの手に包丁を突き刺してしまいました……
ウロコが最凶すぎて流血する大惨事です。
縫うほどではなさそうですが結構バックリいきましたね……ちなみに3週間近く経った今も完治はしていないので、結構酷いケガだったのかも?
痛いので捌くのを中止しようと思いましたが、止血して続行です。
だってタカノハダイさんからは命を頂いてしまってますからね。タカノハダイさんは痛いどころの話じゃ済まないわけですからね。
手を切ったごときで頂いた命を無駄にはできません。美味しく食べるために鮮度の良いうちに下処理します。
ちなみに昔ながらのウロコとり器を試したらスルンと剥けました。

▲愛用している真鍮のウロコとり器です。
最初からウロコ取り器を使えば良かったですね。ウロコが飛び散るので、ビニール袋の中でウロコを剥がします。
捌きたてのタカノハダイを味見すると
ウロコのみならずヒレも異常に硬い、肋骨が膨らんでいておろしづらい、皮が非常に硬く引きづらいなど難所はあるものの、とりあえず普通に3枚におろせます。
「これはめちゃくちゃ美味しくても未利用魚になるわ……捌くのが手間すぎる……」と思いながら、3枚おろしが完了しました。

白く艶があって、とても綺麗な身をしていますね。そして意外にも脂のノリがすごいです!!
スメルチェックをしても磯臭さは皆無。捌いている時に内臓の匂いも確認しましたが、特に臭さはありませんでした。
「これは臭くない個体かも?」と思い、一口食べてみます(。・н・。)パクッ
ふむ。微かに海藻と柑橘類を混ぜたような磯の香りはしますが、磯臭さが大の苦手で超過敏な私でも気にならない程度です。全然臭くないんじゃないでしょうか?
でも味がない……全くない……
脂がすごいので、後から脂の旨さと甘みがくるものの、味がないので美味しいとは言えず……。
そして食感がすごいです。ブリンブリンのゴリゴリで魚とは思えない硬い食感をしています。
味も食感もおろしたてのフグやマツカサウオに似ています。
新鮮なフグやマツカサウオはその繊細なうま味を絶賛する人は多いのですが、残念ながらバカ舌の私には分からず……ただ味がなくて硬い魚です……。
淡白な魚は寝かせると味が出てとても美味しくなるケースが多いので、タカノハダイも寝かせみます!
一晩寝かせたタカノハダイ
キッチンペーパーに包み冷蔵庫で一晩寝かせました。
包んでいたキッチンペーパーはバッチリ磯臭くなっていました。 昨日は感じなかったの磯の香りが身からダダ漏れしています。
でも柑橘系の匂いが強いので、そんなに嫌じゃない。嗅ぐだけならむしろ良い香りと言えるかも?
刺身にすると


陶器のように滑らかな乳白色で艶があり、淡い血合いが刺し色になって芸術的な美しさです。うっとりしてしまいますね。
では一晩経って味に変化は出たのか確かめてみます(。・н・。)パクッ
おっ! うま味がしっかりと引き出され、脂ものっていてかなり美味しいです!!
鯛とハマチやブリを合わせたような感じですかね。メジナに似てるかも?
食感も適度に柔らかくなりつつ、コリコリした歯ごたえは残っていて良いですね。
でも磯くせぇ。。。。。。
昨日は匂いはなかったのに1日経ったら臭い……魚と海藻が混ざった匂いがする……
ただ私は磯臭さが大の苦手なので過敏に反応してますが、お裾分けした人たちは全く気にならないと言っておりました。
ニザダイぐらいの磯臭さなので、苦手ではない人には絶品のお刺身なようです。
ちなみに30分ほど塩水に漬けての匂い消しも試みましたが、多少臭みは和らいだものの、苦手な私にはダメでした……くっせぇ。
う~ん、どうにか美味しく食べられないものか……ということで臭みがとれそうな調理をいろいろ試してみたいと思います。
揚げ出しタカノハダイにしてみる
磯臭い魚は油で揚げると匂いが消えるというのはよく聞きますね。てことで片栗粉まぶして揚げてみます。

磯臭い魚を揚げると臭みが油に移ってしまい、油の再利用は不可になります。なので少量の油で揚げます。

きつね色になったら揚げ終了です。今のところ磯臭さはなく、フィッシュフライの美味しそうな匂いがします。揚げたてのフライドタカノハダイを味見してみます。

おっ! 臭くないかも? 細切れでカリカリに揚がったヤツは全く臭くない!!!! めちゃくちゃ美味しいフライドフィッシュ!!!!!
タカノハダイは加熱しても硬くならない魚のようで、しっかり揚げてもふわふわホロホロ食感で、かつ楽しめる程度に歯ごたえもあってウマし!
と思ったものの、厚切りにしたフライはやっぱりちょっと磯臭さがする……
みぞれ出汁をかけたらどうだろうか? ってことで、白だし、醤油、砂糖、みりん、酒、臭み消し用の酢少々を煮詰めたものに、大根おろしをすりおろし汁ごと加えたみぞれ出汁をかけて頂きます。

これは超旨い!!!!!!
加熱することでさらに白身魚の上品なうま味が引き出されて、そのうま味が出汁に溶け込んで絶品!!!!! みぞれ出汁とタカノハダイのうま味がバツグンに合う!!!!!
と興奮したものの、肉厚部分を食べるとプ~ンと磯の香りが漂う時があり……基本的には匂いは気にならず、ただただ美味しい揚げ出しタカノハダイではあるのだけど……
う~ん……香味野菜と合わせて中華風の味つけにしたら臭み消えるかも? ってことで中華風にアレンジしてみます!
タカノハダイを香味野菜で中華風に調理する
ネギ、生姜、ニンニク、豆板醤、オイスターソースで味付けしたら匂いは紛れるかも? と思い試してみます。
まずはニンニク・生姜のみじん切りとネギ細切りをごま油で香りが出るまで炒めます。

日本酒(あれば紹興酒のほうが良い)をふりかけ、コチュジャン、オイスターソースで味付けします。

フライドタカノハダイにかけて完成!

え……? 余計に磯臭さが目立つ……
揚げ出しの時には全く感じなかった磯臭さが出てしまい、むしろ臭みが際立つ結果になってしまいました。
う~ん……和風調理のほうが合うのかなぁ? ってことで味噌煮を試してみます!
タカノハダイの味噌煮
まずは下準備です。タカノハダイの両面にさっと熱湯をかけて臭みをとります。

鍋に水、酒、砂糖、みりん、生姜薄切りを入れて火にかけ、沸騰したらタカノハダイを皮目を上にして入れます。


火を止めて味噌を煮汁で溶きながら加えます。

アルミホイルで落とし蓋をし、中火で5分くらい煮ます。

汁が少なくなりとろみが出てきたら完成です!

この時点でめちゃくちゃ磯臭いです……磯臭い魚は煮るとどうも匂いが強くなるようです。匂いは揮発性で湯気と一緒に飛べばいいのですが……。

味は非常に良いです! 身はとても柔らかく、ホロホロ溶けるように崩れ、そしてジューシーでうま味たっぷり。
が、予想通り匂いがキツイです。。。今までの調理の中でいちばんキツイ。。。
骨周りの肉がやたら美味しいので、タカノハダイはどうも非常に良い出汁がとれる魚のようですね。
味だけなら味噌煮界の王者サバにも劣らぬ旨さ! 味だけならね……。

▲お分かりいただけるだろうか、この脂のノリとジューシーさとホロホロ具合を。
やっぱり磯臭い魚は何をしても臭いのだろうか。諦めかけたその時、一筋の希望が見えました。
味噌煮を冷蔵庫で2日ほど寝かせてから食べてみたところ
アレ? 臭みが全くないぞ??? すごい美味しい味噌煮になってるぞ???
味噌漬け状態になったことで、臭みが消えた……?
ところどころ強い磯臭さを放つか所はあるものの、かなりマシになっています。
そして匂いは皮目など、どうも脂がのっているところが強いっぽい。タカノハダイの臭みは脂にあるのかもしれない。
と思い、完全に臭みをとるために、グリルで焼いて脂を落として食べてみたいと思います。
タカノハダイの西京焼き(もどき)
味噌煮の味噌を拭きとり、臭みのもとかもしれない脂がしっかり落ちるように、グリルでこんがりと焼き上げました。

これは大正解!!!!!!!! うっっっっま!!!!!!!!!
カマや皮目、フィレなど脂の多いか所で試したため、時おり磯の香りが気配をのぞかせますが、香ばしさに隠れて全く気になりません!!
やっぱり臭みのもとは脂だったようで、脂を落としたら全然臭くなくなりました!
煮て焼いてしっかり脂も落としているはずなのに、しっとりジューシーでホロホロ。絶対硬くならないマン。
めちゃくちゃ美味しいです!! この魚を捨てちゃうのはもったいない!!!!
ニザダイの時もそうでしたが、磯臭い魚の最適解は西京焼きなのかも?
味噌に臭みをとってももらって、さらに焼くことで臭みを抜き、完璧に美味しい魚になります。
タカノハダイの評価
星3.5
味だけみれば絶品の魚です! が再三申し上げた通り、磯の香りが……そして捌くのがかなり手間なのがマイナスポイントです(ーー;)
でも臭み処理をすれば上品で高級感のあるただただ美味しいお魚で、頑張りが報われる旨さです!
次は臭さ全開放の夏の個体や、絶品と称される冬の個体を試してみたいです(・∀・)
※画像は全て筆者撮影
海鮮市場マルモト
https://www.0-to.com/[リンク]
(執筆者: ゆずくん)

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