広州で出会ったギリギリ和風な革命的寿司を実食!中国4000年の歴史に出現した「中華創意寿司」に驚きと涙
寿司か、中華か、板前中華寿司
全国のスシポリスの皆様こんにちは。案件です。
広東省・広州市の人気ショッピングモール「太古匯」の地下街で、日本人の目を引く寿司店がありました。
その名も『御灼四季・板前中華寿司』。店の奥には大きな漢字で「中華寿司開創者」と書かれ、カウンターには漢服姿のスタッフ、頭上には苔玉や中華風の書、となぜか店には大量のススキが生えています。

<写真:モールの中に輝く板前中華寿司の文字>
一見するとギリギリ和風寿司屋。しかし、提供されるのはまったく新しい“中華創意寿司”。外見とメニューの内容に日本人なら思わず興味を持って足を止めてしまうか、色々察して早足で離れるほどインパクトは抜群です。

<写真:中華創意寿司と漢服姿のお姉さん>
「御灼四季」とは何者か?
このインパクト抜群の寿司屋の運営会社は「广州御灼餐饮管理有限公司」。設立は2022年12月、本社所在地は広州市天河区とされています。
公式SNSによると、「御灼」は“炙り=火の技法”を意味し、「四季」は“旬”や“食材の巡り”を意味しており、「火を活かした料理で四季を表現する」というテーマが店名には込められているとのこと。
なるほど、確かに日本の寿司にも炙りはあります。さらにスローガンは「一貫寿司尽遍 中華大江南北(一貫の寿司で中国全土を旅する)」という内容でSNS上でもこの表現は繰り返し使われており、地域料理の再解釈として“寿司”というスタイルを組み合わせたといいます。
メニューも中華の東西南北を指す、華北、華南、華東、華西と各地の特色を生かした構成です。お寿司がなんか壮大なことになっています。

<写真:この皿の中に中華の大江南北が収められる!>
店内の世界観は“中華寿司体験設計”
見せてもらおうか、中国の創意寿司とやらを──。まず店内。木目調のカウンター、陶器皿、苔玉、そして紅提灯。日本風と中華風を融合させた空間演出が印象的です。
天井には「中華大江南北」「川・粤・滬・東北」などの地名が毛筆体で掲げられ、前述の寿司で中華を巡る“中華グルメマップ”を体現しています。

<写真:寿司メニューだけではなくランチセットもあるみたい>
食材の提供スタイルも独特。まず衛生管理のためにと、店員さんがガスバーナーで石でできた皿を「汚物は消毒だー!!!」の勢いで燃やしてくれます。はい、本当にガスバーナーで目の前をゴーッとファイヤします。

<写真:石皿がまじで焼かれます。驚いて写真撮り忘れた…>
その火炙りで消毒された石皿の上に、注文した寿司が一貫ずつ置かれる仕組みです。
カウンター越しに、板前姿のスタッフが丁寧に火入れや盛り付けを行う様子が見られ、まさに“板前寿司”形式の中華バージョンと言えます。

<写真:お店は見えやすいオープンキッチンで上に青々とした苔玉が多数。>
SNSで注目度が上昇中
大衆点評(中国のレビューサイト)での平均評価は4.7前後と大変好評価。特に現地SNS上で「#猫山王寿司」「#油淋魚皮寿司」などのハッシュタグが使われ、話題になっています。
実際、小紅書や抖音(TikTok中国版)では猫山王寿司、すなわち「ドリアン寿司」に挑戦するリアクション動画、実食レビューの紹介動画などが投稿されており、店舗名で検索すれば複数の投稿が確認できます。この奇抜な寿司の力で現地ではSNS拡散型の集客に成功している様子がうかがえます。

<写真:十大必点、必食の10皿は肉とサーモンと貝などが目立ち、ど真ん中にドリアン。>
実食レポ:話題の寿司を現地で体験
では早速噂のメニューをいただいてみましょう。猫山王冰皮榴蓮寿司、すなわちドリアン寿司。しかも猫山王というドリアンの王様、ドリアンのエルメスとも言える品種の果肉を“冰皮”(もち米由来の餅皮)で包み、シャリに乗せた一品。見た目はツルッとしている、しかしあまりドリアンの香りはしない。
ふむ、意外となんとかなるかもしれない。それではいただいてみよう。

<写真:見た感じとても綺麗にまとまっているドリアン寿司。>
軽くお醤油をつけて(それが正解なのかもわからない)うん…噛んだ瞬間に口の中に一気に広がるフワッと広がるニラの香り、食感はカスタードのような滑らかさがありながら、餅米のコーティングがあるのでカスタードを包んだお菓子のような、そこからドリアンの果物としての甘い味、それがシャリと交わってご飯なのか、おかずなのか、お菓子なのか混在した味が口の中で新しいマリアージュを作り鼻の中はふくよかなニラの香りに包まれる!
うん、総じて味が渋滞してバグって美味しくない!残念!

<写真:猫山王冰皮榴蓮寿司を実食!!>
いや、これ無理ですよ、これ!無理!ドリアン食べられる私でも変にシャリが入るから色々無理だよ、目が覚めるというかトラウマになる味だから皆さんにもぜひ食べてほしいです。
味覚に多様性があるとは言え、少なくとも私は「頼んだ後に全力で後悔するレベル」でした。初手から大ダメージを受けつつ、飲み放題のお茶でなんとか流し込む。他のものでバランスを取るべくいくつか注文をしましょう。
お次は油淋鯇魚寿司、揚げた魚と甘酢ソースが南蛮漬け風で、香味野菜と共に提供されました。サクッとした白身魚とソースが美味しいです、うん、これはいける。とても美味しい。

<写真:他のお寿司は予想外に普通に美味しくて驚く>
その横、抹茶炸魚寿司、フライに抹茶ソースとピスタチオが乗る、日本でも中東でも考えつかないような斬新すぎる構成。色がバイオハザードみたいな色をしていますが、意外とこれは無理じゃなかったです。その横にあるのは皮蛋豆腐寿司!変な寿司ではありますが、皮蛋(ピータン)が苦手じゃない人からすれば普通に美味しい卵寿司。そうか、これ玉子焼きの代わりなのか……。
正直、ドリアン寿司のインパクトのせいで感覚が麻痺してしまい、ちょっとした変わり種の寿司がどうでもよくなっています。

<写真:見た目の色とか形状がちょっとアレですが美味しい!!>
塩焼肥牛寿司、炙った牛肉と甘醤油ソース。食べ応えのある肉寿司スタイル。これは純粋に美味しいです。いや本当に。普通の肉寿司にこんなに感謝することになるとは。いや、本当に美味しくてちょっと涙ぐんでしまう。

<写真:牛タンの普通のお寿司がとても美味しく感じる…>
こういうのでいいんだよ、こういうので…素材の味を生かした美味しい中華寿司に涙していました。
香辣鰻魚寿司、辛口のタレと花椒で仕上げた“麻辣うなぎ”。クセになる辛さ。

<写真:ソースも良く合ってウナギのお寿司というのもアリだな、と感じさせられました>
うなぎに山椒を使うのは日本でもよくありますが、麻辣という選択肢もありだな、と思わせるなかなか新しい美味しさでした。
総じて一部の劇物以外は本当に美味しくて、特に中国人向けということもあるのか肉寿司、またはガチョウ肉寿司、北京ダック寿司とでも言うべきものが見られ、名前の通り「中華寿司」と言えるメニューが多く、生魚が苦手な方でも十分楽しめるようなメニューでした。
現地で感じたサービスと雰囲気
現地はドリンクバーと合わせてお茶が飲み放題。スタッフは清潔な制服と丁寧な接客で、注文時に必ず一品ずつの説明を添えてくれます。
店内の清掃状態も良好。カウンターではアルコール消毒と簡易バーナーによる除菌を行っており、調理環境は衛生的。
全体的に良いお店だったと思いますし、メニューの豊富さ故にお話できるネタは大変多くあると思います。

<写真:広告に出ているお寿司、見た目とか色とかちょっとアレですが美味しい!!>
まとめ:体験としての“寿司 × 中華”
御灼四季は、寿司というフォーマットを通して「中華創作寿司」という新しいスタイルの料理文化、それも中国各地の料理文化を表現しています(しているのか?)。
観光客や若年層の“食×映え”ニーズに応える空間設計と商品開発がなされており、現地体験として強く記憶に残ると言えます。
話題性のためのドリアン寿司に踊らされた感は否めないですが、ぜひ皆様も広州訪問の際に体験してみてはいかがでしょうか!

<写真:皆様も、素敵なドリアン寿司他、ぜひご賞味あれ!>
【店舗情報】 店名:御灼四季・板前中華寿司 太古匯店 所在地:広東省広州市天河区太古匯B1F 西巷022 営業時間:11:00〜22:00 支払方法:WeChat Pay/Alipay/カード 運営会社:广州御灼餐饮管理有限公司
(執筆者: 鷹鳥屋明)

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