<ライブレポート>フレデリック、進化を刻んだ二度目の武道館
フレデリックが【FREDERHYTHM ARENA 2025 CITRUS CURIO CITY -TOKYO NIGHT CRUISING-】を2月24日(月・休)東京・日本武道館にて開催した。
今回のアリーナ公演は、昨年11月にリリースしたミニアルバム『CITRUS CURIO CITY』を引っ提げ、神戸と東京の2都市で実施。11日に行われた神戸公演は、フレデリックが2018年に初めてアリーナ公演を行った神戸ワールド記念ホールで開催された。また日本武道館公演は、コロナ禍のキャパシティ制限の中で行った2021年以来となり、フルキャパシティでの開催は今回が初となる。チケットは両公演ともソールドアウト。以下、日本武道館でのライブの様子をお届けする。
『CITRUS CURIO CITY』の世界観を映し出すオープニング映像が流れ、三原健司(Vo./Gt.)の「フレデリック、【TOKYO NIGHT CRUISING】始めます」の合図とともに、会場は期待に満ちた手拍子に包まれる。オープニングナンバーは「オンリーワンダー」。お決まりのクラップとシンガロングで、オーディエンスを一気にライブの世界へ引き込む。
「他の誰でもないあなたに歌いに来ました。フレデリックです、どうぞよろしく」と挨拶し、青色のレーザービームが瞬く「CYAN」へ。サビ終わりには健司の突き抜けるようなロングトーンが炸裂し、客席からは興奮の声が湧き上がった。
前回の武道館公演でも披露された「飄々とエモーション」では、満員のオーディエンスのシンガロングを聞いた健司が、「4年前はコロナ禍で声を出せなかったから、今初めて上から声が降ってくる感覚を感じております」と感慨深げに話す。そして「一番遠い席、あそこらへんよな?」と天井近くの席を見上げ、マイクを通さず地声でシンガロング部分を熱唱。続くオーディエンスもその熱意に応えるように声を上げ、客席とステージの熱気がひとつに重なった。
「俺らは16年くらいバンドをやっているけど、自分たちの音楽が一番かっこいいと思っているし、今が一番かっこいいフレデリックです。武道館にはいろんなアーティストの思い出があると思いますが、どんな思い出でもフレデリックが塗り替えます」と高らかに宣言。
その直後、<思い出にされるくらいなら 二度とあなたに歌わないよ>というフレーズから始まる「名悪役」を披露する。前回の武道館公演で初披露されたこの曲を再び演奏する姿からは、過去を超えて進化を続けようとするバンドの覚悟が伝わってきた。続く「Happiness」もアグレッシブなナンバーで、メジャーデビュー10周年を超えてもなお自分たちのスタイルを追求し続ける彼らの姿勢を示しているようだった。
ここからは一転、クラブライクに踊らせる「FRDC Remix」コーナーに突入。今回のアリーナ公演で初披露となる「ひとときのラズベリー」は、ピンク色の照明が甘酸っぱい雰囲気を醸し出す。「ナイトステップ」からは、ステージ中央から伸びる昇降式の花道にメンバーが移動。三原康司(Ba.)はシンセベース、高橋武(Dr.)はサンプリングパッドを用いたミニマルなセットに切り替え、原曲とは異なるエレクトロなアレンジで会場に程よい緊張感をもたらした。
続く「Wanderlust」は、イントロでは空気を震わせる低音に圧倒され、サビでは爽快な開放感を演出。間髪入れずに「LIGHT」へ突入すると、さらなる高揚感が会場いっぱいに広がる。
そして「されどBGM」は、武道館をダンスフロアに変えるほどの多幸感に包まれた。同曲は、前回の武道館公演ではコロナ禍のフレデリックチームを追ったドキュメント映像とともに披露され、静かに聴き入るオーディエンスが多かったが、今回は客席もステージも一体となってダンスミュージックを楽しむ光景が広がっていた。同じ楽曲、同じ会場でも異なる印象を与えられるところに、フレデリックの楽曲の懐の深さを感じた。また、この幸せな光景が再び戻ってきたことに、胸がいっぱいになった。
ライブアレンジによって軽快さが増した「PEEK A BOO」から、「武道館を遊び場に変えます」と、EP『ASOVIVA』収録の「Wake Me Up」がスタート。赤頭隆児(Gt.)が繰り出す鮮烈なギターリフとカラフルな照明が、会場をさらにハイテンションにしていく。そして、Remixコーナーのラストには「スパークルダンサー」を投下。健司、康司、赤頭が一斉に花道に飛び出し、フロアの熱気は最高潮に。間奏中、健司が「フレデリックかっこいいなあ!」と客席に問いかけると、オーディエンスも大歓声で応えた。アリーナとは思えないほどの距離感の近さを感じる印象的なシーンだった。
康司、赤頭、高橋による、思わず肩の力が抜けてしまうMCを挟んだ後は、『CITRUS CURIO CITY』からの楽曲が続く。「ペパーミントガム」では、スモークがいっぱいに焚かれ、緑色の照明に包まれたメンバーのシルエットが浮かび上がる。
「洗い流せない思い出、洗い流せる思い出、全部背負ってきたからこそ、今日みたいな日があるんだと思います」と語ってから披露された「sayonara bathroom」では、楽曲のメッセージを噛み締めるように聞き入るオーディエンス。また「ハグレツバメ」では、聞く人の背中を押すような力強い演奏に心を揺さぶられる。
「後半戦いけますか?」という呼びかけとともに「銀河の果てに連れ去って!」へとなだれ込むと、大量のレーザービームが疾走感のあるサウンドともにフロアを飛び交いまくる。続く「オワラセナイト」は、サビの弾き語りから始まると、客席から歓声が沸き起こった。
「ミュージックジャンキーのみなさん、どれだけいますか?」という問いかけに、無数の手が上がった「ジャンキー」では、イントロと同時にオーディエンスが一斉にジャンプ。「人生最高のライブを見せてくれよ!」とラストサビへ突入すると、フロアが揺れるほどの盛り上がりを見せた。
そして本編ラストに演奏されたのは「煌舟」。健司が「これはあなたの歌です! 自分の人生のことを考えて、自分で歌ってください」と呼びかけ、<ユウラヤイヤ ユウラヤイヤ デイセントカ クルージング クルージング>の大合唱が巻き起こる。健司が立っている中央の花道がせり上がり、レーザービームが水平線を描くと、まるで海原に船が浮かんでいるかのような幻想的な風景に。「今が最前線」と言わんばかりのエネルギーに満ち溢れた演奏に乗せ、煌びやかな紙吹雪が舞い散り、最高の盛り上がりの中で本編は幕を閉じた。
アンコールでは4人が再びステージに登場。6月に開催されるファンクラブツアーの話から、健司が「いつか武道館でファンクラブ公演ができればいいね」と語ると、赤頭が「今日いるみんながファンクラブに入れば……」と冗談を交え、会場に笑いが広がる。そして最後に、健司は力強くこう締めくくった。
「どんな言葉を届けようかと悩んだけど、結局『言葉なんていらなくね?』『俺たちミュージシャンの生き方でいいんじゃね?』って思いました。今かっこよければいいし、明日はさらに更新していけばいい。今まで通りかっこいい歌歌って、いい曲作って、演奏して、いろんなアーティストと出会って、またかっこよくなって。それを繰り返して、今度あなたの前でフレデリックがライブするときに、またかっこいいなって思ってもらいたい。ただ進むだけです」
アンコール一曲目は「オドループ」。「明日のことは考えなくていい、全力で来いよ武道館!」という煽りとともに<踊ってない夜を知らない>の大合唱が巻き起こる。さらに二曲目には、未発表の新曲を披露。グルーヴィーなサウンドと小気味良い歌メロが耳を引く一曲で、早くも体を揺らすオーディエンスの姿も見られた。
「フレデリックでした、ありがとうございました!」と最後の挨拶を終えると、客席からは名残惜しそうな長い拍手が送られた。健司が指を立てて「しーっ」と静寂を促し、「フレデリックは遊びきったんで帰宅します」とおなじみのフレーズを放つと、会場は再び熱気を取り戻し、ラストソングの「KITAKU BEATS」へ。「さあ日本武道館! 遊ぶ? 遊ばない? 遊ぶでしょ!」と最後まで盛り上げ尽くし、大盛況のままライブは終了。「これからもフレデリックはフレデリックであり続けます。どうぞよろしく!」とやり切った表情で、4人はステージを後にした。
アリーナ公演でも変わらぬスタンスを貫き、音楽への真摯な姿勢を見せたフレデリック。過去を超え、進化を続けながらも、彼らの音楽に対する熱い思いは揺るがない。その情熱こそが、多くの人の心を踊らせる理由なのだと、強く感じた一夜だった。
Photo:渡邉一生/森 好弘
Text:Mika Fuchii
◎公演情報
【FREDERHYTHM ARENA 2025 CITRUS CURIO CITY -TOKYO NIGHT CRUISING-】
2025年2月24日(月・休)
東京・日本武道館
<セットリスト>
1. オンリーワンダー
2. CYAN
3. 飄々とエモーション
4. 名悪役
5. Happiness
6. FRDC Remix
7. ペパーミントガム
8. sayonara bathroom
9. ハグレツバメ
10. 銀河の果てに連れ去って!
11. オワラセナイト
12. ジャンキー
13. 煌舟
En1. オドループ
En2. 新曲
En3. KITAKU BEATS
<音楽配信サービスプレイリスト>
https://a-sketch-inc.lnk.to/FREDERHYTHMARENA2025
◎番組情報
CSテレ朝チャンネル1『FREDERHYTHM ARENA 2025 CITRUS CURIO CITY -TOKYO NIGHT CRUISING-』
2025年4月20日(日)18:00~
https://www.tv-asahi.co.jp/ch/contents/variety/0775/
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