【岩手県盛岡市】「三日月の丸くなるまで南部領」の盛岡へ
日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、岩手県盛岡市を写真とともに紹介する。
Vol.361/岩手県盛岡市
盛岡市街地はかつて南部藩20万石の城下町で、「三日月の丸くなるまで南部領」と謳われるほどに広大な領地を有していた。この旅とは別で、何度か盛岡市にも訪れたことがある。盛岡城跡公園まで歩いて、地元のじゃじゃ麺をいただきに「白龍 本店」に立ち寄ったり、自分が好きな本屋さんを尋ねたり。
盛岡の雰囲気というものが、ぼくはずいぶん好きだ。東北新幹線も停車するまちとしての大きな規模を有しながらも、景観には落ち着きが保たれていて、盛岡駅から繁華街へ北上川の開運橋を渡れば、岩手山が川の向こうに現れる。宮沢賢治や石川啄木もゆかりがあり、彼らにまつわる施設もある。そうした町並みは懐かしく、時折姿を見せる赤煉瓦の建物や、城跡の自然を歩いているとホッとする。文化、文明、暮らし、自然、そういったものが、単なる資本主義の中ではなく、心の豊かさ先に結ばれているような気がして、思い切り深呼吸ができる。
また、駅前だけではない場所にも訪れてみたいと思って、市街地の東に位置する岩山展望台からの眺望を見た。周囲を山に囲まれる中で、盆地にぎゅっとまちが集まっていて、盛岡らしい地形であった。この土地で育つ歴史は、これからもまだまだあるような気がしてならない。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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