住宅ローンの返済期間が長くなっている!?金利タイプは変動型が増加?超長期ローンのメリット・デメリットについても徹底解説!

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住宅ローンの返済期間が長くなっている!?その理由と問題点

これからの金利の動向が気になる住宅ローンだが、住宅金融支援機構が2023年10月~2024年3月までに住宅ローンを借りた個人に調査を行った結果が公表された。この間に住宅ローンを借りた人はどんなローンを選んでいるのだろうか? 詳しく見ていこう。

【今週の住活トピック】
「住宅ローン利用者の実態調査結果(2024年4月調査)」を公表/住宅金融支援機構

2024年3月までに住宅ローンを借りた人の76.9%が「変動型」

日本銀行が「マイナス金利解除」を決めたのは、2024年3月19日の金融政策決定会合でのこと。この時から金利がある世界への移行が始まったのだが、調査対象者でいうと、金利上昇の懸念が強まりつつあるものの、まだ日本銀行が慎重な姿勢を見せていた時期に借りた人たちが大半といえるだろう。

その前提で調査結果を見ると、利用した金利タイプは「変動型」(前回2023年10月調査:74.5%)が増えて76.9%に達し、「全期間固定型」は8.0%、「固定期間選択型」は15.1%だった。

利用した金利タイプの割合(出典:住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査結果(2024年4月調査)」)

利用した金利タイプの割合(出典:住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査結果(2024年4月調査)」)

さて、金利タイプについておさらいすると、35年などの返済期間を通して金利が固定されるのが「全期間固定型」、当初の3年や5年、10年などの選択した一定期間だけ金利が固定されるのが「固定期間選択型」、半年ごとに金利が見直されるのが「変動型」だ。

今のような低金利の局面では、変動型の金利は他のタイプよりも低く設定されている。利用した住宅ローンの金利を聞くと、「0.5%以下」が34.3%で最多となり、「0.5%超~1.0%以下」の26.2%が続いた。借り入れ当初の金利が、いかに低金利かがわかる結果だ。

住宅ローンの金利水準

住宅ローンの金利水準(出典:住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査結果(2024年4月調査)」)

一方で、返済負担率(住宅ローンの年間返済額が年収に占める割合)を見ると、最多は「15%超~20%以内」の26.6%、次いで「10%超~15%以内」の19.5%、「20%超~25%以内」の19.4%だった。返済負担率は一般的に、住宅ローンを借りる際の融資条件になっているが、年収400万円以上であれば返済負担率35%まで借りられる(【フラット35】の場合)。つまり、年収に対して目いっぱい借りるというよりは、抑え目に借りた人が多いということになる。

返済負担率

返済負担率(出典:住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査結果(2024年4月調査)」)

気になる返済期間「35年超」の増加

低金利を活用して、家計に無理のない範囲で借りているという状況がうかがえる結果だが、他方で気になる調査結果もある。

その一つ目が「融資率」だ。融資率は、住宅ローンの額が住宅価格(注文住宅なら建築費用)の何割になるかで、頭金を1割入れていれば9割の融資率となる。調査結果を見ると、「100%超」、つまり住宅価格に加えて諸費用なども借りている人の割合が14.3%にもなっている。「90%超~100%以下」も25.3%で最多となり、住宅価格の全額またはそれに近い額を住宅ローンで充当している人がかなり多いことがうかがえる。

融資率

融資率(出典:住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査結果(2024年4月調査)」)

気になる二つ目は「返済期間」だ。多くの住宅ローンが返済期間の最長を35年としていることから、「30年超~35年以内」が50.8%と半数を占めているが、今回の調査では「35年超」の増加が著しく、16.0%(35年超~40年以内13.7%+40年超~50年以内2.3%)にまで達した。

住宅ローンの返済期間

住宅ローンの返済期間(出典:住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査結果(2024年4月調査)」)

なぜ気になるのかというと、返済が始まった当初は、返済額の大半は利息に充てられ、元金はなかなか減らない。万一、住宅を売却しなくてはならない事態に至った場合、買ったときより高く売れればよいが、安くなることのほうが多い。元金が減っていないと、売った額で住宅ローンの残債を返済できず、手持ち資金を追加しないと完済できないという事態もありうる。

融資率が高ければ、売却額がローン残債を下回るリスクが高くなるし、返済期間が長いほど元金の減りも遅いので、万一のリスクにも弱ければ、金利上昇のリスクも高まるということを知っておくべきだろう。

超長期住宅ローンのメリットとは?

最長返済期間が40年あるいは50年といった、返済期間が最長35年を超す住宅ローンを、一般的に「超長期住宅ローン」と呼んでいる。

超長期ローンの先駆けは、住宅金融支援機構の【フラット50】と呼ばれるものだろう。政府が住宅の長寿命化を目的に、「長期優良住宅」の認定制度を設けたことをきっかけに、長期優良住宅を取得した場合には、最長50年の全期間固定金利の【フラット50】を利用できるように商品が改定された。2009年6月4日以降の資金受け取り分から適用が開始している。

金利を長期間固定するのは、金融機関側にリスクがあるので、民間金融機関では動きが鈍かった。しかし、住宅価格の高騰を受けてか、2023年から返済最長期間が40年や50年の超長期住宅ローンを取り扱う地方銀行や信用金庫が増え、ネット専用銀行でも取り扱う金融機関が出てきた。

超長期ローンのメリットは、毎月返済額が抑えられることだ。例えば、3500万円を当初金利0.5%で借りた場合、35年返済なら毎月返済額は9万854円だが、50年返済なら6万5940円になる。ただし、返済期間が長いほど利息は増えるので、借入期間中ずっと同じ金利(0.5%)が続いた場合で、利息は約140万円増える。

■3500万円を借りた場合

返済期間35年50年当初金利0.50%0.50%毎月返済分90,854円65,940円差額総返済額3816万円3956万円-140万円筆者による試算(元利均等返済、ボーナス時加算なし、総返済額は当初金利が続く前提で万円単位四捨五入により試算)
融資手数料等は考慮していない

超長期にするもう一つのメリットは、借入額が増やせることだ。先ほどとは逆に、たとえば3500万円の住宅ローンを借りたいけれど、年収や家計の事情で毎月約9万円の返済はできない場合でも、50年返済にすれば約6.6万円で借りることができる。年収が400万円だった場合の返済負担率は、35年の場合で約27%、50年の場合で約20%になる。

超長期住宅ローンのデメリットは?

住宅ローンを借りるにはさまざまな条件がある。返済期間が長くなっても、そこは変わらないので、たとえば、完済年齢が80歳という条件であれば、40歳で返済期間50年を選ぶことはできない。若年層向けのローン商品といえるだろう。

ただし、30歳で返済期間50年を選べば、完済時年齢は80歳。そのときの労働環境はわからないが、年金収入だけのときに住宅ローンの返済が続くことが予想される。したがって、返済途中で繰り上げ返済をすることをあらかじめ計画していないと、年金生活時の家計を圧迫する事態になるだろう。

取り扱う金融機関が少ない、という点もデメリットとして挙げられる。それぞれの金融機関によって、全期間固定型であったり変動型であったりするので、ローンの商品性をきちんと把握する必要がある。

全期間固定型の場合、多くは35年以下の返済の場合よりも金利が高くなる。【フラット50】の場合、融資率9割以下で最も多い金利は1.94%。同じ条件の場合の【フラット35】では金利が1.84%なので、0.1%高くなっている(いずれも2024年7月適用金利)。金利が高く、返済期間が長い分だけ、支払う利息の額も多くなる。

また、変動型で当初金利が低い場合であっても、50年という長い期間に金利は変動する。そのリスクは、35年返済よりもさらに高くなる。長期間にわたる返済であるだけに、完済までにどういったことが起こりうるか、想定しておいたほうがよいだろう。

住宅ローンについては、ますます選択肢が増えている。選択肢が多いことは、それぞれの家庭の事情に応じたローンを選べるという意味で、喜ばしいことだ。ただし、単に毎月返済額が抑えられるからと、超長期の住宅ローンを選んでしまうことは避けるべきだ。返済期間が長くなるほど、借りた人の勤務先や収入、健康状態、家族の変化などの変動要因への対応が難しくなる。それを踏まえて、自分に合う住宅ローンを選んでほしい。

●関連サイト
「住宅ローン利用者の実態調査結果(2024年4月調査)」
住宅金融支援機構「フラット35」
住宅金融支援機構「フラット50」

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