壊れゆくカメラが写す写真の本質。市ノ川倫子「遠い聲」




金柑画廊は、6月22日(土)から7月15日(月)まで、市ノ川倫子写真展「遠い聲」を開催。


市ノ川は、これまで多重露光やブリコラージュなどの写真の手法を用い、遠い記憶や幼少期の空想の世界を表現してきた。本展「遠い聲」では、壊れていく古いトイカメラを使って撮影された作品群を展示。市ノ川は、実家の物置に埋もれていた古いトイカメラを譲り受け、近所を散歩をした時などに、そのカメラでスナップを撮影をしていた。そのうちにカメラは徐々に壊れてゆき、だんだんと図像を結ばなくなり、記録としてのカメラの機能は形を変えて、ただ時間と光の記録だけを残すようになった。壊れゆくカメラは、その時間と光を写し出す、写真の本質そのものとなり、市ノ川が見つめ続ける時間の断片と消えゆく記憶を写していく。儚くも確かに存在していたことが、彼女にとっての証となり、立ち現れてくる。


同時期に、ソニーイメージングギャラリーにて開催される個展では、デジタルカメラで撮影した多重露光の作品群が展示される。フィルムとデジタルという、それぞれの手法で表現される市ノ川倫子の世界を堪能できる。













以下、アーティストステイトメント。


遠い聲


あふれる
あふるる


世界を満たす
光が
飽和して


溶けて流れていく
一切を飲み込んで


壊れていく
消えていく
ことは
悲しいことなのかと


繰り返し
尋ねられているようで


すべてが終わって
しまったとしても


その瞬間の美しさだけが
残響となって
確かな余韻がそこにある


(市ノ川倫子)


市ノ川倫子「遠い聲」
Tomoko Ichinokawa “Distant Voice”
https://kinkangallery.com/exhibitions/3353/
金柑画廊 〒153−0063 東京都目黒区目黒4-26-7
tel: 03-5722-9061
2024年6月22日(土)〜7月15日(月)
開廊日:木、金、土、日(祝祭日)
12:00 – 19:00


[同時期個展情報]

“Even if the sky cracks and lies drop”
2024年7月5日(金)〜7月18日(木)
11:00-19:00 *会期中無休
ソニーイメージングギャラリー
104-0061 東京都中央区銀座5-8-1 銀座プレイス6階
tel: 03-3571-7606
URL: https://www.sony.co.jp/united/imaging/gallery/

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