階段をのぼれるお掃除ロボAscender、「降りることもできる」明言で2億円以上獲得
日本でもすっかり普及が進んだお掃除ロボット。しかし、お掃除ロボットでは歯が立たないのにホコリがたまりやすいのが階段だ。仕方がないので階段や上の階だけは人間が掃除するという家庭も多いだろう。
昨年、「階段をのぼれる」という売り文句でクラウドファンディングサイトKickstarterのウェイトリスト登録を開始し、話題になったお掃除ロボットがある。現在同サイトでプロジェクトを実施中のAscenderである。
名前は“Ascender”だけど安心してください、降りられます
Ascenderは世界初とされる階段の昇降機能を備えたロボット掃除機・モップクリーナーだ。画期的な構造と最先端のAIアルゴリズムに大容量のバッテリー、オールインワンドックを備え、階段や上階を含め家中を自動で掃除してくれるという。
最大約22cmまでの段差を昇降可能。様々な高さの階段を確実に上れるように設計されているため、階段の高さが一定ではない場合でもそれに合わせて昇降可能だという。階段だけでなく障害物、床の段差も難なく乗り越える。もちろん、「降りる」際も同様だ。
しかし「Ascender=のぼる人(物)」という製品名のせいか、階段をのぼれるだけで降りられないのではという疑問を抱く人も。昨年のウェイトリスト登録時は、「階段をのぼる世界初のお掃除ロボット」として注目される一方で「階段を“降りられる”とはひとことも言ってない」という疑惑の声もあがっていた。
しかし今回のプロジェクトでは「階段を降りられる」ことを明言。「階段を降りられますか?」という質問に対して「もちろん! 階段をのぼり降りして複数フロアの掃除ができます。階段を降りる際は、のぼる時と逆の動作をするだけです」と答えている(ちなみにascendの対義語はdescend)。
この回答に人々の期待は高まるばかり、1台799ドル(約12万719円)~という金額ながらプロジェクト終了まで1カ月の時点ですでに2億3千万円を超える支援が集まっている。
階段昇降だけではない、多彩な機能を搭載
幅42センチ×28.5センチの本体は高さ10センチとスリムでソファーの下のような狭い場所も掃除できるほか、横方向へ移動できる電動全方向車輪が付いていて隅々まで自在に移動。回転するブラシシステム内蔵の底面ブラシは、本体の横移動中に90度回転。コーヒー豆やペットフードのような大きめのゴミを効果的に吸い込んでいく。
9700Paの吸引力と毛ブラシとゴム製ローラーブラシで、フローリングでもカーペットでも徹底清掃してくれるうえに、拭き掃除(モップ掛け)も可能だ。一般的な掃除機やモップ掛けロボットクリーナーの3倍、17Nの下向き圧力を誇る。1分間に3000回の高速スクラブを実現する一方、カーペットではモップを自動で20mm持ち上げられる。
1万2000mAhのバッテリー搭載により、1回の充電で最大500平方メートルの広さを移動・清掃可能だ(同データはMIGO Roboticsのラボでのものであり、使用状況により変動がある)。
また、AscenderはHDカメラ、高精度LiDAR、6つのToFセンサーでスマートな掃除を実現。5 TFLOPSのAI演算エンジンと高度なAIアルゴリズムの相乗効果により、環境認識や経路計画、障害物回避を行えるので、いつまでも同じ場所を掃除したり、障害物にぶつかったりということがない。
初回使用時に家の環境を検知してマッピングを作成、効率的に清掃ルートを計画し、異なるエリアや部屋を分別。充電が少なくなると自動で充電し、異なるフロアからでも清掃を再開できるという。
さらに、専用アプリでAscenderをコントロールすることで毎日の清掃を簡素化。掃除の必要な場所や立ち入り禁止の場所、スケジュールを設定できる。アプリには3Dマップ表示機能があり、Ascenderが家の中を移動する様子をリアルタイムで確認でき、場合によっては誘導も可能だ。
充電ドックはオールインワンの密閉型で、小さな子供やペットがいる家庭でも安心。ゴミを吸引する際の音は10dBまでに低減されている。60日間使用可能なダストバッグと、最大30日間使用可能な3.5リットルの水タンクで、手間いらずな点も特徴だ。
2022年創業の米スタートアップMIGO Roboticsが新規参入、開発
このロボット掃除機を開発したのは、カリフォルニア州ニューアークのスタートアップMIGO Robotics。同社のビジョンは、日常生活に革命をもたらすインテリジェントロボットの開発だ。大規模言語モデル(LLM)と具現化されたAIに背中を押される形で、ヴィジョンの実現にグッと近づいたとしている。
2022年設立とまだ起業から間もない同社はロボット掃除機の世界では新参。それでも、同社チームの情熱と気迫が、究極のロボットを創造するための原動力になっているという。従来のロボット掃除機とは一線を画すAscenderは、同社独自のDNAを体現する製品だ。コンピュータを活用した、家庭での情報処理および管理システムである“ホームオートメーション”の可能性を再定義するとしている。
ロボット工学の専門家からなる同社のチームは、ベンチャーキャピタルとロボット掃除機のメーカーから支援を受け、Ascenderを世に出すために多くの困難を乗り越えてきた。業界のトップメーカーに支えられていることで、確かなサプライチェーンから卓越した製品品質、強力なブランド力が保証されている。
Ascenderという画期的なロボット掃除機は、ただ掃除をするだけではなく、「テクノロジーによって生活を向上させよう」という彼らの意欲の証とか。そんなAscenderは信頼性と品質、卓越性と革新性にコミットした製品だ。
引用元:Kickstarter
(文・根岸志乃)
ウェブサイト: https://techable.jp/
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