吹っ飛ぶ広報室 自衛隊広報の黒歴史

吹っ飛ぶ広報室 自衛隊広報の黒歴史

今回はdragonerさんのブログ『dragoner.ねっと』からご寄稿いただきました。
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吹っ飛ぶ広報室 自衛隊広報の黒歴史

最近、有川浩原作の航空自衛隊広報を舞台にした「空飛ぶ広報室」ってドラマやってますよね。

吹っ飛ぶ広報室 自衛隊広報の黒歴史

有川浩「空飛ぶ広報室」幻冬舎

「空飛ぶ広報室 [単行本]」 有川 浩(著) 『amazon』
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4344022173
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広報は自衛隊にとり、国民に自衛隊を知ってもらう為の重要な活動であると共に、なによりも新しい隊員を呼び込む為のイメージ作りでもある訳です。
自衛隊もお役所だし、パブリックイメージ、とっても大事。

でも、民間企業もタマにやらかすのと同じように、「これはアカン……」、と思わせる、やっちまった感溢れる広報の成果も存在するものまた事実……。

今日はそんな自衛隊広報の黒歴史を見て行きたいと思います。

空自編

吹っ飛ぶ広報室 自衛隊広報の黒歴史

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自衛隊映画「ベストガイ」。

ベストガイ(BEST GUY)とは、1990年に製作された日本映画である。

概要
航空自衛隊の千歳基地を舞台にした「トップガン」である。以上。

ニコニコ大百科「ベストガイ」より

「ベストガイとは」 2011年11月19日 『ニコニコ大百科』
http://dic.nicovideo.jp/a/ベストガイ

アカン。

「東京ラブストーリー」のカンチ役でブレイクする前、まだビッグネーム化していない若き織田裕二主演ですが、どんな役も織田裕二になってしまうとしか言い様がない迫真演技はこの頃から健在。

織田裕二演じるF-15パイロット(コールサイン:「ゴクウ」)が、ドヤ顔でシトロエン乗り回して基地に赴任してきたり(身分証忘れて基地に入れず、フェンスを越えて警務隊に捕まる)、ロッカールームで防大出のライバルパイロット(コールサイン:「イマジン」)にメンチ切ったりする様を、素のままの織田裕二演技で見れる本作。
「トップガン」のパクリシナリオと相まって、今これを見返すとこっ恥ずかしさともどかしさで、軽く死ねます。

でもね。映画のストーリー部分は散々ですが、空撮は結構よく撮れていまして、本家「トップガン」より良いシーンもあり、空自広報が仕事した部分はかなりの良い仕事だと思うのです。

でも、やっぱり映画としては駄作で、興行成績もよろしくなかった。

公開された1990年当時はバブル景気絶頂期、自衛隊員募集の状況が悲劇的だったと言われておりますが、この映画によって自衛隊員の募集に効果があったかは定かではない。
航空自衛隊の花形とも言えるF-15パイロットの映画なのに、その後の空自広報で使われたという話も聞かない。

「BEST GUY 予告編」 『ニコニコ動画:Q』




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http://www.nicovideo.jp/watch/sm1181324?via=thumb_watch

予告を見返すと、予告なのに盛り上がらない感がすごい。

海自編

「海上自衛隊CM」 『ニコニコ動画:Q』




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http://www.nicovideo.jp/watch/sm51679?via=thumb_watch

記憶にある方も多いかもしれません。2003年度の海上自衛隊の街頭CM「シーマンシップ」です。
このCM、渋谷駅前の街頭ビジョンで流す、自衛隊として初の試みで、その後も陸海空の自衛隊で映像が制作されています。

その2007年度の海上自衛隊版がこれ。

「防衛庁 海上自衛隊 JMSDF CM」 『ニコニコ動画:Q』




(画像が見られない方は下記URLからご覧ください)
http://www.nicovideo.jp/watch/sm51784?via=thumb_watch

Oh……。山寺宏一(新デスラー総統)のハイテンションなナレーションがつらい……。

この映像については、新聞にこんなこと書かれています。

海自が奇抜な新コマーシャルフィルム 幹部も絶句、350万円で製作

海上自衛隊が、「秘密戦隊ゴレンジャー」などで知られる「戦隊シリーズ」をイメージした奇抜なPR用のコマーシャルフィルム(CF)を製作した。「若者や子供の世代の興味を引くよう意識した」というが、その奇抜さに、幹部会議では全員が一瞬言葉を失ったほど。(中略)

海自として初めて企画競争入札を導入し、広告会社や映像制作会社など10社のアイデアの中から採用した案をもとに、約350万円をかけて製作した。陸自と空自は「あんな奇抜なものは、うちではとてもできない」と口をあんぐり。海自トップの吉川栄治・海幕長(59)は「これからの時代は、我々年寄りの感覚よりも、若い世代の視点でやった方がいい」と苦笑まじりに話す。

読売新聞 2007年4月9日夕刊より

幹部会議で一同絶句とかすごい状況ですが、シーマンシップの時も同様の報道がされていたと記憶しています。
ある種の炎上マーケティングなのかは知りませんが、幹部会議で絶句されるモノにOK出すのってどうなんでしょうか。

Twitterでも書きましたが、私は昭和の旧日本軍の悪弊について、相当多くの人間が「あっ、これもうダメや……」と思っていたフシがあるにも関わらず、戦争を粛々と遂行していった事だと考えていますが、海自もそれと同じ轍を踏んでいるんじゃなかろうかと思います。
こういう所で偉い人「アカン」と思ったら、ストップかけるべきだと思いますよ。勘違いした広告代理店の言いなりはいかんですよ。

あと昔、海上自衛隊が黒田勇樹を広報ビデオに使っていたことがありましたが、その後に俳優からハイパーメディアフリーターになってしまったの見ると、海自の広報って呪われているんじゃないかと思ってしまいます。

陸自編

あくまで個人的な感想ですが、3自衛隊の中で一番広報が上手いのは、陸上自衛隊だと思います。
もっとも人数確保しないといけないだけに、やはり広報にも力を入れているのだな、と分かります。

ですが、陸自広報にも相当な黒歴史がありますが、今は法に触れるのでその詳細をお伝えすることができません。

一つ言えるのは、「少女と戦車」でググっても、“ガールズパンツァー”の事ばかり出てくるという事実に対し、自衛隊はガールズパンツァーに感謝すべきだと思います。

以上。

防衛省編

最後は防衛省です。
3自衛隊を束ねる広報は、非常に重要な役割を持つのは言うまでもありません。
その自衛官募集ポスターがこれ。

吹っ飛ぶ広報室 自衛隊広報の黒歴史

1991年度 防衛庁自衛官募集ポスター
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https://px1img.getnews.jp/img/archives/2013/05/kohoshitsu03.jpg

ファッ!?

コラじゃねえっすよ。公式っすよ。
しかもこのポスターな、昭和じゃなくて平成で、ベストガイより1年後のなんだぜ……。

このポスター、恐ろしいことに2000年くらいまで防衛庁(当時)の公式サイト上のライブラリで見れたんですが、今は跡形もありません。

ツイッターで「自衛隊の黒歴史書くよ」と予告した時、シーマンシップとかは皆さん当てた方も多くいらっしゃいましたが、これは言及ゼロでした。
知られざる地雷かもしれん。

なにげに右のピンクスーツ、さりげなく乳袋になってますね。

……いかがでしたでしょうか。自衛隊広報黒歴史の世界。
まだまだ探せばネタは出てくるかもしれませんが、今日はこのへんで。

執筆:この記事はdragonerさんのブログ『dragoner.ねっと』からご寄稿いただきました。

寄稿いただいた記事は2013年5月31日時点のものです。

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