米スタートアップ開発の持ち運び可能な小型ヒーター、クラファンで約20倍の支援集まる
冬の朝の起床後や帰宅直後の冷え切った部屋全体を瞬時に暖めてくれるうえ、持ち運びまで可能な小型デバイスが現実のものとなった。
クラウドファンディングサイトKickstarterにてポータブル電気ヒーター「CozyPod」のプロジェクトが1月10日に終了、目標金額1万ドルの20倍近い19万7820ドルの支援を獲得したのだ。同商品は、米スタートアップ企業VENTYが手掛けたものである。
エアコンとスポット暖房の“いいとこどり”を実現
エアコンは部屋全体を暖められるが快適な温度になるまで時間がかかり、ヒーターやコタツは即暖性に優れているものの暖房範囲が限られる。エアコンをメイン暖房としてヒーターやストーブを併用する家庭も多いだろう。
CozyPodは、エアコンとスポット暖房器具それぞれの利点を兼ね備えた電気ヒーターだ。約23センチ×10センチと小型ながら最大800ワットのパワフルさを誇る。最新世代セラミックス暖房技術と内蔵サーモスタットにより、電源を入れて2秒で最大約19平米(約10畳)の部屋を即座に暖めることができるという。
電力は500~800ワットの3段階で設定でき、華氏50~88度(摂氏10~31度)の間で温度を正確に調節する。コンセントに差して壁に取り付けた状態で使用するため、大型や床置きタイプの多い従来の暖房器具と異なり場所も取らない。なお本体はコンセントに差し込んでから90度回転可能で、スペースが限られがちなコンセント周りに適した設計となっている。
寝室やキッチン、洗面所など自宅内の各所へ容易に移動ができるのはもちろん、コンセントがあるなら外出先にも気軽に携帯して使用できる点が画期的だ。本体重量の詳細は不明だが、PR動画では女性がストラップ付き専用ケースを肩にかけて軽々と持ち運びする様子が確認できた。
無駄をそぎおとした機能美の実現に情熱をそそぐデザイナーチームによるデザインは、従来のヒーターとは一線を画すもの。インテリアの邪魔をしないすっきりとしたシルエットにマットな仕上げで、「小型ヒーターにおけるテスラ車」を謳っている。
リモコンはタッチ操作、充電式で電池不要
特許出願中のリモコンはコンパクトな円盤型。スマートウォッチから着想を得ており、前面全体の液晶ディスプレイでタッチ操作する。本体のマグネット式ソケットに収納しておけば自動充電されるため、電池は不要。 Kickstarterによれば2時間でフル充電し、一度の充電で36時間使用可能とのこと。
1~12時間のタイマー設定のほか、希望の温度に達した時点で電源が切れるエコモードの設定などをリモコンで操作できる。実際に使用した設定を記憶するメモリ機能もうれしい。
また、本体に搭載されたLEDライトの光量もリモコンで四段階から調節可能だ。好みの明るさに設定すれば、CozyPodがヒーター兼間接照明・フットライトとして活躍する。安全面では、チャイルドロックモードのほかにオーバーヒート防止機能、自動停止機能があり、耐火性のある素材を使用している。
本体背面の電源プラグは取り換え可能で、米国・英国・欧州・オーストラリア・日本向けの5種類がある。華氏から摂氏への切り替えもリモコンで簡単に行えるため、日本でもストレスなく使用できそうだ。
旅行者用扇風機で人気を確立したVENTY社が開発
CozyPodを開発したのは米ネバダ州ラスベガスに拠点を置くVENTY社。旅行者用のポータブル扇風機「Venty Fan」で国際的な人気を確立したスタートアップだ。2020年にKickstarterに登場したVenty Fan(当時の名称はVento)のクラウドファンディングプロジェクトは、目標金額3万ドルの4倍以上となる約13万ドルと993人の支援者を得た。
2度目となる今回のプロジェクトでは、支援者2067人からの20万ドル近い資金調達に成功し、引き続き企画力と注目度を見せた形だ。
前述のVenty Fanは、CEOのMatthew Slack氏が旅行好きで、「旅先でも使えるポータブル扇風機が欲しいのだが、存在しないので自分たちで作った」という旅行者向けの製品。新たに開発されたCozyPodも、寒いオフィスで凍えていた時の「室温も雰囲気も暖めてくれるコンパクトなヒーターが欲しい」という発想から誕生したとのこと。
今回のプロジェクト支援者へのリターン発送開始は2024年2月の予定。国や地域によってはまだまだ冷え込む時期に間に合わせたいところだ。将来的には前作のVenty Fan同様に商品化され、一般の消費者も購入可能となる見込みが高い。
参考・引用元:
VENTY
Kickstarter
(文・根岸志乃)
ウェブサイト: https://techable.jp/
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