わかっているようでよくわからない「ダンディズム」の正体

わかっているようでよくわからない「ダンディズム」の正体

あくまで一般論だが、日本の男性は国際社会の一員にもかかわらず、女性を含む相手に対する社交性が乏しく、「もてなしベタ」とされている。大事なビジネスシーンや食事会で恥をかかないことはもちろん、自分を印象づけるための作法を知っている人は、実際に多くない。異文化の人々と交流する際、彼らとの交際や商談の場面で自信を持って振る舞うにはどうすればいいか。

■ダンディズムとはパラ・ランゲージである

そんなイメージを払拭し、教養として紳士の流儀を身につけるために読んでおきたいのが『ビジネスエリートが身につけたい 教養としてのダンディズム』(御手洗昭治著、ぱる出版刊)だ。

本書では、デキるビジネスマンの作法やユーモアセンスの磨き方、パラ・ランゲ―ジの伝え方に至るまで、ビジネスエリートが教養として身につけたおきたい紳士の流儀を英国文化やアイビー・リーグのインテリジェンスからわかりやすく解説する。

デキるビジネスパーソンは「パラ・ランゲージ」を実践している。「パラ・ランゲージ」とは、「周辺言語」「準言語」と呼ばれている。声の高低、リズム、声量など話すことにかかわるすべての音声刺激要素のことだ。一般に知られているパラ・ランゲージは以下の4つに分類される。

1.ピッチ(イントネーションの高低)

2.スピード(音の頻度と規則性)

3.音質(声の高さや性質)

4.音量(音の強さ)

パラ・ランゲージの達人と呼ばれたのが、英国のマーガレット・サッチャー元首相だ。首相というイメージづくりに取り組んだ際、あえて声を低くするトレーニングに時間を費やした。これは、自分の「高い女性的な声」では緊張感や神経質さ、自身のなさを伝えると指摘され、これに対し、低音の声は、強さや男性らしさの表現として受け止められる傾向があったからだ。

パラ・ランゲージで重要なことを伝えるには、話し言葉の情報以上に相手が見たり聞いたりする視覚的情報や聴覚的情報も重要。いかにわかりやすいプレゼンテーションを行ったとしても、伝え方が悪ければその内容は相手に伝わらない。

相手や聴衆の注意を引くために、自分の土俵に引き込み、主張やメッセージを説得力を持って届けるスキルを「デリバリー」という。パラ・ランゲージと伝えるための身体動作の二つをバランスよく戦略的に使う工夫が必要なのだ。

異文化の人々との付き合いも多くなった現代社会で、マナーや社交術もグローバルな視点が求められている。一流のビジネスパーソンになるためにも、本書からどんな場面でも通用する嗜みを身につけてはどうだろう。

(T・N/新刊JP編集部)

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