俳優と起業家、ふたつの顔を持つ小林涼子さんにインタビュー!農福連携ファームで“持続可能な農業”に挑戦中

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俳優と起業家、ふたつの顔を持つ小林涼子さんにインタビュー!農福連携ファームで“持続可能な農業”に挑戦中

Pacoma10月号(2023年9月10日発行)の表紙を飾ってくれた俳優の小林涼子さん。俳優と起業家の両輪を回しながら、日々活躍中です。農業を始めたきっかけから今後の展望まで、“農に生きる”ことについてお話を伺いました。

小林涼子さん
 
1989年生まれ。俳優として多くの話題作に出演。2021年には農業と福祉を連携させた農福連携ファームを運営する株式会社AGRIKOの代表取締役に就任し、注目を集める。起業以来、俳優業と並走しながら、自社のファームで農作業にいそしんでいる。2023年9月、東京・白金に第二の都市型ファームをオープン。

おいしいお米に導かれ、農業を受け継ぐ起業家になる

2014年から、俳優業をしながら新潟県にある知人の田んぼを手伝うようになりました。

山の雪解け水で育つお米は、本当においしくて。このお米をずっと食べ続けたいと思い、毎年通っていました。

でも、家族が体調を崩したことでお手伝いができなくなって……。

お手伝いとはいえ、体を壊すと農業が続けられなくなる、といったことを間近に見てきて「持続可能な農業のあり方」について考えるようになりました。

農業は古くから親から子に土地とともに代々受け継がれ、農作物が作られてきましたが、今では跡継ぎ問題で廃業する農家さんが後を絶ちません。

また、農業を続けることの大変さも、お手伝いを通して実感していました。

そこで私が出した答えが、都市型の農福連携ファームを運営する会社を起業すること。

社名はアグリカルチャー(農業)と子どもの子で「AGRIKO」(アグリコ)に。農業の業界全体を受け継ぐ子どもに、私たちがなります!という宣言の気持ちを込めて、2021年から起業家としての活動をスタートしました。

 

SDGsフルコミット!“持続可能な農業”を叶える国内初の都市型ファームとは?

私たちの活動拠点は、東京・世田谷区に作った都市型ファーム「AGRIKO FARM桜新町」です。

東京生まれの私が、東京という都市で農業をするならこれだ!と見つけたのが、魚の養殖と野菜の水耕栽培を掛け合わせた次世代の循環型農業「アクアポニックス栽培」。

魚の養殖排水を微生物が分解し、その水を栄養として野菜が育つ。水耕栽培で浄化された水が、再び魚の水槽に戻るという、まるで小さな地球のような仕組みなのです。

ビルの屋上でアクアポニックス栽培を始めるのは私たちが国内初。魚が泳ぐ姿、水が流れる音、風にゆれるバジルなどを眺めていると、ここがビルの屋上とは思えないほど自然の豊かさを感じます。

私たちのファームは都市型であると同時に農業と福祉を連携させた「農福連携ファーム」でもあり、提携企業の障がい者雇用で雇用されている社員のみなさんと一緒に運営しています。

みんなで根気強く作業をしたり、雨や猛暑の日には魚や野菜を心配し合ったり。彼らと一緒に働くことで、仲間と共に働くことの意味や、優しさや思いやりの大切さを実感する毎日です。

また、地域に根付く農業がしたい、女性の活躍の場を作りたいという思いから、AGRIKOで働く人たちは周辺に暮らすお母さんたちが中心なんです。

持続可能な農業を叶えるため、アクアポニックス栽培や農福連携などに挑戦中ですが、同時にSDGsの17全てのゴールを達成することにもつながりました。

人にも地球にも優しい農業を実践しながら、さまざまな社会課題の解決にも貢献していきたいと考えています。

 

“ビル産ビル消”の新鮮野菜を屋上ファームからテーブルへ


このようなメンバーで日々作っているのが、バジルや水菜、エディブルフラワーなどの野菜たち。

同ビル1階にあるカフェレストラン「OGAWA COFFEE LABORATORY桜新町」さんで提供される料理やスイーツに使われています。

生産地と出荷先が同じビル内ということもあり鮮度は抜群!

「約15cmの赤茎水菜が欲しい」というようなシェフのこだわりオーダーにも、対応できます。

地産地消ならぬ「ビル産ビル消」のスタイルは、私たちのような都市型ファームだからこそ実現できることかもしれません。

また最近では、リサイクルペットボトルや天然素材でできた不織布製の植木鉢「ルーツポーチ」の販売やワークショップ、アパレルブランドとのコラボなど活動の幅を広げています。

私たちの活動を知ってもらうことで、都市に暮らす人々が少しでも家庭菜園や農業に興味をもってくれたらうれしいですね。

 

おいしいって幸せ!食農教育イベントで“育てて食べる大切さ”を伝えたい

ビルの屋上にあるコンパクトな都市型ファームとはいえ、日々の農作業は大変です。その大変さを乗り越える原動力は、自分たちで作ったおいしい野菜を食べたい!という、食いしん坊な欲求。

両親が食べることが大好きなので、私は東京にいながらにして全国の美味を味わいながら育ちました。

食いしん坊な両親のおかげで、農家さんが作る新鮮な野菜や果物はおいしい!食べると幸せ!ということを自然に学んだのだと思います。

とはいえ、現代の家庭において産地直送の新鮮食材だけで料理を作ることや、農作物が育つ田畑を子どもたちが毎日、目にすることは難しい……。

そこで、私たちの都市型ファーム「AGRIKO FARM桜新町」でアクアポニックス栽培を見て、とれた野菜や魚を実際に味わってもらうことで、育てて食べる喜びを味わえる場にしたいと考えています。

最初の一歩として2022年から、お子さん向けに食農教育イベントを行っています。

まだ始まったばかりの取り組みなので、イベントで得た経験をもとに、もっと多くの子どもたちに食農教育イベントを開催できればと思います。

そして、出会った子どもたちのなかから、未来の農業を担う子どもが誕生してくれたら、持続可能な農業に貢献できた瞬間(とき)かもしれません。

 

シャツ¥25,300、Tシャツ¥10,450、サロペット¥33,000、シューズ¥18,700(すべてエーグル/エーグルカスタマーサービス 0120-810-378)
ベルト¥9,790、軍手¥1,958、スコップ¥8,250、カラビナ付きコードリールキーホルダー¥4,950(すべてカイメン/カイメン https://keimen.official.ec)

 

写真・岡田 潤(BE NATURAL) スタイリスト・青木紀一郎 ヘア&メイク・髙 千沙都 取材、文・山田裕子

 

Pacoma2023年10月号では、「野菜も花も! 秋って、自分らしく楽しめる♪」をお届け。
ガーデニングクリエイターたなかやすこ先生と、NHK「趣味の園芸」の講師も務める杉井志織先生が秋冬ならではの野菜とお花の楽しみ方やお世話のコツを紹介しています。

秋植えの魅力が詰まった特集になっています。
ぜひお近くのホームセンターで手に取ってご覧ください!

 

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「Pacoma」はホームセンター系のフリーペーパーに出自を持つ、「暮らしの冒険」がテーマのライフスタイル系Webマガジン。ノウハウ記事からタレントの取材記事まで「暮らしを楽しむためのアイデア」をテーマに日々発信しています。

ウェブサイト: http://pacoma.jp/

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