生成AIで話題のGPUとは?
CPUとの違い
GPUとよく似ているものとしてCPUというパーツがあります。どちらもデータを処理するための装置で、名称も似ていることから混同してしまっている人もいるかもしれません。
CPUはコンピューターの頭脳として機能しており、データの処理を全般的に行うものです。一般的にハイスペックとされているパソコンには、性能の高いCPUが使われています。パソコンがサクサク動くかどうかは、CPUの性能にかかっていると言っても過言ではありません。
これに対してGPUは画像を行う際に使用されるパーツです。データの処理を行うという観点から見れば、CPUもGPUも共通していますが、それぞれ得意なことが異なります。
CPUはコア数が比較的少なめで、連続的な計算処理が得意です。それとは逆にGPUはコア数が多く、並列的な計算処理が得意としています。並列的な計算処理というのは、単純な処理を短時間で大量にこなすことです。
3Dの映像を処理する際には、並列的な計算処理能力が必要とされるため、GPUが使われます。
また、GPUのみでは単純な処理しかできず、パソコンで必要なデータの処理を全般的に行うことはできません。そのため、CPUが指令を出してGPUが動く仕組みになっています。
GPUの種類
GPUには次のような種類があります。
内蔵GPU
内蔵GPUはCPUの中に組み込まれているGPUです。ほとんどのCPUには内蔵GPUが組み込まれており、GPUがなくても動作するようになっています。
内蔵GPUの性能はあまり高くありません。そのため、用途によっては動作が鈍くなったり、処理そのものが困難になったりすることもあります。しかし、たいていの用途なら内蔵GPUだけで足りることが多いです。
単体GPU
単体GPUは、CPUとは別に取り付けるパーツです。グラフィックボードと呼ばれることが多いです。専用のメモリ(VRAM)とファンが付いています。
内蔵GPUよりも性能が高いため、高度な演算処理が可能です。内蔵GPUだけだと時間がかかってしまう処理も、単体GPUがあれば短時間で終わることがあります。
ただし、単体GPUは消費電力が高く発熱しやすいのが特徴です。価格も高いため、主にハイスペックなパソコンに搭載されています。
デスクトップパソコンなら、単体GPUを後付けすることも可能です。ただし、ケース内のスペースや電源容量などの関係で取り付けられないものもあります。基本的に性能の高い単体GPUほど大きく、電源容量も多く必要です。
GPUサーバー
GPUサーバーは、GPUを搭載しているサーバーのことです。サーバーはWebサイトのデータやWebサービスを提供するのに必要なデータが保存されており、そのために必要なデータの処理も行います。画像処理を必要とする用途で使用するサーバーには、GPUが搭載されています。
通常のパソコンとは異なり、複数のパソコンからアクセスし、GPUを共有して使用できるのが特徴です。
また、GPUサーバーを利用できるクラウドサービスなどもあります。そのようなクラウドサービスを利用すれば、自分のパソコンに高性能なGPUが付いていなくても、高度な処理が行えます。
生成AIでGPUが必要になる理由
GPUは本来なら画像処理のための装置であるため、AIとはあまり関係がないと考える人もいるかもしれません。
しかし、GPUは並列的な計算処理を必要とする用途なら、画像処理以外の目的にも使用できます。
そして、生成AIでは機械学習やディープラーニングなどを行いますが、その際に単純なタスクを大量にこなす必要があるため、GPUが活躍します。
画像認識や音声認識では大量のデータベースを参照して同じかどうか判断することが多いです。処理するデータの量は非常に多いものの、一致している部分を参照するという単純な内容の処理を行います。
性能の高い単体GPUを使用することで、CPUの内蔵GPUだけで行う場合と比べて、大幅に時間を短縮できます。
PCで単体GPUが必要になるのは
インターネットの閲覧やWord・エクセルなどの事務作業であれば、内蔵GPUで困ることはほとんどないでしょう。画像や動画なども視聴するだけであれば、内蔵GPUだけで間に合います。そのため、一般に出回っているパソコンの多くは、単体GPUを備えてはいません。CPUの内蔵GPUだけのものが多いです。
しかし、3Dゲームをする場合や動画編集を行う場合には、単体GPUが必要になることがあります。3Dの処理を必要とするソフトウェアなどを使用する場合にも単体GPUが必要になることが多いです。例えば、建築設計などで使用するCAD用ソフトなどを使用する際には、単体GPUが必要になることがあります。
また、単体GPUにもさまざまなスペックのものがあるため、必要な場合には用途に合ったものを使うことが大切です。
ゲームやソフトウェアの場合には、公式サイトなどに必要環境と推奨環境が明記されています。
代表的なGPUのメーカー
GPUは主に次の3社のメーカーで製造されています。いずれもアメリカに本社を置く企業です。
NVIDIA(エヌビディア)
GeForceシリーズを製造しているメーカーで、GPUメーカーの中では定番で知名度も高いです。
GPUだけでなく、半導体全般を手掛けています。半導体の売上においては世界でトップ10に入っており、急成長しています。AIのアルゴリズムの訓練においては、NVIDIAのGPUのシェアが非常に高く100%に近い水準です。
スーパーコンピューターの約7割にNVIDIA製のGPUが使用されています。理化学研究所のスーパーコンピューター「富岳」に使われているGPUもNVIDIA製です。
また、NVIDIAはファブレスメーカーなのも特徴です。研究開発や設計に特化しており、実際の製造は他の企業に委託しています。
AMD(エーエムディー)
AMDはRadeonシリーズを製造しているGPUメーカーです。GPUにおいてNVIDIAと双璧をなすメーカーでNVIDIAとライバル関係にあります。GPUを購入する際に、NVIDIA製のGeForceシリーズにするか、AMD製のRadeonシリーズにするか迷う人は多いです。
また、AMDはGPUだけでなくCPUも製造しています。CPUにおいてはintelとライバル関係です。
AMDの製品は、GPUもCPUも全体的に見てコストパフォーマンスが高いのが特徴です。そのため、価格を抑えた上でスペックの高いパソコンを買いたい人に高い人気を誇ります。
Intel(インテル)
intelはCPUにおいて非常に有名なメーカーです。パソコンにあまり詳しくない人でもintelというメーカー名を耳にしたことがある人は多いでしょう。
intelは1998年以降GPUを製造していませんでした。そのため、あまりGPUのイメージがない人もいるかもしれません。しかし、GPUの製造を再開し、2022年には24年ぶりにGPUを発売しました。
今回発売されたのは、「Intel Arc A770」と「Intel Arc A750」の2つですが、今後はさらにラインナップが増えていくことが期待されるでしょう。
まとめ
GPUは並列的な計算処理を得意としている装置で、単純な処理を高速で行えます。主に3Dゲームや3Dのデータを扱うソフトウェアなどで必要になることが多いです。生成AIにおいても機械学習やディープラーニングなどで使われるため、最近注目を浴びています。
データを処理するという点で見れば、CPUと似ていますが、CPUが苦手なことをGPUで補完する面が多いです。どちらもAIが発展していくためには欠かせないパーツと言えます。
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