心身・精神を整えるヨガの古典『Yoga Sutras(ヨガ スートラ)』とは?

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心身・精神を整えるヨガの古典『Yoga Sutras(ヨガ スートラ)』とは?
生涯健康でありたいと感じている方の中には、身体の強化や柔軟性だけでなく、心や精神の安定を求めている方も多いのではないでしょうか。エクササイズとヨガの違いは、ヨガは身体の健康はもちろん、精神的な豊かさも得られる点です。ヨガはインドで発祥し5000年の伝統をもち、2016年12月にはユネスコ無形文化遺産に登録されるなど、心身のみならず精神を豊かにする世界的に有名な修習法です。また、ヨガには様々な有用性があることが研究発表されています。
厚生労働省『「統合医療」に係る 情報発信等推進事業』

今回は、心身ともに豊かな人生を過ごしたいと思っている方へ、数千年に渡って継承され続ける古典『Yoga Sutras(ヨガ スートラ)』を解説します。

健康の定義とヨガ

健康、そして精神の安定を目指すにあたって、まずそれがどのようなものか理解すると良いでしょう。誰もが直面する生老病死、人間関係や欲求は、不安や悩みごととして苦となりがちです。健康の5つのカテゴリーについては、こちらの記事をご覧ください。古典ヨガを活用しての肉体と精神の健康づくり

精神面では、特に先進国においては、年齢問わず鬱や精神疾患の症状をお持ちの方が多く見受けられます。身体の健康だけでなく、内面・感情・知的・社会的健康、そして精神的な健康による「QOL(クオリティオブライフ)」の向上は社会においても重要です。

ヨガスートラとは?

数千年前は、印刷や製本はもちろん、紙などがまだ普及していない時代です。ヨガの教えを凝縮した短い文を薄板や木の皮などに記録し、スートラ(糸)で繋いだことから、ヨガスートラと呼ばれています。4〜5世紀頃に、ヨガを体系的に編纂した古典がマハリシパタンジャリの『ヨガスートラ』で、195のスートラによって、ヨガの定義と悟りに向かう段階が記されています。ちなみに、ヨガについて書かれた最も古い書物は『Rig Veda (リグ ヴェダ』と言われています。その後、2世紀までに記された、インドの二大抒情詩『ラーマーヤナ』と『マハーバーラタ』は世界的にも有名です。『マハーバーラタ』の第六巻の中にある「バガヴァッドギータ」は、マハトマ・ガンディーにも影響を与えたと言われる書物です。他にも、ヨガの修習法や定義を記す文献として、スワミ スワトマラマの『ハタヨガ プラディピカ』、作者不詳の『ゲランダ サマヒタ』などがあります。

このように数あるヨガの古典の中でも、『Yoga Sutras(ヨガ スートラ)』には、ヨガの精神的な修習段階が記されています。内容は4つの部門に分かれており、今回は、Ⅰサマーディ・パダ|三昧部門の3つを解説します。スートラは短い文なので、読むだけでは理解が難しいものですが、スワミ・サッチダーナンダ著『インテグラル ヨーガ(パタンジャリのヨーガ・スートラ) 』は、現代的な視点でスートラを紐解いているので初めての方にも読みやすいでしょう。

「心の作用を死滅する」とは?

ヨガスートラの目標は、サマディー(三昧、解脱)です。サマディーの緒段階は、Ⅱ章のサーダナ・パダ|実習部門に詳しく記されています。まず、ヨガを学ぶ人なら耳にしたことのあるスートラがこちらです。

Ⅰ章–2「チッタ ヴリッティ ニローダハ(心の作用を死滅する)」
チッタとは心、ヴリッティは作用です。心が作り出す、思い込みや錯覚、誤解という歪んだ作用が無ければ、ありのままの世界を見ることができるという点は、禅でいう無我の境地に近いものです。重要なのは、その前後のスートラです。
             
Ⅰ章–1「アタ ヨガアヌシャーサナム(ヨガをつまびらかに紐解く)」
ヨガの修習は、実践ありきです。
禁戒、勧戒、アサナ(ポーズ)身体の練習、呼吸、調気、集中、瞑想によりサマディー(三昧、解脱)に至る「八支則」が修習にあたります。八支則の詳細はこちらの記事を参考にして下さい。幸せで充実した人生をもたらす瞑想の効能とその実践法について

心の作用を死滅することによって得られる結果がこちらです。
Ⅰ章–3「タダー ドラシュトゥ スワルーピ アヴァスターナム(その時、見るものはそれ本来の状態にとどまる)」
例えば、さざ波立っていた水面が自然と収まり、それ本来の状態に戻ることを意味します。
鏡のような水面には世界がありのまま映り込み、そこには人間の起こす作用による歪みがありません。
煩悩による苦しみを作り出さないための先人からの智慧が『Yoga Sutras(ヨガ スートラ)』に記されているのです。

そして、Ⅰ章–4から、実は心が作用と同化しているように見える(だけ)と説明が始まり、心を揺るがす「ヴリッティ(作用)」には5つあり、煩悩と非煩悩の2種類がある、と続きます。作用としての、思い込みや錯覚、誤解などから喜怒哀楽が発生します。人間が陥りやすい誤認識が、数千年前から変わらない点が興味深いですね。

まとめ

『Yoga Sutras(ヨガ スートラ)』には、時代や国、老若男女問わず変わることのない人間の本質が記されています。身体の健康はもちろん、精神的な豊かさを得られるハンドブックとして、数千年の時を超えて現代に受け継がれる智慧は、これから先もずっと伝承され続けていくことでしょう。

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