人生100年時代を生きる体力の転換期は62歳?体力低下を防ぐ秘訣はあるのか!?

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人生100年時代を生きる体力の転換期は62歳?体力低下を防ぐ秘訣はあるのか!?

62歳は身体の衰えを感じ始める時?

2021年の日本人の平均寿命は男性が81.47歳、女性が87.57歳です(2022年7月厚生労働省)。日本人の平均寿命は9年連続で伸び続けていましたが、前年より男性0.09歳、女性0.14歳下回りました。厚労省は新型コロナウイルスや老衰による死亡率の変化を理由として挙げています。しかしながら、世界ランキングでは、女性が第1位、男性は第3位です。人生100年と言われるくらいの長寿国です。ただ、その中間点とも言える50歳代になると、筋肉の損傷修復や脂肪燃焼など、若さに関与するとされる成長ホルモンの分泌量はかなり低下します。姿かたちはそれほど大きく変化しませんが、少しずつ老化を感じさせる自覚症状が増えます。 
老化に関するアンケートは様々な所で行われており、各世代における自覚症状は数多くあります。その中で、代表的な症状は、

30歳代 疲れが取れにくくなった
40歳代 白髪が目立つようになった
50歳代 細かい物が見えにくくなった
60歳代 物忘れが多くなった

と言えます。この年代を通って来た人は、うなずける症状ではないかと思いますが、いずれも日常生活に大きな不便を感じない症状です。70歳代では、どのように感じているのかというと、70歳代 筋力の衰えを感じるが多くを占めます。当院に来院されている人の中でも、「70歳を過ぎたら、ガクッと体力(筋力)が落ちた」という言葉を良く聞きます。筋力の低下は、行動範囲が狭くなる事に繋がります。では、いつ頃から筋力は落ちるのでしょうか。老化は、60歳が節目と考えられています。60歳は定年退職する頃ですが、まだ忙しく働いている時ですので、身体に変化が起きている事は実感出来ません。61歳になり、時間に余裕が出来ると、身体に目を向けるようになりますので、体力の低下を感じるようになりますが、実際に衰えを実感するのは、62歳を過ぎた頃と考えられます。同時に、運動をしても、筋力の維持が難しい事を感じるようになります。私も、62歳の身体状況を体感していますが、数日運動しないと、筋力がすぐ衰える事を実感しています。62歳は体力低下と向き合う必要性を感じる人生の転換期だと考えています。

61歳から70歳までの9年間は大切な時期 体力低下防止にすべき事は運動?筋力低下をいかに補うかが鍵!

会社や公務員勤めの方は、60歳に定年を迎えますが、まだまだ現役の気持ちが強い時です。身体の衰えもさほど感じていない頃ですが、将来の事を考え、運動に目を向ける人が多くなるようです。自営の人は尚更、健康管理に目が行くのではないでしょうか。体力の衰えを実際に感じ始めるのは61歳からのようです。衰えを感じるきっかけは、筋力低下です。筋肉量は、全年齢において男性が女性より多くあります。減少の割合は男性が女性より大きいため、衰えに対しては男性の方が敏感だと思われます。
筋肉量の減少は、部位別にみると
 
 下肢 20歳代より全世代顕著に減少
 上肢 40歳代より緩やかに減少し始め70歳代より減少
 体幹 50歳代まで緩やかに上昇した後60歳代より顕著に減少
 全身 40歳代まで緩やかに上昇した後50歳代より顕著に減少

という傾向があるようです(『日老医誌』「日本人筋肉量の加齢による特徴」2010)。全身の筋肉量が50歳代まで大きく減少しないため、多くの人は筋力低下をあまり実感しないで定年を迎えるのではないかと思います。筋肉量は、下肢、全身、上肢、体幹の順に、年を取る度に減少します。年齢とともに筋肉量が減少するのは、筋線維が減り、筋委縮が生じるためです。特に速い動きに関係する「速筋線維」は顕著に委縮するため、年とともに動作が遅くなります。遅い動きに関係する「遅筋線維」はさほど委縮しないため、継続してゆっくり運動する事には、問題が生じません。下肢は、若い時から衰えを感じ始めるので、ランニングが人気なのだと思います。60歳代以降になると、徐々に走る事が出来なくなって来ます。そのため、運動をしている人に何をしているかというアンケートを取ると、ほとんどがウオーキングと答えます。下肢の衰えを実感している事を裏付けています。
この年代から身長は縮む傾向にありますが、それは背骨の間にある椎間板が薄く(狭く)なるからです。椎間板には血管が通っていません。栄養分は、背骨(椎骨・ついこつ)を覆う骨膜にある血管から補給しています。効率良く椎間板へ栄養を送るためには、背骨を前後左右に動かし、骨膜の血管に対する圧を定期的に高くする必要があります。つまり、身長を保ち、背骨の関節を柔軟に保つためには、背骨をいろいろな角度へ動かす運動が必要だという事です。関節の動きを正常に保つという点においては、他の関節でも同じです。どの関節も、いろいろな角度へ動かす必要があります。見方を変えると、ウオーキングだけでは、約260ある関節の柔軟性や600以上ある筋肉の向上には不十分だという事です。運動しない人に比べると定期的にウオーキングする事は下肢の筋力低下に役立ちますが、上肢や体幹を含む全身の筋力低下に大きく役立つとは考えにくいと言えます。61歳から70歳までの9年間に、全身の筋力がかなり減少します。筋力低下が進むと、70歳代後半に入り、動き回る事が困難になります。介護を必要とした生活を回避するためには、定期的に全身の関節運動や筋肉トレーニング(以下筋トレ)をする必要があります。

一週間にどのくらい運動するのが適当?

運動しすぎて関節に痛みを感じたら、その原因を考える必要があります。骨折、脱臼、捻挫、筋肉や靭帯の損傷であれば、整形外科や接骨院・整骨院を受診する必要があります。しかしながら、外傷ではない場合は、過剰な運動が考えられます。筋力を強化する際、2種類の方法があります。それは、

1.等張性(とうちょうせい)運動
2.等尺性(とうしゃくせい)運動

です。1は、関節を曲げ伸ばしする方法です。2はじっと同じ姿勢をしている方法です。どちらも筋力アップに有効ですが、関節や筋肉が硬い人及び普段運動していない人は、1をしてから2をすれば、関節の痛みを覚えません。1と2は均等もしくは1を多めにするのが良く、運動を始めたいという人は、1のみにして、1年ほど経過してから2を徐々に増やしていくと、関節の痛みは出にくいと考えます。2のみを行っている人は、痛みを生じやすいので注意が必要です。

体力を向上させるためには、以下の運動量が必要です。
年代    週    日
5~9歳代週4~5日間1時間半~2時間程度
10歳代週6日間2時間~3時間程度

4歳以下は体力が十分備わっていませんので、長距離走は身体機能を低下させる恐れがあります。運動は、5歳頃から始めるのが適当と思われます。健康な人が体力を向上させるためには、上記運動量が必要だと考えます。

10代までに培った体力の維持には、以下の運動量が適当だと考えています。
年代    週    日
20歳代週1日間2時間程度
30歳代週2日間2時間程度
40歳代週2日間2時間程度
50歳代週2日間1時間半~2時間程度

働き盛りの人は、これ以上運動する時間を確保する事は困難だと思いますが、上記より運動量を増やした場合で関節に痛みを感じる時は、運動量や運動の質を見直し、体を休ませる必要があります。走る事は背骨への衝撃が加わるので効果的ですが、高齢になればなるほど、走る事は困難です。ランニングは、何時までも出来る運動法ではありません。各関節へ刺激を与えるために有効だと思われる運動の一つに、ラジオ体操があります。ラジオ体操は子供の頃に学校で習いましたので、誰でも行う事が可能です。家族みんなで行う事が可能ですし、家の中で出来ますので、出かける必要がありません。雨の日でも出来ますので、毎日継続して行うには最適と言えます。ラジオ体操第1と第2をしっかり行えば、筋力低下の防止に役立つと考えます。運動は、毎日する事が大切ですので、ウオーキングの他に、室内で出来る関節運動を加えると、適当な運動量になると思います。

60歳代を迎え、体力の維持を考える時は、筋力低下防止を目的として、毎日ラジオ体操をするか5分~10分程度の筋トレは必要ですが、それ以外に、以下の運動量が適当だと考えています。

年代    週    日
60歳代前半週2日間1時間~1時間半
60歳代後半 週3日間   50分~1時間程度
70歳代前半週4日間40分程度
70歳代後半週5日間30分程度
80歳代週6日間   20分程度
90歳代週7日間15分程度

体力がある人は、これ以上運動しても問題ありませんが、運動量が体力を超えると、疲労が取れにくくなり、関節に痛みを覚えやすくなります。一日の運動量を増やしたからと言って筋力がアップするとは限りません。関節に痛みを覚えたら、体を休ませる事が大切です。尚、基礎疾患がある人や関節に痛みがある人は、個別に考える必要上がりますので、担当医とご相談の上、適正な運動量をご検討頂きたく思います。

理想的な柔軟体操はヨガ(YOGA) 毎日30分程度行えば関節の痛み防止に役立ちます

すべての関節を効果的に動かす理想的な柔軟体操は、ヨガ(YOGA)のアーサナ(ASANAポーズ)だと考えています。様々なポーズを呼吸とともに無理せず外傷に注意して行えば、効果的に関節を動かす事が可能です。高齢者のみならず身体に障碍(しょうがい)を持つ人でも可能な方法です。運動をした後、ヨガ(YOGA)のアーサナを行えば、筋肉の凝りが取れ全身のバランスが良くなります。外傷の防止にも最適です。また、ヨガ(YOGA)を行う際の準備体操も、筋力低下に有効です。体の中で重要な役割をしている、首・肩・腰・股・膝の関節を動かす事により、日常生活を無理なくこなす事が可能です。私が主宰している「清野メディカルヨーガ http://seino-1987.jp/yoga」は、まもなく創立39年を迎えます。会員に、90歳以上の方がお二人おり、毎日ヨガ(YOGA)を実習して、元気に過ごしています。ヨガ(YOGA)が、健康維持に役立つ事を実感しています。ヨガ(YOGA)は指導者に教わる事が大切です。本やYouTubeを見て、自分が出来そうなポーズを繰り返し行い、関節を痛めている人が後を絶ちません。ヨガ(YOGA)にご興味がおありの人は、お近くのヨガ(YOGA)教室を訪ねてみたらいかがでしょうか。

鍼灸治療は関節の痛み解消に有効です

筋力が付いてくると、ついつい運動量が多くなります。関節に痛みを感じたら、筋緊張は過剰になっている事が考えられますので、痛みの原因となっている筋トレまたは運動(スポーツや武道等)を、思い切って2週間全くしない選択肢もあります。運動しないでいると、徐々に痛みが引いて来ます。長期間運動している人は、筋力の低下を心配しなくても、大丈夫だと思います。休んでいる間に、適正な運動量を考え直す事が大切です。清野が呼称する養正(ようせい)治療は、日常の適正な生活指導です。休んでいる間、適正な日常生活を送る必要があります。詳しくお知りになりたい人は、清野鍼灸整骨院ホームページ「くらしと養生」をご参照戴きたく思います。「くらしと養生」
2週間経過しても痛みが軽減しない時は、新陳代謝の低下が考えられますので、鍼灸治療がおすすめです。原因となっている内臓の疲労回復に一役買えば、痛みの解消が可能です。お近くの鍼灸院または鍼灸師が勤務している医療機関にご相談ください。

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