机の並べ方、筆記用具、ランチ……世界の学校はこんなに違う! 「当たり前」の見方が変わる本
書籍『6ヵ国転校生 ナージャの発見』の著者であるキリーロバ・ナージャさんは、ちょっとユニークな経歴を持っています。それは子どものころに、両親の転勤でロシア、日本、イギリス、フランス、アメリカ、カナダという世界6か国の学校に転校したこと。同書は、そんなナージャさんが各国の教室で過ごした体験を記した回想記。机の並べ方、テスト、ランチ、夏休みなどなど、国が変わればこんなに違うのかと、ナージャさんの視点を通して皆さんもきっと驚くことになるでしょう。
たとえば、筆記用具。日本に暮らす私たちは、小学校で使う筆記用具といえば「えんぴつ」を思い浮かべる人が多いかと思います。しかし、ロシアからイギリスの学校に転校したナージャさんは、みんながペンではなくえんぴつを使っているのを見てビックリ。実は授業でえんぴつを使うのは、日本、イギリス、アメリカ、カナダ。ロシアとフランスではペンを使っています。
「えっ、だってあの美術の時間に絵を描くためのえんぴつですよ。算数の図形ならまだしも、文章を書いてたんですよ、文章。とても不思議でたまらなかった」(同書より)
えんぴつを使うのにはおそらく何か理由があるのだろうと考えたナージャさん。そして、消しゴムで消せて何度でも書き直せるえんぴつは「よく書くための道具」、一度書いた文字は消せずに紙に刻まれるペンは「よく考えるための道具」だと考察します。
「どちらかが正解なわけではなく、ツールを変えれば、アウトプットも変わる。それがどう変わって、そこから書いている子どもが何を学べるかが、実はいちばん大事かもしれない」(同書より)
この「どちらかが正解なわけではない」という考え方は、同書で非常に大切にされている視点です。小学校の教室での座席の配置、体育で整列するかしないか、入学の年齢、昼食のとり方(給食、弁当、家に帰る)、夏休みの過ごし方、校長先生と生徒の関係性など、国によって本当にさまざま。その国での「当たり前」は、他の国に行くと「当たり前」ではなくなるのです。
「『絶対的な正解』をみんなで探すのではなく、一人一人の『正解』をみんなで見つけていくしかないのだ。それが6カ国転校生ナージャのいちばんの発見なのかもしれない」(同書より)
「ふつう」や「常識」は国によって変わるものです。もし今いる環境を息苦しく感じたとしても、それが世界のすべてではありません。そんな気づきを与えてくれる同書は、もしかしたら皆さんの人生の見方まで変えてくれる一冊かもしれません。
[文・鷺ノ宮やよい]
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