住宅展示場もメタバース化! 仮想空間にアバターで参加、内装変更やペット目線の内見も自在に

住宅展示場もメタバース化! 仮想空間にアバターで参加、内装変更やペット目線の内見も自在に

“VR”だ、“メタバース”だと、近年のITの進化はスピードを増している。折りしも、大和ハウス工業が「メタバース住宅展示場」を公開するという。いったいどんなものなのだろうか?プレス向けの体験会があるというので、筆者も参加してみた。

【今週の住活トピック】
オンラインでコミュニケーションが図れる業界初の「メタバース住宅展示場」公開/大和ハウス工業

“VR展示場”の先を行く“メタバース住宅展示場”?

実は筆者は、“メタバース”と“VR”の違いがよくわかっていない。インターネットで違いを調べると、“メタバース”とはインターネット上の仮想空間のことで、“VR”は仮想現実と訳されるとある。仮想=バーチャルという点は共通だが、VRは仮想空間を支える技術や手段のことのようだ。

このようにITは苦手な筆者ではあるが、いちおう新しいものは試してはいる。VR展示場・VRモデルハウスなどは体験したことがあるし、VRゴーグルなども何度もつけたことがある。筆者が経験したVRモデルハウスの印象は、CGあるいは実写の360度画像が見られたり、印のある場所に移動できたりするもので、VRゴーグルをつければさらに臨場感のある画像が見られるというもの。

で、メタバース展示場の登場である。どこがどう違うのか、興味津々だ。大和ハウス工業のプレスリリースには、次のような説明がある。

「『メタバース住宅展示場』は、スマートフォンをはじめ、タブレットやパソコンから簡単に見学できることに加え、お客さまと当社担当者がアバターとなり、仮想空間上の住宅展示場内を案内することができるため、質問や相談も気軽に行えます。また、アバターを用いてお客さま同士での会話もできる他、ヘッドマウントディスプレイを装着して見学した場合は、実際の住宅展示場にいるかのような臨場感も体験いただけます。」(大和ハウス工業プレスリリースより引用)

移動がスムーズで情報量も豊富、ストレスなしで見学できた

で、体験会に参加してみた。筆者が自宅のパソコンで、案内された体験会用のURLをクリックすると、見学する住宅の外観画像が浮かび上がった。

「メタバース展示場」外観画像(画像提供/大和ハウス工業)

「メタバース展示場」外観画像(画像提供/大和ハウス工業)

名前を入力して、カメラとマイクをオンにした。右端に「外観」「1F-玄関」「1F-LDK」「1F-台所」・・・「2F-トイレ」「2F-主寝室」「2F-洋室1」・・・「1F-平面」「2F-平面」「鳥瞰」「画面共有」といったボタンが並んでいる。試しにあちこちクリックして見たら、部屋が次々と変わる。

「鳥瞰」の画面、角度を変えたり拡大縮小したりもできる。空を飛んでいるアバターは、その角度から鳥瞰画像を見ている(画像提供/大和ハウス工業)

「鳥瞰」の画面、角度を変えたり拡大縮小したりもできる。空を飛んでいるアバターは、その角度から鳥瞰画像を見ている(画像提供/大和ハウス工業)

そのうち、参加者が集まってきて「1F-LDK」に集合するように声がかかった。入ってみると説明者と参加者のアバターがいた(冒頭画像のイメージが該当)。ずんぐりした形状で自分の顔だけがカメラから組み込まれている。「私のアバターはどこにいるのでしょうか?」と質問したら、自分のアバターは自分では見られないそうだ。初歩的な質問をしてしまったことが恥ずかしい。

「1F-平面図」の画像、ところどころに矢印が回転している部分があるが、これをクリックすると色や柄の選択ができて壁や床、扉を変えられる(画像提供/大和ハウス工業)

「1F-平面図」の画像、ところどころに矢印が回転している部分があるが、これをクリックすると色や柄の選択ができて壁や床、扉を変えられる(画像提供/大和ハウス工業)

・部屋は右側に表示されるメニューのボタンをクリックすれば自由に移動できる
・その空間の中も移動したり、空を飛ぶように上がったり床の目線まで下がったりできる(ペット目線で見られるというのが狙いだそうだ)
・鳥瞰や各階平面図もあるので、屋根の形状を見たり部屋のつながりを見たりもできる
・矢印が丸くなっているマークがある部分は、色や柄を変えることができる
など、基本的な説明を受けたあとは、自由見学を促された。

平面図に移ってみたら、先客がいて画面をふさいでいる。「移動して別の場所や角度から見るようにしてください」とアドバイスをもらった。このように、その場でいろいろ質問できるので、ストレスがない。参加者たちが好き勝手にいろいろなものの色・柄を変えるので、筆者が見ている間にも壁や床がころころ変わる。2階洋室に移動して、窓ガラスに近づいたら、ガラスに室内の照明が反射していた。かなり細かく再現されているようだ。

「浴室」で色替えをしてみた。鏡には室内の様子が写るほどの再現性だ(画像提供/大和ハウス工業)

「浴室」で色替えをしてみた。鏡には室内の様子が写るほどの再現性だ(画像提供/大和ハウス工業)

表示されている参加者の名前をクリックすると、その人のいる場所に移動できるというので、説明者に自分のいる場所に来てもらうことも可能だという。「画面共有」機能を使えば、詳しい資料などを見ながら説明を聞くこともできるという。

現物の見学に加えて、より深く確認するという利用法も

さて、実際に参加してみた印象でいうと、私が以前に体験したVR展示場よりも、移動がスムーズで、細かい点を確認できることや、担当者と同じ空間で会話ができることから、ストレスなく見学ができた。通常では見られない鳥瞰や平面図も見られる点も、より多くの情報を得られるので面白かった。今回の体験では、ヘッドマウントディスプレイなしだったが、付けて見ればもっと臨場感があったのかもしれない。

コロナ禍で実際の展示場に行くことにためらいを感じる人などの間口を広げる、という利用方法もあるだろうが、この住宅商品を建てると決めたあとで、プランを確認したり壁紙の違いを試したりなどの確認行為として利用する方法もあるだろう。筆者は、展示場やモデルハウスは、実際に五感を使って空間を感じることを強くお勧めしているので、バーチャルだけというのはお勧めをしていない。ただ、実物の見学に加えて、メタバースでの見学ができれば、見落とした、気づかなかった、ということがないように思う。

「これだけのものをつくるには、相当費用もかかっただろう」。そう思って聞いてみたら、数十万円でできたという。ならば、その費用を負担しても、自分の建築予定の家をメタバースで見たいという人も出てくるのかもしれない。

筆者は、「 “メタバース”はゲームやショッピングの世界のものだ」と思っていた。しかし、今回体験してみて、住宅分野でも十分活用できるものだと分かった。メタバースを始めとするVR技術は住宅分野でも、今後ますますすそ野が広がっていくだろう。

●関連サイト
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