シンディ・ローパー、『キンキーブーツ』初日公演カーテンコールにサプライズ登場
『キンキーブーツ』は、経営不振に陥った老舗の靴工場の跡取り息子チャーリーがドラァグクイーンのローラに出会い、差別や偏見を捨て、ドラァグクイーン専門のブーツ工場として再生する過程が描かれた同名イギリス映画(2005年公開)をミュージカル化した作品。日本で4回目の上演となる今回はキャストを一新。次世代のミュージカルスターが勢ぞろいし注目を集める中、開幕となった。
フェアウェルツアーで来日中で25日に武道館公演を終えたばかりのシンディ・ローパーは、27日(日)18時の初日公演カーテンコールの際、キャストに「今作の作詞・作曲を務めているシンディ・ローパーさんです!」と呼び込まれて大拍手に迎えられて登壇。「ありがとうございます!キンキー!」と日本語で挨拶。「ここにいる全員素晴らしいと思います。どんなことでも、1人で成し遂げることはできない。これは我々全員で成し遂げたことだと思います。そして、今夜舞台に立っているパフォーマーのみなさんは、それぞれのハートをさらけ出して、自分自身の一部を舞台に表してくれたんじゃないかなと思います。この作品は、すべての人をハッピーにさせてくれる作品だと思います。自分もその一部になれて本当に嬉しく思います。ありがとうございます」とメッセージを残した。
靴工場の跡取り息子チャーリー役には、映画『おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!』の公開を控える東啓介と、ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』への出演が決定している有澤樟太郎。ドラァグクイーンのローラ役には、ミュージカル『マタ・ハリ』への出演を控える甲斐翔真と、ミュージカル『マリー・キュリー』の出演が発表された松下優也。フレッシュなメンバーが集結し、日本版『キンキーブーツ』の新たな歴史を創り上げている。
写真:岡千里 キセキミチコ
コメント
※囲み取材登壇者コメント
ジェリー・ミッチェル(演出・振付)
とてもワクワクしていて高揚感でいっぱい、最高の気分です。キンキーブーツという作品は、若い男性が本当の自分や誠実であることの大切さを発見していく物語です。キャストそれぞれに渡されているマテリアルは同じですが、個々の方向で輪郭を形作って役を見つけています。全員が自分の役に自信を持っています。これは我々の物語です。観客の一人一人が舞台上のローラやチャーリー、ローレン、工場員やエンジェルスの一員の中に自分を見つけ出します。また、これはコミュニティの話でもあり、お互いを受け入れることで最高の自分になれます。だからこの作品は愛されるのだと思います。
東啓介
ようやく初日を迎えるということで、お客様に新しいメンバーをお披露目できることがとても楽しみです。『キンキーブーツ』は台詞までも秒単位で時間が決まっており、どんどん喋ってどんどん物語を進める必要があって、序盤の稽古では慣れが必要でした。観ている側と演じる側は全然違います。ただチャーリーに比べるとローラは劇中で何回もメイクや衣裳が変わるので、そういった大変さもあると思います。そしてこのメンバーは全員が高身長なので、物理的に目線が合うことがとても新鮮でした(笑)。チャーリーの成長やローラの言葉を通して、今まで気づけなかったことに改めて気づけるし、他人を受け入れることができる。更に舞台上でキャストがリアルに生きているからお客様が自分を投影できて、自分自身を受け入れることにも繋がる。それが『キンキーブーツ』が愛される1つの魅力だと思います。もちろん音楽もとても素晴らしいので、是非楽しんでいただきたいです。
有澤樟太郎
クリエイタースタッフの皆さんに『キンキーブーツ』という作品やチャーリー・プライスとしての生き方、ノウハウを沢山教えていただいて、最後にジェリーに魔法をかけてもらいました。ずっと夢見ていた『キンキーブーツ』なので、ずっと楽しくて仕方ないです。お客様が熱狂する姿を想像しながら稽古していましたが、期待を超える作品になったと思います。「自分が変われば世界も変わる」という台詞の通り、演じていても1人の演技が変わるとみんないろいろな方向に変わっていくので、そのライブ感が魅力です。明日はどうなるんだろうと毎日楽しみです。この作品を創ってきた人たちの愛が素晴らしく、その愛をお客様に受け継いでいかないといけないと思っています。今カンパニーの士気が最高潮に上がり切っていて、本番までにやり残したことはまったくありません。お客様に観ていただいて、早く2025年の『キンキーブーツ』を完成させたい気持ちでいっぱいです。とても楽しみです!
甲斐翔真
本当に初日って来るんだろうか?と思うくらい現実味がないまま稽古を積み重ねてきましたが、この作品は最後のピースであるお客様が入った瞬間に出来上がるものだとつくづく思います。なので明日の初日が楽しみで仕方がないです。僕自身も楽しんで、お客様にも楽しんでいただけるように精一杯頑張りたいと思います。素晴らしいプロの方々のおかげで“甲斐翔真”が消えて、“ローラ”になれたなと思います。120点です(笑)。僕は初演から一観客として観させていただいていましたが、実際演じてみると「こんなにもローラって休憩ないんだ!」と思いました(笑)。袖でも休憩中でもお化粧直しや衣裳替えがあるので、公演が始まると一瞬で時間が過ぎていきます。考える間もなくただローラを生きるということが貴重な体験です。この作品はとても楽しくハッピーなミュージカルですが、現代を生きる僕たちにとって大事なものを思い出させてくれる作品でもあると思います。「1人の人間として自由に生きて、本当になりたい姿になる。それこそが人間の最も美しい瞬間である」という考えを持つローラを僕は1人の人間として演じさせていただいています。そういう純粋さが世界中の皆さんに愛されている理由だと思います。
松下優也
皆さんご機嫌よう、松下優也役のローラです!…今、こんな気持ちです(笑)。稽古初日から『キンキーブーツ』という作品にリスペクトを持って挑ませていただきました。普段初日前は緊張していることの方が多いのですが、今回はライブ前のような高揚感があり、すごく楽しみです。ローラの姿になるとスイッチが入る感覚があります。ヘアメイクさんや衣裳さんの手によってローラを作り上げていただいていて、とても感謝しています。日に日にブラッシュアップされているので、今日が一番最高のローラですが、明日はもっと最高のローラです!稽古中はチャーリーの方が台詞も歌も多くて大変そうだなと思っていましたが、劇場に入ったらローラの方が大変(笑)。舞台に出ていない時間も着替えやメイクがあって、常に何かしています。スタッフさんの連携が素晴らしいです。『キンキーブーツ』はとても華やかな舞台ですが、それでいてすごく繊細な部分があって、その差が好きなところです。ローラ自身も派手に見えますが、根底には抱えている過去がある。そういったところでお客様に寄り添えていて、「本当の自分を探し求めるあなた」に愛される作品だと思います。もちろん愛されている理由には「私たちローラが最高だから!」というのもありますけどね(笑)。
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