スマホアプリや100均グッズも徹底活用! 発達障害の特徴に合わせた勉強方法はどう見つける?

スマホアプリや100均グッズも徹底活用! 発達障害の特徴に合わせた勉強方法はどう見つける?

 ここ10年ほどで、発達障害の認知度は飛躍的に上がりました。そのぶん、大人になってから自身が発達障害だと気づいた人の中には、子どものころに効果的な学習トレーニングを受けてこなかった人も多いのではないでしょうか。

 今も学習面で悩みを抱えて過ごしている人に紹介したいのが、『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本』です。

 著者の安田祐輔さんは、子どものころから発達障害(ADHD・ASD)であり、中学・高校時代は勉強面でも苦労が多かったそうです。しかし、次第に「特性の強い自分に合った、効率のよい勉強方法」を見つけたことで、大学受験に合格。その学びを生かし、現在では発達障害や精神疾患がある人の就職を支援する経営者として幅広い活動をおこなっています。同書には、安田さんがこれまでの体験から得た、発達障害の特徴をカバーするためのノウハウが余すところなく記されています。

 発達障害とひと口に言っても、困難に感じることは多種多様です。同書では、第1章「予定通りにできないのを何とかしたい」、第2章「勉強する気が起きないのを何とかしたい」、第3章「上手に講義を受けられないのを何とかしたい」、第4章「自習ができないのを何とかしたい」、第5章「試験本番の不安をなくしたい」と、悩みを大きく5つに分類して解説しています。

 「上手に講義が受けられない」ことひとつを取ってみても、「耳から入ってくる情報の処理が苦手」だったり、「講義中にソワソワしてしまい、集中できない」だったり、さまざまな理由があるとわかります。同書では、こうした事例を細かく取り上げ、それぞれに合った具体的な方法を紹介しています。

 たとえば、「講師の口頭説明が理解しづらくて、講義を受けるのがたいへん」という場合は、教室の前方などの講師の声が聞きやすい位置に座り、Googleドキュメントの文字起こし機能を使って、口頭説明を文字情報に変換して理解する方法を安田さんは勧めています。また、「ADHD特有の多動性が原因で、じっと座って講義を受けることが苦手」という場合は、「体に適度に圧を与えることが多動性を抑えるための有効な解決法になる」として、着圧ベストや重いひざかけといったグッズを紹介しています。

 ほかにも同書には、デジタルツールやスマホのアプリ、100円ショップでも買えるグッズなどを使ったアイデアが満載。気軽に取り入れやすいものばかりなので、試してみて損はないでしょう。

 「発達障害であることは変えることができません」と安田さん。だからこそ、「発達障害に必要なことは、その悩みが変えられるものなのか・変えられないものなのかを判別し、変えられるものは変えて、変えられないものは諦めることだと私は思っています」と記しています。

 自身の特性をよく理解し、今の生活で改善できるポイントを見つけること。それが自分に合った勉強方法を取得する近道といえそうです。同書はそのための良き一冊となるでしょう。

[文・鷺ノ宮やよい]

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