『100万回死んだねこ』『僕ちゃん』『トコトコ公太郎』……福井図書館に集まった抱腹絶倒な覚え違い
福井図書館のホームページで公開されている「覚え違いタイトル集」。司書さんがこれまでにカウンター業務で出会った、覚え違いしやすいタイトル、著者名などをリストにしたウェブコンテンツです。
その中から秀逸なものを90個厳選し、一冊にまとめたのが『100万回死んだねこ 覚え違いタイトル集』です。覚え違いタイトルをイラストとともに紹介し、次のページで正しい書籍情報と司書さんによる解説を掲載するという構成になっています。図書館の利用者はいたって真面目に尋ねているのですが、間違って覚えたタイトルにはシュールなものも多く、思わず抱腹絶倒してしまうことも……!
たとえば、映画化もされた朝井リョウさんによる小説『桐島、部活やめるってよ』(集英社)。この覚え違いとして紹介されているのが『おい桐島、お前部活やめるのか?』です。伝聞調のタイトルが本人に直接問いかけるスタイルに変わっていて、じわじわと笑いがこみ上げてきます。
しかし、これはまだまだ正しいタイトルがわかりやすいほうではないでしょうか。ほかにも以下のものが紹介されています。
・(誤)夏目漱石の『僕ちゃん』→(正)『坊ちゃん』
・(誤)『100万回死んだねこ』→(正)『100万回生きたねこ』
・(誤)『トコトコ公太郎』→(正)『とっとこハム太郎』
・(誤)『下町のロボット』→(正)『下町ロケット』
いっぽうでは、よほど考えを巡らせないと正解にたどり着けないような覚え違いもあります。
みなさんは「男の子の名前で『なんとかのカバン』って本あるかしら?」と訊かれて、どの本を探しているか見当がつくでしょうか?
司書さんのアンサーは「『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』でしょうか」。
「『アズカバン』が『なんとかのカバン』になるのはかなりアクロバティックではありますが、同音異義語は覚え違いの定番」(本書より)
このように本書では、少しのヒントで膨大な書籍の中から正解を見つけ出す司書さんの知識量や検索能力に驚かされることでしょう。
本書には最後に「そもそもレファレンスって? 司書の仕事って?」という章もあり、司書さんのさまざまな仕事について知ることができます。
レファレンスサービスとは、「司書が図書館の資料等を用いて利用者のみなさんの調査・研究をお手伝いすること」(本書より)。しかし、その業務についてはまだまだ利用者に浸透していないようで、相談しづらい様子で声をかけてくる人も多いそうです。
本書には、「利用しやすい環境をつくるために、『覚え違いタイトル集』やその他のサービスで、利用者の心理的ハードルを少しでも下げることができたら、と思っています」と司書さんの日ごろの思いが綴られています。
爆笑して、ためになって、図書館や司書さんがもっと身近に感じられる本書。世の中にはこんな多種多様なタイトルの覚え違いがあるとわかれば、これからは自信を持って(?)司書さんに探している本を伝えられるかもしれません。
[文・鷺ノ宮やよい]
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