バイオインフォマティクスで物質生産における環境と経済の両立を目指すdigzyme
近年、デンプンやサトウキビ搾汁後の残渣(バガス)などの「作物バイオマス」や食品や古紙などの「廃棄物バイオマス」、石油系・化学系原料に対して、酵素や微生物などを用いて医薬品や化学品などを生産する過程である「バイオプロセス」に注目が集まっています。2021年に、自動化や機械学習を用いたバイオファウンダリーを擁する2社の米国ユニコーンベンチャーがIPOを果たしたこともあり、さらに注目度は高まりそうです。
そんな「バイオプロセス」をAIなどを活用して確立させようとしているのが株式会社digzymeです。
バイオプロセスを低コストで確立
バイオプロセスおよびその生産物であるバイオ化学品などは、物質生産における環境負荷を低減するソリューションとして期待されています。しかし、このプロセスに必要な酵素には非常に多くの種類が存在し、蓄積した基礎研究データを集めても網羅することができないため、バイオ生産できる化合物が限定されてしまうなど産業化に耐えうるバイオプロセスを開発するのは困難とされてきました。そこで注目したいのが、生命科学と情報科学の融合領域と言われる「バイオインフォマティクス技術」。同社はこの技術を活用し、基礎研究の成果から構築されたデータベースと、機械学習などの情報技術を用いることで、目的の化合物を合成するために有効と考えられる酵素反応を創出し、酵素遺伝子配列とともに提案するサービス「digzyme Moonlight」を提供しています。
これにより、低コストで多様なバイオ化学品を生み出すことができ、より広い市場に対するバイオプロセス・バイオ化学品の導入が可能になるとのことです。
開発パイプラインの立ち上げへ
同社の「digzyme Moonlight」は、共同研究を通じて解析サービスを提供していて、すでに複数のパートナーとの共同研究を実施しています。今後は、企業・アカデミアとの連携を強化し、共同開発を加速する見込みです。そのために2021年7月30日、DEEPCORE、ANRI、Plug and Play Venturesらを引受先とする第三者割当増資により約1.5億円を調達。この資金を用いて、すでに2つのバイオプロセス、酵素開発に着手しています。また今後、数本の開発パイプラインを立ち上げ予定とのことです。
(文・Higuchi)
ウェブサイト: https://techable.jp/
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