藤岡みなみ｜自由すぎるズボラ畑だより【思い立ったがDIY吉日】vol.58

タレントの藤岡みなみさんが、モノづくりに対してのあれこれをつづるコラム連載！題字ももちろん本人。可愛くも愉快な世界観には、思わず引き込まれちゃいます。今回は自由な家庭菜園について！

藤岡みなみ
タレント、エッセイスト。タイムトラベル専門書店 utouto店主。縄文時代と四川料理が好き。やってみたがり。
ブログ:藤岡みなみ 熊猫百貨店
公式Twitter
公式Instagram

自由すぎるズボラ畑だより

一瞬で野菜の栽培が趣味になった人。

春から本格的に家庭菜園を始めた。以前このコーナーで「よくわからないけどやりたい放題やってます！」と元気よく報告してから約2ヵ月。自由度とズボラ度が、いよいよ増してきた。

その1。究極の栽培方法に手を出した。袋栽培である。土を買ってきて、その袋を開いて苗を直接植える。ズボラな私のための方法だ。土作りもしなくていいし、プランターも要らない。一番安くて一番効率がいい。下の方にたくさん穴を開けているから排水性もばっちり。日当たりが良すぎるときは移動させるのも簡単。現在この袋栽培でピーマンとつるなしインゲンの栽培に挑戦中だ。こんなに自分にぴったりの栽培法が存在したとは。

もっと早く知りたかった袋栽培。

その2。春に始めてすぐラディッシュやミニ大根、ホウレンソウが成功したのをいいことに、素人が調子に乗って、どんどんいろんな種類の野菜に手を出している。現在約30種類。珍しいものも育てていて、茎が黄色や赤になって楽しいスイスチャードや、まるで卵が生えているみたいな見た目のタマゴナスもある。友人に「タマゴナスを育て始めたよ」と言ったら「ナスは英語でeggplantだからタマゴナスはeggeggplantなのかな」と返ってきた。確かに……。そして最近ついに世界一大きい大根、桜島大根のタネまで入手した。桜島大根、知らない方は検索してみてください。ロマンしかない。『おおきなかぶ』は、実在する。

ハーブにからまるスイカのつる。

その3。ハーブ畑に植えていたスイカの苗。絶対ここじゃないだろ、と思いながらも様子を見守っていた。多分失敗するだろうな、でもやってみたいからやるだけだし、失敗してもいいんだ！　……という気持ちに反してどんどんどんどん成長している。スイカはくるりんとしたつるがかわいい。と思っていたら、ある日そのつるがハーブの苗に巻きつきまくっているのを発見。スイカよ、これは支柱じゃない！　フェンネルだ！　ハーブ畑にスイカを植えたらそりゃこうなるよ。自業自得すぎる。スイカは1日で一回りくらい大きくなるので、毎朝庭で「ウソ……だろ……」と声が出てしまう。収穫が楽しみだ。絶対に目隠ししてスイカ割り大会、なんてしない。毎日大事に見守ったスイカを鈍器で破壊したいわけがない。スイカを育ててみて初めて、あの行事の狂気を知る。

スイカのこども。手乗りスイカ。

 

超自家製まつり、開催中

収穫した野菜で料理をするのはとくべつ楽しい！　先日、自分で作ったじゃがいもと自分で作ったきゅうりでポテトサラダを作った。自家製すぎる。あとは豚を飼ってベーコンも作れたら完璧だけどそのハードルはちょっと高すぎる。

感動したのはジェノベーゼ。手作りは香りがたまらなくフレッシュ。ハーブ畑のバジルと大葉でそれぞれソースを作った。バジルには松の実、大葉にはくるみを合わせる。にんにく、オリーブオイル、塩や粉チーズを加えてミキサーで混ぜるだけ。こんなに簡単だったとは！　ハーブを育てるところからジェノベーゼソースを作るまでで一番面倒だったことは葉っぱを一枚一枚洗うところだ、と思うくらい、何もかもが容易かった。複雑な構成だと思っていたのに。自分で作れるんだ！　という感激が、この身をつらぬく。

ジェノベーゼ、名前は難しそうなのに……。

ほんの数ヵ月前まで、私には野菜なんか育てられない、スイカなんて実らせられない、ジェノベーゼは家で作るものじゃない、と思っていた。でも全部できた。急に視界がひらけた気がする。まだまだほかにも思い込みはたくさんあって、自分で自分を縮こまらせている部分があるはずだ。DIYはその殻をいつも破ってくれる。自由に畑をやってみたら、自分も自由になれた。趣味なのだから素人が調子に乗ってもいいし、失敗して笑っててもいい。これからもやりたい放題やっていこう。

 
これまでの記事
思い立ったがDIY吉日＜vol.57＞あこがれの 「生産者の顔シール」
思い立ったがDIY吉日＜vol.56＞育てたい欲、爆発しました
思い立ったがDIY吉日＜vol.55＞再生野菜、それは野菜のドラマ
思い立ったがDIY吉日＜vol.54＞思い立ったが壁紙吉日
思い立ったがDIY吉日＜vol.53＞何もない家で暮らしてみました
もっと見る