農作物栽培環境をVR上に完全再現する農業版3Dデジタルツイン
AIを活用した農業支援および青果卸売業を展開する株式会社Happy Qualityは、農業分野におけるAI画像解析技術を手がける株式会社フィトメトリクスと共に、VR上で農作物栽培環境を完全再現する3Dデジタルツイン環境のプラットフォームを開発しました。
実際の作物や環境を高精度に再現
同プラットフォームでは、Happy Qualityが有する細密栽培管理技術と、フィトメトリクスが有するAI画像解析技術により、現実の農作物やハウス設備・環境データをもとに、VR上で圃場を高精度に再現することができます。現実と遜色ないデジタルツインを実現することで、VR空間でのモニタリング、分析・シミュレーション、フィードバックが可能となるでしょう。同プラットフォームに期待されるユースケースは幅広く、遠隔栽培指導や農業用画像解析AIの開発に不可欠な教師データの生成、栽培ハウス設営時などの事前の構築シュミレーション、環境情報や生育情報データを計測するセンサー開発などが挙げられます。これが活用されれば、農業領域の課題である技術継承者不足の解消、データドリブン農業の実現、アグリテック開発に資する一連のサービス開発などが大きく前進するかもしれません。
Happy Qualityの取り組み
Happy Qualityは、ビックデータやAI、光学センサなどを用いて高品質・高単価なトマトやメロンを安定生産できるスキームを有しています。
トマトで言えば2020年2月に国立大学法人静岡大学と共に、AIによる灌水制御によって平均糖度9.46の高糖度トマトを高い可販果率(95%)で生産することに成功しました。同年10月には、イノチオアグリ株式会社と共同でAI潅水制御装置を活用したトマト「Hapitoma(ハピトマ)」の試験栽培を開始しています。なお「ハピトマ」は、光センサー選果機によって1粒ずつ糖度・形・リコピンを計測し、厳しい基準をクリアしたトマトで、リコピンは通常のトマトの2倍以上、糖度は6度から10度をラインナップしているブランドです。
こういった作物の生産の他、農業未経験者に対してFC農家として「稼げる農家」になるための独立支援を手がけています。その方法のひとつとして「Happy方式農業モデル」を提唱。「売れるものだけを作り、提供する」というマーケットインの発想にもとづいた、生産・流通・販売までの一貫したサプライチェーンを構築しています。また、FC農家が栽培したトマトはすべて買い取るという形で農家のリスク低減も実践しているようです。
(文・Higuchi)
ウェブサイト: https://techable.jp/
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