パテとテリーヌの違いは一目瞭然だって知ってた?でも近頃は…
パテとテリーヌの違い、パッと見て分かりますか?イタリア語とフランス語の違いだと思っている人が少なくないのは事実ですが、実は見れば分かるというくらい、パテとテリーヌの違いは一目瞭然なのです。パテとテリーヌの違いを分かりにくくしている、最近の事情も含めて紹介します。
パテとテリーヌの基本的な違い
まず最初に、パテはイタリア語、テリーヌはフランス語という違いがあります。どちらも美食の国で進化した料理ですから、その違いも興味深いものです。
パテとテリーヌは、作り方が全然違うものです。だから、本来であれば、みただけでその違いは一目瞭然のはず!では、本来のパテとテリーヌの違いを解説しましょう。
パテは、生地で巻かれたものを指し、テリーヌは容器を使って形を作ったものをいいます。
フランス語でパイ生地をパートといい、そこから転じて、パイ生地で中身を包んで焼いたものをパテというようになったのではないかと伝わっています。
まずは、金属製の型にパイ生地を敷きます。その上に、ペーストにしたり刻んだりした肉などを食材を詰め、さらに上からパイ生地で覆ってオーブンで焼きます。肉をミンチ状にしたものを、パイ生地で包んで焼く料理としては、ミートパイに近いのかもしれません。
テリーヌは、テリーヌ型である、陶器や磁器などの器に具材をいれ、蓋をしてオーブンで焼いたり、冷製テリーヌとして冷やしたりしたものです。
テリーヌという言葉には、大きな陶器の容器という意味があります。その容器を使って調理することでテリーヌという料理名になったという説があります。
容器に入れて焼いたり、それをスライスしたりと、盛り付けて出される形が似てはいますが、基本的にはパイ生地で包まれているものがパテ。包まれていないものがテリーヌと覚えておきましょう。
パテとテリーヌの違いを複雑にしている理由
様々な料理が進化するなかで、パテとテリーヌも同様に変化し、パテとテリーヌの違いを非常に分かりにくくしています。
テリーヌは、テリーヌ型といわれる専用の型を使わずに、ラップや野菜の葉で包んで作られるものも増えてきました。
パテはパイ生地の面倒さを省略して、キャベツの葉で巻くといった時短料理が増え、一見してテリーヌとの区別ができなくなってきました。
また、パンなどに塗って食べるペースト状のものも、パテと呼ばれるため、パテの定義がかなり曖昧になっています。
レバーペーストなどのパテは、ラテン語が語源で、PASTAと書きます。パスタとも読めますが、これは練りものという意味です。小麦粉を練って作るパスタも、レバーをペースト状に練ったものも、同じ語源から派生しています。
レバーペーストのようなパテは、英語ではスプレッドと呼ばれています。生クリームやバター、ニンニクや玉ねぎなどを加えて、かなり食べやすく加工されています。
国や地域が変わり、料理自体がワールドワイドになった現代では、料理本来の姿が、だんだん薄れていくものなのでしょうか。
日本のように、世界の料理を取り入れ、さらに日本流に進化させてきたという経緯もあって、料理の名前自体も分かりづらくなっているのかもしれません。
分かりにくいのはパテとテリーヌの違いだけじゃない!リエットとは?
パテとテリーヌの違いも分かりづらいですが、同じように分かりづらいのがリエットです。こちらは、パンに塗るパテとの区別が、見ただけでは分かりません。
前述したように、パンなどに塗るパテはスプレッドとも呼ばれます。これとそっくりなのが、リエットです。ペースト状のパテと同様、パンに乗せて食べるのが一般的です。
これではパテの三つ巴状態となり、益々分かりづらいと思ったので、リエットにも少し触れておきたいと思います。
リエットはフランス語で、豚肉の塊という意味です。ラードでコーティングすることで、保存食として広がりました。
リエットは、煮て作ります。豚肉をラードと一緒に長時間煮てからつぶし、ペースト状にします。瓶に詰めた後、上からさらにラードで蓋をし、熟成させたものです。
ラテン語のパテが練りものの意味ですから、このリエットもパテと呼んでも差支えないのではないかとも思います。
しかし、最近のリエットは、マグロなどをペーストにしたものもリエットと呼ばれるようになりました。ペースト状のものはリエットと解釈されているようです。
こうしてパテ、テリーヌ、リエットを調べてきましたが、目の前に出されたら、やっぱり分からないかもしれませんね。
おわりに
パテとテリーヌの違いを調べているうちに、リエットにまで行きつきました。それにしても、イタリアとフランスの食へのこだわりには驚きますね。パテとテリーヌの違いを理解した上で、本来のパテとテリーヌを食べてみるのも興味深いかもしれません。
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