「ハコフグ」はその骨格的に泳ぐのが苦手!フグの仲間だけど毒はある?それとも無い?!

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「ハコフグ」はその骨格的に泳ぐのが苦手!フグの仲間だけど毒はある?それとも無い?!

ハコフグはその独特のシルエットがかわいいと話題となり、近年はペットとしても人気が高まっている生き物です。
ただ、ユニークな体だからこそ泳ぐのが苦手な魚とされ、悠々と泳ぐ姿はほとんど見られません。

今回はそんなハコフグがどういう生き物なのかを解説します。
また、フグの仲間なので毒の有無についてもご紹介します。

ハコフグの骨格と泳ぎ

ハコフグは泳ぐのが苦手と言われているのですが、その理由はどのようなところにあるのでしょうか?

全身を骨板で覆われた体

ハコフグの体の内側には、その姿そのもののような、薄い骨のような板状のものがあります。
この板状のものを、「骨板」といい、これが全身を覆っています。

硬い甲羅のようにも見える骨板で構成される体は、箱状となっています。
他の魚を見ても、このハコフグのような体を持つ魚は稀です。

その形状的に泳ぎは苦手

ハコフグは水深50mまでの岩礁に生息しています。

全身に骨板があるため、柔軟性にかけた体をしています。
そのため、ヒレの力を使いまるでジタバタしているかのような姿で泳ぎます。

この泳ぎ方が逆に、マスコットのようなかわいさを醸し出し、魅了される人も少なくありません。

その体から車がデザインされたことも!

ハコフグはその形状などもあって泳ぎが下手とされていますが、決して泳ぐのがのろまというわけでも無いようです。
そこには、体の形状から来る秘密があると考えられ、それが車のデザインに取り入れられたという実績もあります。

角ばった体が渦を生む?

多くの魚は、流線型の体をしており、水の抵抗を少なくすることで水中を巧みに泳いでします。
しかし、ハコフグは角ばった体をしています。
そのため、抵抗にあい泳ぐのがとても遅いのか・・・というとそうでもありません。

では、なぜしっかり泳げるのか、それは箱のような体の角にぶつかった水が小さな渦を作るからだと考えられました。
この小さな渦が、ハコフグは体のバランスを取るのに役立っていると考察されたのです。

ハコフグの形状から生まれたコンセプトカー

この体の周りに発声する水渦の原理を、車のデザインに組み込めないかと考えたメーカーがあります。

それが、世界的自動車メーカーであるメルセデス・ベンツです。
2005年、メルセデス・ベンツではハコフグの姿からコンセプトカーを開発し、発表しました。
その名もメルセデス・ベンツ・バイオニックです。

この車は、インド洋や太平洋に生息するミナミハコフグという種をモチーフにデザインされたとさえています。

実はそこまで渦の力は強くない?

ハコフグの体の周囲には、体の角張った部分の周りに渦が生じると説明しましたが、その後の研究によってこの渦にはそこまで力が強いわけではないという事が分かりました。
むしろ、ハコフグはバランスが安定しておらず、とても不安定で、簡単にひっくり返ってしまうという事が判明しました。
そして、だからこそハコフグは、高い機動力を持っているという考えにたどり着きました。

バランスが悪いからこそ、移動する際に機敏なクイックターンを行えるそうです。

ハコフグの毒の有無

フグと言えば毒を持っている魚の代表格です。
では、ハコフグには毒はあるのでしょうか?

猛毒テトロドトキシンは無い

結論を先に言うと、ハコフグは一般的にフグ毒として知られるテトロドトキシンは持っていません。
それもあって、ハコフグはフグ科ではなくハコフグ科という独立した科に分類されています。

しかし、別の毒はあるので注意が必要なことには変わりありません。

別の毒はある

ハコフグはパリトキシンに似た毒性物質を内蔵に蓄積させています。

これは食物連鎖を通じて他の個体から蓄積されると考えられています。
そしてこの毒は、主に食用部分に存在しているとされています。
もし食べた場合は重篤な中毒を起こすこともあるようです。
事実、厚生労働省によると2002年~2007年の間にも、この毒性物質を持つ個体による食中毒例が報告されています。

また、ハコフグには溶血作用のあるパフトキシンという毒性物質も皮膚に宿っていることがわかっています。

ハコフグは海で捕食されないよう、これらの毒性物質を皮膚から粘液とともに分泌することで捕食者から身を守っているのです。
この毒は刺激を受けると放出され、近くにいる他の魚が死んでしまうこともあるほど強力です。

また、その毒で自分自身が死んでしまうこともあるのだとか。

毒があってもおいしいと食用とする地域も

ハコフグは毒があるものの、昔から食用とする地域もあります。

ハコフグは焼くと骨板から身が簡単に剥がれるため、一部の地方では昔から食用とされてきたそうです。

例えば、長崎県の五島列島では「カトッポ」などと呼ばれ、焼いて腹部の甲羅を剥がしてから味噌や薬味を入れ、身と和えて食べられています。
また、漁師飯として刺身で食べることもあるようです。

ただ、食品衛生法に基づく厚生労働省通知によると、肝臓や卵巣や皮が食べられない部位とされているため、扱いには注意が必要です。
もちろんフグなので、捌くにはフグ調理師免許が必要です。

まとめ

ハコフグはとても愛らしいフォルムをしています。
この形状、骨にしてもなんと全く同じものなのですが、それはハコフグの骨格が、骨板というもので構成されているためです。
骨板のせいで体に柔軟性はありませんが、不安定な体が逆に思いがけない動きを見せることもあるようです。

また、一般的なフグの毒テトロドトキシンは持っていませんが、別の毒を持っているので注意が必要な事には変わりが無いようです。

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