【試乗】新型 日産 キックス|e-POWERの制御は素晴らしいが、インテリアの質感には課題が残る
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すでに海外では販売されていたモデル
日産 キックスは、日本市場において“新しい日産の顔”として登場した。
すでにブラジルでは2016年より生産、そして販売されているモデルだ。
プラットフォームは、日産とルノーのコンパクトクラス用のもので、その歴史は長く20年近くなる。
2018年に、米国で触れる機会があったが、ブラジルや中国、タイの製造ラインで組み立てられるインテリアなどは、部品調達などの観点からだろう、良質感を感じることはできなかった。
だからこそ日本に導入される際に、どの辺に手が加えられたのか楽しみにしていた。
パワートレーンは、すでにタイでアナウンスされているとおり、日本ではお馴染みのe-POWERである。
顔つきは以前見たときよりもヘッドライトのデザインが切れ長となっており、光沢のあるブラックの樹脂を使っているため、少し遠めから見ると存在感と高級感を感じることができる。
発表から1ヵ月が経過したタイミングで試乗する機会を得たので、インプレッションの様子をお届けしよう。
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300万円に迫る価格の価値は?
まずは車内に乗り込む。インテリアは残念ながら2世代ほど前の車のような出来で、古さは否めない。
特にドアのサイドパネルの樹脂は、300万円に達しようとするモデルにしては非常にお粗末である。
ノートやリーフといったモデルを含めて、樹脂類の使い方に日産は勉強が必要だ。
ステアリングホイールはモデル間で共用されるもののため、しっかり感はある。
シートは張りのある見た目だが柔らかく、身体を支える傾向はない。少しでもソフトにしようとしたのだろうか。
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ブルーのスタートボタンを押して、日産のグローバル本社からスタートだ。
走り出しは非常に力強く、静粛性はノートe-POWERに比べると高い。
また、発電のためにエンジンが始動し、負荷が高まったときには、明らかに“いいもの感”が増していると感じた。
ブレーキフィールも、以前に試乗したノートe-POWERよりもリニアで扱いやすくなっている。
キックスは、より静粛性に力を注いだということが非常によくわかる。
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しかし、ドライブ時の軽快感を目指しすぎたのか、どうにも乗り心地がギクシャクしていて滑らかさに欠く。
特にリアは収まりが悪く、300万円に達する車には感じられない。
ステアリングを切ると、車体の上の方が重い印象で、身体が振られやすいのだ。その身体を、残念ながらシートはホールドしてくれない。
コストを重視して諸外国で生産するのは企業として必要性があるが、良いものを知る日本人にはキックスは少々お粗末で高すぎる。
コストを抑えた海外生産を日本に持ってくるのであれば、それなりにユーザーへのベネフィットも必要だ。
今回の試乗は限られた時間で行ったということもあるが、残念ながら300万円に迫るモデルの価値は見いだせなかったのが実情である。
今後の進化に期待したい。
文/松本英雄、写真/尾形和美
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