【広島の旅】“瀬戸内の軍艦島”は今も現役。「シースピカ」から眺める
軍艦島、といえば、長崎にある端島が有名。実は、瀬戸内海にも“瀬戸内の軍艦島“と呼ばれる島が存在する。
しかも、すでに廃墟となっている端島と大きく異なる点が、こちらは今も現役なのだ。
その島は「契島」(ちぎりしま)といい、広島県竹原市の沖合に浮かんでいる。総面積は9万平方メートル。
明治32年(1899年)に深川鉱山製錬所として銅の製錬から始まった。のちに東邦亜鉛株式会社が買収して鉛の製錬を行うようになり、今日に至る。
契島は、島全体まるごと鉛の製錬工場という、全国的にも極めて珍しい島。国産鉛鉱石から鉛を製錬する、唯一の工場がある。
工場ファンや廃墟マニアの間では“もう1つの軍艦島”“生きた軍艦島”とも呼ばれ、注目度も高い。
日本で生産されている鉛の、実に4割以上がこの契島で製錬されている。島で製錬された鉛は、主に自動車のバッテリーの原料に使われているとのこと。
島の端から端まで見ると、まるで要塞にも見えてくる。
この契島には、関係者以外は立入禁止だ。島全体が東邦亜鉛株式会社の私有地で、その関係者のみがフェリーで行くことができる。
何度も言うが、関係者以外は島内に立ち入ることはできない。くれぐれも気を付けてほしい。
契島を少しでも近くから見たいなら、2020年9月にデビューした、広島と三原を結ぶ観光型高速クルーザー「SEA SPICA」(シースピカ)がおすすめだ。
広島から三原へ向かう「東向き」のルート途中で、契島の近くを通る。船から、製錬所や先のとがった煙突、従業員の社宅なども見える。
さらに遠くから眺めると、フランスの人気観光地であるモン・サン・ミッシェルのようにも見えてくる。なにより、今も煙突からモクモクと煙が出ている様子は、すでに廃墟感が大きい端島と違い、まさに生きているというリアルさが伝わってくる。
季節や天気によって見え方も変わり、フォトジェニックでもある場所。瀬戸内海に今もある、現役の軍艦島を、ぜひ船の上から一度眺めてみてほしい。
■瀬戸内しまたびライン 「SEA SPICA」(シースピカ)
http://setonaikaikisen.co.jp/simatabi/
■せとうち広島デスティネーションキャンペーン「ミタイケンひろしま」
(2020年10月1日~12月31日)
(Written by A. Shikama)
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